ジ「…立てよ、こんなもんか?」
ジュンは倒れた不良に不適に笑い挑発する
不良C「てめぇ…殺す…殺してやる!!」ジャキ…
不良は懐から白く光るナイフを取り出しジュンに掲げた
ジ「…恥ずかしくないのか?あんた仮にもボクサーだろ?」
不良C「うるせえ!…殺してやるよガキがあああぁ!!」
ヤケになった男はナイフを手にジュンに向かってくる…
不良C「うらぁ!!…おらぁっ!!…があああぁ!!」
男は闇雲にナイフを振り回すがジュンはそれを全てかわしていく…ナイフは持つことで殺傷力は上がるが、反面それに頼る分攻撃の軌道が単純になりやすい
不良C「ぐうぅ…畜生!大人しくしやがれえぇ!!」
男は尚も大振りにナイフを振るう
ジ「…無駄だ、武の誇りも無くしたお前じゃ僕を捉えられない…」
不良C「黙れ…黙れ黙れ黙れ!!クソがあああぁ!!」
男はナイフを真っ直ぐジュンに向け疾走した…


ジ「ふっ…」ヒュン…
不良C「…なっ!?」
ジュンは半身をそらし男のナイフをかわしその右側面に回り込んだ
ジ「…」がしっ
更にジュンは右手で男の手首を、左手で男の上腕部をつかみ…
ジ「じゃあ…こんな腕はいらないな…」
その中心である男の肘に跳び膝蹴りを放った…
『ボキィッ…』
周囲に嫌な音が響く…
不良C「ぎぃやあああああああああああああぁぁ!!腕が…俺の腕があああぁ!!」
男は妙な方向に向いた自分の右腕を押さえうずくまる…
ジ「…まだだ…これは雛苺の分だ!!」
そう言うとジュンは右足を上げうずくまる男の右拳を踏み砕いた…
不良C「ぐああああぁぁ!!いてぇ…いてぇよおおぉ!!」
この瞬間男のボクサーとしての人生は終わりを告げたのだ…
ジ「…終わりだ。」ヒュン…
不良C「…は?」
男が意識を失う直前に見た光景は高角度から自分の眼前に迫るジュンの右足だった…
『グシャア…』
再び周囲に嫌な音が響く…そして同時に周りには鮮血と男の歯が飛び散った…
不良A「うわあぁぁ!!」
不良B「ま…マジかよ?」
意識を失い倒れた男…その鮮血の海に無言で佇むジュンはさながら一匹の鬼のようであった…


不良A「ちいいいっ!!」
瞬間、残りの男が駆け出し雛苺を掴む
雛「きゃあ!!」
不良A「おい…やってくれたなコラ…こいつが心配なら動くんじゃねぇぞ…」ギリィ…
雛「あぁ…痛ッ…!!」
ジ「貴様…雛苺を放せ…」
不良A「あぁ!?てめぇ自分の立場がわって…」
ジ「もう一度だけ言う…雛苺を放せ!!」
不良A「!!」
ジュンが男に向けた視線…それは正に純粋な殺意であった
不良A「ぐ…畜生めがあぁ!!」
錯乱した男がナイフを抜き雛苺に向ける…その時であった
不良A「ひでぶっ!!」
男の体が宙を舞う…その背後には黒い巨体が佇んでいた
黒『申し訳ありません…我が主、お帰りが遅いものでつい…』
それは待機させていた黒王号であった
ジ「いや…ご苦労だった。……さて。」
ジュンは残った最後の不良に視線を向ける
ジ「お前に選ばせてやる…ここでこいつら同様僕らに倒されるか…もしくはこいつらを連れてさっさと消えるか…」ボキィ…
ジュンは両手を鳴らす…
不良B「ひいいいいいぃ!!か…勘弁してくれえぇぇ!!」
男は倒れた仲間を置いて逃げていった…


ジ「あいつ…仲間を見捨てやがったよ…さて…」
ジュンは男の最初の一撃で落ちた眼鏡を拾い上げ振り返る
ジ「雛苺…大丈夫か?」
雛苺に手を差し出しすジュンだが…
雛「ひぃっ…」
ジ「雛苺…そっか…そうだよな…ごめん、僕が怖いだろう?」
ジュンは怯える少女に少し寂し気な笑みを向ける…それは雛苺が普段知る優しいジュンの顔であった
雛「ジュン…ん~ん、ヒナ嬉しかったの。ジュンが助けてくれなかったらヒナ今頃酷いことされてたから…ありがとなの、あと…ごめんなさい…」
ジ「雛苺?」
雛「だって…ヒナのせいでジュンがいっぱい痛い思いして…うぅ…ぐすっ…」
雛苺はそう言うなりまた泣き出してしまった
ジ「いいよ。お前が無事なら…だからもう泣くな。」
ジュンは雛苺の頭を優しく撫でた…
黒『我が主…もうすぐ人が来ます。そろそろ…』
ジ「あぁ、わかってる…じゃあ雛苺、柏葉が心配するからお前も早く帰れ。」
雛「う…うん。」
ジ「じゃ、また学校でな…」
パカラ…パカラ…
そう言うとジュンは黒王号にまたがり雛苺の前から去っていった…

雛「ジュン…ありがとなの…」
残された雛苺はジュンの背中に向かいそう呟いた…


ジ「いてててて…」
黒『大丈夫ですか?我が主…』
殴られた顔が風にしみる
黒『しかし…そんな重い着衣を纏われていたとは…どうりで小柄な貴方がやけに重く感じたはずだ…』
ジ「あぁ、これか?いやさ、実は僕裁縫が得意でな…昔からよくいじめられてたんだ…その時よく真紅…ほら、今朝お前が怒ったあいつが庇ってくれてたんだ…」
黒『ふむ…』
ジ「あいつは言った…生きることは闘うことって…だから僕はその日から必死に強くなろうと体を鍛えたんだ…僕を真紅が庇ってくれたように、僕も誰かを守れるようになりたくて…」
黒『我が主……ふふっ』
ジ「どうした?」
黒『いえ、今朝貴方を初めてご覧になった時、その瞳の奥に感じた強さはそういうことだったかと思うと…つい。』
ジ「そうか?」
黒『はい…やはり貴方に仕えたことは間違いではなかったようです…この黒王、より一層主である貴方に忠誠を誓いますぞ。』
ジ「はは…変なやつだな。…さて、姉ちゃんが待ってる、早く帰るぞ。」
黒『御意。』
パカラ…パカラ…
その後顔を腫らして帰ってきた弟にのりが絶叫を上げたのはまた別のお話し…

続く

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最終更新:2006年11月21日 15:01