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11月も半ばに差し掛かりジュンは学校を終えアパートへと歩く
高校を卒業して2年、住み慣れた町を離れて彼は夢を叶えるため見知らぬ街で一人暮らしを始めていた…
『ヒュウゥ…』
ジ「うっ…寒っ…」
都市化の進んだこの街にもだんだんと冬が近づき、ジュンは夕暮れの風に身を縮めた

いつの間に息は白く、少しずつ今年も冬が僕の住む街を染めてゆく
「今ごろみんなは何処で何をしてるのだろうか?」
考えながら僕は家路へと急ぐ

ジ「ふぅ…寒くなったな…みんな、元気にしてんのかな…」
ジュンはふと夜空を見上げ呟いた…この街の空は懐かしいあの町にも繋がっている…そのはずなのにジュンはやけに空が遠く感じた
そして同時にジュンの脳裏に友人達と過ごした懐かしい日々が浮かんできた…

ジ「またいつか暇ができたら…みんなに会いに帰りたいな…」

ジュンの頭に浮かんだのは2年前の冬…みんなでやった季節外れのあの出来事だった


ジ「花火ぃ!?」
銀「そ、夏に買ってたんだけどついつい忘れててねぇ、昨日掃除してたら出てきたのよぉ。せっかくだし今夜みんなでやらなぁい?」
雛「うわ~い♪楽しそうなの~。」
蒼「でも…随分と季節外れじゃない?」
雪「あら?季節外れだからこそ楽しそうじゃありませんか?」
真「確かにそれもオツなのかもしれないわね。」
金「同感かしら~♪」
薔「…みぃとぅ。」
翠「まぁ、たまにはいいんじゃねぇですか?」
銀「なら決まりねぇ。ちなみにジュンも強制参加ねぇ♪」
ジ「いぃ!?」

そしてその夜…

ジ「さ…寒い…」
真「まったく…だらしないわね。」
銀「みんな来たみたいねぇ、じゃあ始めましょうか♪」
水銀燈の手には大きな花火袋がいくつも握られていた
『シュポッ…』
そして各自が持った手持ち花火に火がともると暗闇を明るい光が照らした
雛・金「うわ~い♪キレイ(なの~♪)(かしら~♪)」
蒼「確かに…冬の花火もいいものかもね。」
翠「まったくですぅ。」
パチパチと上がる煙と閃光…その中に向かい一筋の光が音を立てながら凄まじい勢いで飛び込んできた…


ジ「うわっとぉ!!」
翠「な…何なんですぅ!?」
皆が光が飛んできた方向を見るとロケット花火を持ってにやりと笑う薔薇水晶がいた
真「ち…ちょっと!!危ないじゃない!!」
薔「え…ロケット花火の正しい遊び方は対戦でしょ…?」
雪「ばらしーちゃん…それはちょっと違うような…」
銀「ちょっとぉ!待ちなさぁ~い!!」
薔「あ~れ~…ごむたいな~…」
ジ「何やってんだか…ふふっ…」

それは周りの皆が起こすいつものドタバタ劇…ジュンはやれやれと思いながらもそれをどこかで確かに楽しんでいた

銀「さぁ、派手なのいくわよぉ~…」
水銀燈がひときわ大きな打ち上げ花火を取り出し導火線に火を点ける…
翠「はわわわわ…」
雛「はうぅ~…」
皆が耳を塞いで間もなく大きな音が響き、冬の夜空に大輪の花が咲いた
蒼「うわぁ…」
金「た~まや~かしら~。」
ジ「キレイだな…」
真「えぇ…本当にキレイなのだわ。」
そして大輪の花はすぐに輝きを抑え、後には雪のように小さな火花を残し消えていった…


薔「あ…雪…」
銀「え?…あらぁ、本当だわぁ…」
そしてその直後、ジュン達の前に本物の白い雪が降ってきた
ジ「今年の初雪だな。」
真「きっと…あの花火に誘われたのだわ…」
ジ「へぇ、なかなかロマンチックなこと言うじゃないか、真紅?」
真「う…うるさいのだわ、いいじゃないの…///」

そしてジュン達はしばしの間この白い雪を無言で見上げていた…

ジ「ふぅ…ただいま。」
ガチャリとアパートの鍵を開けて中に入り、返す声もない挨拶をするジュン…
ジ「あ…あれ?なんで…」
ジュンは頬に感じた感触に戸惑った…
彼の頬には一筋の雫…ジュン自身が流した涙が伝っていた
ジ「なんで僕…泣いてんだ?」

季節外れの花火を冬の夜空打ち上げて
いつまでもずっとはしゃいでいた
キリのない思い出をただ眺めてるだけなのに
何でだろう…涙が滲み出てきた


ジ「はぁ、何で今更…一人暮らしには慣れたはずなのにな…」
顔を洗ったジュンはベッドに横たわり何気なく一冊の本を開く
それは高校時代の写真が詰まったアルバムであった
そこには懐かしい友達と過ごした毎日の思い出…二度と戻ることのできない大切な日々

過ぎて行ったいつかの不器用すぎる毎日
ため息混じり、一人寝転がる
伝えたかった言葉や、届けたかった気持ちを
今でも僕は捨てずに胸にしまってる

ジ(またいつか、みんなに会って…あの時みたく騒ぎたいな…)

季節外れの花火は冬の夜空を明るく、優しく照らし雪のよう消えてった
だけどみんなの笑顔はいつも消えることなく
今でも僕をずっと支えているから…


ジ「……よしっ。」
ジュンは起き上がり携帯を握り電話帳を開いた
そして慣れた手つきで番号を押す
『プルルルルル…ガチャッ』
数回のコールの後、ジュンの耳には懐かしい声が響いた
ジ「あ…真紅か?久しぶりだな…あぁ、元気してるよ。
そっちはどうだ?…そっか…
え、用事?…あぁ、もうじき冬休みだろ?だからさ…その時は久しぶりに……え?な…何言ってんだよ!?泣いてなんか…ないって…」

きっと…どんなに離れても…いつまでも友は貴方を笑顔で迎えてくれるでしょう…

季節外れの花火を冬の夜空打ち上げて
いつまでもずっとはしゃいでいた
キリのない思い出をただ眺めてるだけなのに
どうしてだろう…涙が溢れて止まらない…

BGM:UNDER THE PUDDING 「冬空に咲く花」

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