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第2話

ん・・・ふぁぁ・・・
もうこんな時間か・・・
僕はベッドから出て顔を洗うために洗面所へ向かった。

「むにゃ・・・チビ苺ぉ~それは翠星石のですぅ・・・むにゃむにゃ」
隣の翠星石の部屋からは寝言が聞こえてくる。
確か今日の朝食担当は翠星石じゃなかったかな。
僕は翠星石の部屋に入り、翠星石を起こすことにした。
「翠星石、そろそろ起きないと朝食の準備が間に合わなくなるよ」
「む~・・・あと5分・・・」
お約束ともいえるやり取り。
「起きないと雛苺に全部デザート取られちゃうよ」
「・・・むー・・・それは嫌ですぅ・・・Zzz」
だめだ、反応はするけど起きてくれない。
じゃあ、こうしてみようかな。
ぽふっ
「ん・・・んん・・・じたばたじたばた!ぷはーっ!」
翠星石ががばっと飛び起きた。
やっぱり効果覿面だったね。
「蒼星石!おめぇなにしやがるですかっ!」
「君が起きないからだろ。今日は君が食事当番なんだし」
「だ、だからって鼻と口ふさぐ奴があるですかっ!」
「だって、こうでもしないと起きなさそうだったしさ」
「む~・・・」
「ほら、早く顔洗って行こう?僕も手伝うしさ」
そう言われてしぶしぶ翠星石は洗面所に向かった。


「ん~・・・朝はやっぱりコーヒーなのかしら~」
洗面所で歯磨きを終えた後、廊下で白衣を着てコーヒーを飲んでる姉妹を見つけた。
「おはよう金糸雀。随分早起きなんだね」
この子は金糸雀。姉妹の次女で自称『姉妹一の頭脳派』
実際にいろんなものを発明してる。それが役に立ってるかどうかは別として・・・ね。
それにしても目の下にクマが出来てるけどまた徹夜したのかな・・・?
部屋の整理とかは絶対してないだろうなあ・・・後で見に行かないと。
「ふっふっふ!もうすぐ・・・もうすぐ完成かしら!この金糸雀の最高傑作が!」
拳を握って力説してる金糸雀だけど・・・
「それはいいですけど、おめぇの後頭部にくっついてるのは一体なんですか?」
翠星石が指を指した先には何か白い物が金糸雀の背後にべったりとくっついていた。
「ふえ・・・?」
金糸雀が背後を見る。だけど、後頭部にくっついた物体が見えるわけもない。
「何もないかしら?」
「どこをみてやがるですかこのオバ金糸雀!鏡を見て見やがれですぅ!」
なんだろう・・・この白い物体、もぞもぞ動いてるような・・・
「こ、これは一体なにかしらー!」
金糸雀が素っ頓狂な叫び声をあげる。
今の今まで本当に気づかなかったの・・・?
「ん~・・・ガジガジ・・・もうお腹いっぱいですわ~」
金糸雀の背後の白い物体が何かうめいてる・・・


というかお腹いっぱいとか言いながらなおも金糸雀にかじりついてるのはすごく矛盾してるような。
「き、雪華綺晶ーっ!いつの間にカナの後頭部にかじりついてたのかしらーっ!」
本当に気づいてなかったみたいだね・・・
「ん?あ・・・おはようございます、皆様」
ここでようやく雪華綺晶が目を覚ました。
どうやら寝ぼけて金糸雀の後頭部を巨大な七面鳥の丸焼きと勘違いしてたらしい。
彼女は姉妹の末っ子、雪華綺晶。
末っ子だけど見た目は姉の金糸雀や雛苺よりも年上に見える。
というかその二人が幼すぎるだけというか。
寝ぼけて誰かの頭に噛み付く癖があって、油断すると今の金糸雀みたいなことになることも・・・


「と、とにかく金糸雀はお風呂入ってきたほうがいいよ。後頭部がベトベトになってるし」
「わ、わかったのかしら・・・」
そう言って金糸雀は風呂を沸かしに風呂場に行った。
「あとはAIを完成させれば・・・ふふふふ」
風呂場のほうから金糸雀がほくそ笑んでるのが聞こえる。
最高傑作って言ってたけど・・・なんだろう?
「金糸雀の言っていた最高傑作というのはおいしいのでしょうか?」
多分食べられないし、食べたら金糸雀が泣くからやめといた方がいいと思うよ雪華綺晶。
「それじゃー朝食の用意をはじめるですよ、蒼星石」
「うん、そうだね。行こうか、翠星石」
本当は僕の当番じゃないけど、手伝うって約束しちゃったから仕方ない。
僕と翠星石は台所へ向かうことにした。
「今日のご飯はなんですの?」
雪華綺晶がメニューをたずねてきた。
「んー、今日は・・・」
途中まで言いかけた僕に雪華綺晶が待ったをかけた。
なんだか自信満々。
「私が当てて差し上げますわ。今日はずばり・・・フレンチトーストですわね!」
雪華綺晶は占いが好きで暇さえあれば何かを占っている。
「今日はご飯と味噌汁と目玉焼き、それからウインナーだよ」
雪華綺晶の予想はぜんぜんハズレ。
がっくりと肩を落しちゃった。
いつもは的中率高いらしいからね。僕はよく知らないけど。
「うう・・・やはりパワーが足りませんわ・・・キラキラパワーを補充して今日も運命の糸車を廻します」
キラキラパワー・・・それは一体どういうものから補充するんだろう。


朝食を作り、皆でご飯。
「もーらっちゃった~もーらっちゃった~翠星石のウインナーもーらっちゃったぁ~」
「水銀燈!返しやがれですぅ!」
「あなたたち、食事中は静かにしなさい」
「ふふふふふ、真紅ぅ、あなたのウインナーもちょうだぁい」
ぴしっ!
真紅のツインテールが水銀燈の頬を捉えた。
「いったーい、やってくれたわねぇ真紅ぅぅ!」
「まったく、落ち着いて食事もとれないのだわ・・・」
毎度毎度飽きないよね、君達も・・・

ご飯も終わり、姉妹達は思い思いの事をやり始める。
とりあえず、僕は外に出かけてこようかな。
この街にも慣れないといけないしね。
玄関で靴を履いていると二つの影が近づいてきた。
「あら、蒼星石。お出かけ?」
「うん、ちょっとここらの道とか覚えておきたいしさ」
「ヒナたちと一緒なのー」
真紅と雛苺もどうやら僕と同じ事を考えているらしい。
「なら一緒に行こうか?」
「それだったらこの際皆で行った方がいいかもしれないわね」
ああ、それもそうか。
というわけで、姉妹達全員を呼んで散歩することにした。
水銀燈と翠星石がちょっと不満そうな顔をしてたけど、僕と真紅が趣旨を説明したら納得してくれた。
まあ、水銀燈はともかくとして翠星石は人見知りだからあまり外に出たくはないんだろうけど、慣れないといけないし、ね。


「おっさんぽおっさんぽ♪」
雛苺がスキップしながら歌ってる。
姉妹でこういう行動をするのが大好きなんだろう。
「今日の占いによれば、この方角に運命的な何かがある・・・となってますわね」
今、僕たちは雪華綺晶の占いに従って歩いている。
当てもなかったしたまにはこういうのもいいかもね。
「蒼星石・・・手を離したらだめですぅ。絶対ですよ」
翠星石は臆病だなあ。姉妹にはあんなに容赦なく暴言吐く癖に。
そのギャップがおかしくてついつい吹きだしてしまった。
「何がおかしいですか蒼星石っ!」
むっとした顔で翠星石が僕の顔を見てる。
ごめんごめん。
「ふあ~・・・頭がぼーっとしてるかしら~」
金糸雀は無理に連れ出すべきじゃなかったかなあ・・・
寝ぼけ眼をごしごしこすりながら坂道の上のほうをじーっと眺めてる。
「なんだかトラックがどんどん近づいてるように見えて・・・やっぱり寝不足かしらぁ~・・・」
どうやら相当ダメっぽい。
金糸雀をおぶって先に家に戻ろうかな?
「そ、蒼星石!危ない!」
え?危ない?何が?
「トラックが転がってきてるです!避けろですぅ!」
えええええええっ!
坂の上からトラックがどんどん迫ってきてる!僕はとっさに横に避けた。
エンジン音が聞こえなかったところを見ると、サイドブレーキを掛け忘れているみたいだ。
「大丈夫ですか蒼星石!」


周りを見回してみる。
どうやら姉妹達に怪我とかはないようだ。
だけど・・・
「あのトラック、あのままだと危ないんじゃ!」
僕の悪い予感が当たったみたいだ。
トラックの転がる先に一人の女の人が立っている。
どうやらごみ捨ての最中でトラックに気づいてない。
「そこの人!あぶなーいっ!!」
僕たちの呼びかけにようやく気づいたその女の人だったけど、そのときにはトラックはかなり迫っていて・・・
「きゃあああああああっ!」
間に合わない!


・・・・がしっ!
「え?」
トラックは女の人の直前で突然減速した。
何が一体どうなってるの?
「ぐ・・・ぐぐぐ・・・あなた、早くそこどきなさぁい!」
「水銀燈!」
水銀燈がトラックを押し返していた。
一体いつの間にあんなところに!?
というかすごい怪力・・・
「水銀燈!早くそこから逃げなさい!」
真紅がいつになく動揺してる。
いつもいがみ合ってるけど、やっぱり姉妹なんだね。
「ロンド=ベル(水銀燈)にばかりいいカッコはさせませんわー」
雪華綺晶、馬鹿なことしてないではやくサイドブレーキかけて。


「あ、あの~助けていただきましてありがとうございました~」
女の人が申し訳なさそうな顔でお辞儀してる。
とにかく、無事でよかった。
「はぁ~余計な体力使っちゃったわぁ~お礼はヤクルトで払ってもらうわよぉ」
「水銀燈!恥ずかしいからそういう真似はやめなさい!」
ふてぶてしい態度の水銀燈とそれを注意する真紅。
やっぱり相変わらずというかなんというか・・・
「ヤクルトでいいんですか?それなら家にありますのでよろしければどうぞ」
なんか水銀燈の戯言を真に受けちゃったみたいだけど・・・
結構いい人そうだな、この人。
「い、いえいえそんなお構いなく」
「あらぁ話がわかるじゃなぁい?それじゃあ早速・・・」
「ちょ、ちょっと、水銀燈!」
僕と真紅が水銀燈を諌めようとする。
「いいじゃありませんか。折角ですし」
「翠星石も歩きすぎでクタクタなのですぅ!茶の1杯でも飲ませろですぅ!」
「ヒナもいきたーい!」
雪華綺晶、翠星石、雛苺・・・
まあ、確かに結構歩いたから喉が渇いてきたけど。
「こんな大勢で行ったら迷惑がかかるじゃないか・・・」
「私は別に構いませんけど」
即答された・・・しかも笑顔で。
「こう言ってる訳だし、お邪魔しちゃうのが得策かしら!」
確かに好意を無下にするのも良くないしね。
とりあえず、お世話になることにしようか。
「あ、名前がまだでしたね。僕は蒼星石っていいます」
「私は桜田のりっていいます。よろしくね」
そして、のりさんの好意で桜田家にお邪魔することになったわけだけど・・・

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