夕方の教室で叫ぶ一人の女の子が居た。
翠 「JUM!今日が何の日だか知らねぇんですかぁ!?」
J 「え?ホワイトデーだろ。それぐらい知ってるよ。」
翠「な…なら何で翠星石に…その…それなりのお返しがねぇんですか?」
J 「翠星石…ホワイトデーのお返しはバレンタインにもらったチョコのお返しだぞ?」
翠「そ、そんなこと知ってるですぅ!まさか翠星石の心のこも…あ、いや…とにかくチョコを忘れたというですか!」
J 「…なあ、翠星石。ひとつ聞いていいか?」
翠 「先にこっちの質問に答えるですぅ!」
J 「いいから。…お前、チョコレート机の中に入れたな?」
翠「そうですぅ!朝早くに学校行って入れてやったですぅ!」
J 「…名前かなんか書いたか?」
翠 「………………あ。」
J 「…誰のだかわかんなかったんだよなぁ、あれ。なんだ、翠星石のだったのか。」
翠「こ、この翠星石としたことが…これじゃ金糸雀と同レベルですぅ…」
しょげる翠星石。と、そのとき。
J 「…なんてな。名前こそなかったけど、お前のだってのはちゃんとわかってたんだぞ?」
JUMが、綺麗にラッピングされたキャンディを差し出してきた。
翠 「…ど、どうしてわかったですぅ?」
J 「何ていうか…ほら、一生懸命な心が伝わってきた、って感じかな?」
翠「…………ふ、ふん!まったく、格好つけ野郎ですぅ!」
J 「自分でも思った。」
翠「ま、まあ。今日のところは翠星石もちょびっとミスったし、そんなにとやかくは言わないでやるですぅ!感謝するですぅ!」
そっぽを向き、赤くなった頬を見せまいとする翠星石を見て、JUMは静かに笑った。
翠 「久々に一緒の下校ですぅ♪」
J 「ああ、そうだな。」
翠「どうしたですぅ?さっきっから何ぼけっと考えてやがるですかぁ?」
J 「いや、なんでもないよ…ははは…」
翠 「?おかしなやつですぅ。」
J (バレンタインの日、翠星石がチョコ入れてるところを見たってこと…言わない方がいいな。折角機嫌もいいみたいだし。)
そんな、ホワイトデーの夕暮れ。
Fin.
J 「…なあ、翠星石。普通に生活してたんならなんでこんなところが破けるんだ?」
翠 「う、うるせぇです!翠星石は猫にちょっかいなんか出してねぇですぅ!まして怒った猫に引っ掻かれたなんてことは…!」
J 「要するに原因はお前なんだな。よーくわかった。」
翠 「ゆ、誘導尋問に釣られたですぅ…」
今現在JUMの手元にあるもの。裁縫セット一点。脇腹が破けた洋服が一着。
J 「まったく…もう少し大人になったらどうなんだよ。」
翠 「す、少なくともJUMよりはぜんっぜん大人ですぅ!」
J 「少なくとも。僕は猫にちょっかい出して洋服を破られるような真似はしないぞ?」
翠 「そ、それは…」
J 「それと、別に縫うぐらいなら自分でもできるだろ?何で僕にやらせるかな。」
翠 「う…うぅ…」
J 「まさか…洋服の修繕もできないのか?」
翠 「な…!さ、流石にそれぐらいはできるですよぉ!」
J 「じゃあ、僕がやる必要はないよな?」
すっ…と裁縫セットと洋服を差し出すJUM。
翠 「え…」
J 「お手並み拝見。できるんだろ?」
翠 「や、やってやろうじゃねえか、こんちくしょー!ですぅ!」
数分後。
J 「翠星石…ごめん。僕が悪かった。」
翠 「…」
こんがらがった糸を切ろうとしたら破れた場所がさらにほつれ…すごいことになってしまった。その上…
翠 「ふえ…痛いですぅ…」
翠星石の左手人差し指にぷっくりと赤い玉が浮き出ている。見事に針がヒットしたらしい。
J 「ほら、貸せよ。直してやるから。」
翠 「うう…」
めちゃくちゃになってしまった糸を解き、再度縫い直していくJUMの手を見つめることしかできない自分が。
最初から素直に頼めばよかった、と後悔している自分が悔しく、翠星石は涙を零した。
J 「…!おい、どうしたんだよ。」
翠 「翠星石は…何の役にも立たないです…裁縫のひとつもできない…我侭で…意地っ張りで…」
一言言うたびに、涙が零れ出る。
翠 「…修繕、終わったですかぁ?」
JUMの手が止まったのを見て、問いかける。自分には出来ないくせに人を急かしてばっかり。そう思うとまた涙が零れそうになる。
しかし…もう涙は零れ落ちなかった。JUMの手が、翠星石の目の下に添えられていたから。
J 「勘違いするな、翠星石。」
翠 「…何をですぅ?」
J 「役に立たない存在なんかないんだ。翠星石だって、皆の支えになってるじゃないか。」
翠 「…?」
J 「蒼星石や真紅を始めとするみんなさ。お前が居なかったら、皆きっと寂しい思いになる。」
翠 「………」
J 「それに僕だって。普段は性悪で口が悪くて…とにかくとんでもない奴だと思ってるけど。翠星石が居なかったら寂しいよ。」
翠 「…本当、ですかぁ?」 JUMは、にっこりと笑顔を返してくれた。そして…翠星石の手をとり、指に浮き出た血を舐めとった。
翠 「!?」
J 「傷の舐め合い…じゃ、ないけどさ。足りないところや、欠けたところは…みんなで補っていけばいいんだと思う。」
翠 「…JUM。」
J 「なんだ?」
翠 「…ありがと、ですぅ♪」
J 「…どういたしまして。」
綺麗に修繕された洋服を着て、家路を急ぐ翠星石。どこか足取りは軽い。
Fin.
夕刻のJUM宅で、甲高い叫び声があがった。
翠 「JUM!これは一体なんですぅ!?」
J 「げっ!そ、それは…」
翠星石の右手に握られていたのは…金髪の女の人が表紙を飾った本。
俗に言うエロ本って奴だ。通販で買った。反省はしていない。
翠 「こ…こんな汚らわしいものをもっているなんて…変態ですぅ!不潔ですぅ!」
J 「ちょ、ちょっと待てって。声がでかいぞ翠星石…」
翠 「わ、私というものがありながら…こんな金髪の下品な女に想いを馳せるなんて…」
J 「い、いや。僕も一応健全な男子だから…」
翠 「言い訳無用ですぅ!」
バチーン!快音が響いた。と同時に意識が遠のいてゆく…
JUM「ただいま」
翠「おかえりですぅ!食事にするですか?お風呂にするですか?それとも、す、す、す、(///)ボッ」
JUM「どうした?翠星石?」ニヤニヤ
翠「う、うるせぇ~です!お前に食わせてやる飯はね~です(///)」
J「なんだよいきなり・・・疲れて帰ってきたのに・・・どっかで食って来るよから(^ω^#)」
翠「ご、ごめんですぅ;;翠星石と一緒にご飯食べて欲しいですぅ(///)」
J「しょうがないな~^^ところで、さっき何言おうとしたんだ?」ニヤニヤ
翠「な、内緒ですぅ(///)」
J「ふ~ん(なに言おうしたか反応みればわかるんだけどねw)」
翠「ジュン迎えにきてやったですよ!早く学校行く準備するです!」
J「ん?今日学校休みだぞ?」
翠「え?ほ、本当ですか?(///)」
J「嘘ついてどうすんだよwせっかく来たんだし二人でどっかいくか?」
翠「しゃーないですね~!一緒にどっかいってやるですぅ(///)(計画通りですぅ)」
~翠星石が猫だったら~
J「ほら、こっちおいで翠星石。」
翠「今お昼寝中ですにゃ。ほっといてほしいですにゃ~。」
J「そんな事言わずにさ。こっちおいでよ。」
翠「にゃう~…。そ、そこまで言うなら、しかたねぇから行ってやるですにゃ!べ、別にJUMの膝の上が気持ち良さそうとか、そんな事は思ってないですにゃ(/////)」
J「はいはい。(かわいいなぁ~。)」
なでなで…
翠「ふにゃあ~…(気持ちいいです…幸せですにゃ…)」
翠「だめです!チビ人間、そんなことしちゃだめです!」
J「ぶひひひひひひwwwwwご開帳ーwwwwwww」
蒼「・・・翠星石・・・(ポッ」
翠「は、恥ずかしいです・・・(ボフッ」
な ん と 同 人 作 家 だ っ た 翠 星 石
J「なぁ翠星石。今日暇だったら映画観に行かないか?」
翠「映画ですか?翠星石は忙しいですけど、JUMはどーしてもって言うなら、行ってあげない事もないですよ?」
J「じゃあ、どうしても翠星石と行きたい。お願い!」
翠「しゃ、しゃ~ね~ですねぇ。行ってやるですよ。(JUMと二人で映画なんて、やったです////)で、何の映画観に行くですか?」
J「新作の『佐為連』っていう映画。藤原佐為って奴が連続殺人を犯すスプラッタホラーだよ。」
翠「す、すぷらったほらーですか…え~と…す、翠星石は急用を思い出したです。悪いけどJUM一人で…」
J「そんな…酷いよ…僕翠星石と映画行くの楽しみにしてたのに…」
翠「わ、わかったですよ!行ってやるですよ!!」
J「よし、じゃあすぐに行こう♪」
翠「あうぅ~…(怖いのは…ニガテですよ…)」