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「一つ屋根の下 第八十一話 JUMとドライブ」



「ねぇ、JUM。道合ってるわよねぇ?」
「うん、カーナビ通りだよ。」
景色が流れる。僕はその流れる景色を見ながら、カーナビも見ていた。現在、僕らの住んでる街から
遠く離れた海岸線。運転席にはいつになく真剣な顔の銀姉ちゃん。
「あ、それでウノなの~~!!」
「ええっ!?こ、この私が雛苺に負けるだなんて……」
後ろの席では、姉ちゃん達がカードゲームなんぞを興じている。
「ああ、もぉ~……五月蝿いわねぇ……集中できないじゃないのぉ……」
銀姉ちゃんがブツブツと、自分で車に乗せておきながら、楽しそうな後ろからの声に文句を言う。
さてさて、何でこんな事になってるのか。それは、昨日の夜にまで遡る訳で。


「明日、海にでもドライブに行くわよぉ!!」
夜、少し遅めに帰ってきた銀姉ちゃんはリビングでマッタリしてた僕らにそう言い放った。
「はぁ?貴方何を言っているの?ドライブって運転手がいないじゃないの。」
真紅姉ちゃんがヤレヤレって顔をしながら言う。しかし、銀姉ちゃんはニヤリと笑ってカードの様な物を突き出した。
「ふふっ、これが目に入らなぁい?正真正銘、車の免許証よぉ~。」
「ほ、本当ですぅ。何時の間に車校通ってたですかぁ?」
銀姉ちゃんが出したのは、正に車の免許証だった。何でも、2学期入ったくらいから、コツコツと通って先日
筆記もパス。念願の免許を手に入れたそうだ。道理でたまに帰りが遅かったわけだ。
「車はお父様の車があるしぃ、明日は試運転といくわよぉ!翠星石、蒼星石!お弁当でも作りなさぁい。」
「そうだね。折角だしお弁当作った方が楽しそうだね。じゃあ、僕今からお買い物入って来るよ。」
とまぁ … …こんな感じで、父さんが使ってる大型の車を銀姉ちゃんが運転して、ドライブ中と言う訳だ。



「あ!見てみて!凄いの、海が見えてきたの~~~!!!!」
後ろからヒナ姉ちゃんが歓喜の声をあげる。さっきから海岸線付近を走っていたが、山に邪魔されて海は
全然見えなかった。海は、冬だというのにサーファーがいたりして、案外賑やかそうだった。
「ふぅ~、もう少しね … …」
銀姉ちゃんが大きく息を吐く。しっかしまぁ、こんなに緊張してる銀姉ちゃんの顔を見るのは初めてな気がする。
「いいなぁ~、水銀燈は免許とって。カナは、誕生日まだだから免許取れないかしら。」
「金糸雀も免許とるですかぁ … …なんか危ない気もするですぅ … …」
僕も翠姉ちゃんに同意だったりする。ほら、カナ姉ちゃんって生粋のドジでしょう?文字通り走る凶器に
なりかねない気もする。
「ん~、出店はやってませんのね … …海を幸を楽しみにしていたのに、残念ですわ。」
キラ姉ちゃんが心底残念そうに言う。まぁ、普通に考えてこんな時期に出店はやってないでしょう。
そうこうしてる間に、僕らの車は海へ到着した。
「はい、とうちゃぁく。とりあえず降りなさぁい。」
姉ちゃん達は、寒いだろうに結構楽しそうに車から降りていく。さて、僕も降りようかな。そう思った時、横から
サッと出された手が僕の服の裾をつかんだ。
「JUMは降りたら駄目よぉ。まだ乗ってなさぁい。」
ん、どういうことだろう?海に着いたのにまだ乗ってろとはこれ如何に?
「ちょっと水銀燈。JUMは乗ってろってどういうことよ?」
「べっつにぃ。運転したことない真紅には分からないでしょうけどぉ、駐車場に駐車するのって結構難しい
のよぉ?JUMには駐車の手伝いしてもらうだけよぉ。」
ああ、成る程。確かにバックと難しそうだもんな。ただでさえ、初心者マークついてるのにこの大型車だ。
「 … …そう。なら別にいいわ。でも、早く来なさい。みんなお腹が空いてるのだわ。」
真紅姉ちゃんはそれだけ言って、車を降りた。
「ボソッ …真紅もちょろいわねぇ …さ、駐車場行くわよぉ!」
何か銀姉ちゃんが小さな声で言った気がするけど、まぁどうでもいいような事だろう。銀姉ちゃんは、再び
車のエンジンをかけると、近くの駐車場に向けて車を走らせ始めた。



「ねぇ、JUM。ちゃんとスペースに入ってるぅ?」
「ん、大丈夫だよ。まっすぐ下がれば入りきると思うよ。」
さて、近くの駐車場に来た僕と銀姉ちゃんは、必死に車を停めていた。銀姉ちゃんはさっきから忙しそうに
右を見たり左を見たり、後ろを見たりと大変そうだ。
「ふぅ~、これでOK … …よねぇ?」
銀姉ちゃんがふぅと一息つく。車は白線に収まってるし、問題ないだろう。
「ん、お疲れ様銀姉ちゃん。って、大丈夫?」
僕が銀姉ちゃんを労おうと運転席を見ると、銀姉ちゃんはグッタリとハンドルに体を預けていた。
「はぁ … …予想以上に緊張した … …怖かったぁ …姉妹たちの手前余裕ぶってたけど … …」
銀姉ちゃんが安堵の息を漏らす。後ろで遊んでた姉ちゃん達には分からなかったろうけど、僕は隣に居たから
結構それは分かった。顔が緊張でガチガチだったし。
「ははっ、銀姉ちゃんでも緊張することあるんだね。」
「当然よぉ。妹弟の命預かってるしねぇ。まだ心臓がドキドキしてるわよぉ。」
銀姉ちゃんが自分の手をその豊満な胸に乗せて心音を確かめている。
「そっか。んじゃあ、僕等も海まで行こうか。姉ちゃん達もお弁当心待ちにしてるだろうし。」
僕はそう言ってドアに手をかけた。しかし、その手を抑止する手が運転席から伸びていた。
「銀姉ちゃん?」
「うふふっ、だぁめ。今日は元々この為にドライブの計画したんだものぉ。えいっ!」
ガタンと僕の座席が後ろに下がる。当然、僕の体も座席につられて倒れるように後ろに下がった。
それに合わせるように妖艶な笑みを浮かべた銀姉ちゃんが僕に圧し掛かる様に馬乗りになった。
「えっ、ちょっ、ぎ、銀姉ちゃん … …んんんっ!!??」
そして、次の瞬間僕の唇は銀姉ちゃんの唇で完全に塞がれた。


「んんっ … …ね、JUM。水銀燈の事きらぁい?」
「は?いきなりよく分からないけど … …嫌いな訳ないでしょ。姉ちゃんなんだし。」
銀姉ちゃんは相変わらず僕に跨っている。今にも僕の体に届きそうな綺麗な銀髪が揺れる。
「私はJUMの事好きよぉ?弟としてじゃなくってぇ、男として。まぁ、他の姉妹もそうでしょぉけど。」
ゆっくりと顔を下ろしてきて、僕の顔の目の前にまで迫ってくる。綺麗な顔だな … …僕はそんな事思ってる
場合じゃないのに、そう思ってしまった。いや、本当綺麗なんだ。銀姉ちゃんは … …
「だ・か・らぁ … …私はJUMになら何されてもいいのぉ。どんな事でも受け入れるわぁ … …んっ …」
銀姉ちゃんはゆっくり言葉を紡ぎながら再び僕の唇を塞ぐ。今度は、僕の口の中にも異物感を感じる。
その僕の口の中に入った物体は、ゆっくり滑らかに。しかし、どこか激しく。情感の篭った動き。
「んっ …ちゅっるっ …ちゅぷっ …ふっ …ひゃむ … …」
銀姉ちゃんは僕の首に腕を回し、僕を抱きしめる。僕もそれに合わせるように銀姉ちゃんの体を抱きしめる。
そして、しばらくそうした後顔がようやく離れる。お互いの口から出る糸が離れるのを拒むかのように繋いでいた。
僕は、しばらく放心していた。正直状況があまり掴めてない気もする。
「ねぇ、JUMは水銀燈の事好き?」
銀姉ちゃんが僕の目を見ながら言う。その深さを湛えた瞳を見ると、僕はただ言うしかなかった。
「好き … …だよ …」
と。銀姉ちゃんはそれを聞くと、嬉しそうに笑ってジャケットを脱ぎだした。ジャケットの下は黒のキャミソール。
冬場にしては薄着の気もするけど、ジャケットの生地が結構厚いのかもしれない。
「私もJUMの事好きよぉ。だから … …」
スッと銀姉ちゃんが僕の耳元に顔を近づける。そして、小さな声で。しかし、しっかりと言った。
「一つになりましょぉ?」


そういえば以前も … …確かカナ姉ちゃんの時か。僕はこんな状況になったのを思い出した。あの時は
銀姉ちゃんがお風呂から出てきたから結局その後は何もなかったが、今回はそれも無理だろう。
周りに姉妹はいない。それどころか、誰も居ない気すらする。
「ほら … …好きにしていいのよぉ?」
銀姉ちゃんが僕の手を引いて自分の胸を触らせる。大きくて柔らかい。今にも頭が爆発しそうなせいか、
そんな感想しか出てこない自分の頭が恨めしい。さらに、銀姉ちゃんは禁断の僕の股間にも手を伸ばす。
「 … …ふふっ、JUMももう準備万端じゃなぁい。」
それは仕方ないです。銀姉ちゃんに迫られたら誰だってマウント富士になりますって!
「初めてが車って言うのが少し残念だけどぉ … …でも問題ないわぁ。JUMは水銀燈が貰っちゃうんだからぁ。」
銀姉ちゃんがスッと肩に手を伸ばし、キャミの紐を降ろそうとする。僕の目は、ただただそこを注視している。
左の肩紐を下ろし、右を降ろそうとする。僕の心臓がバクバクと破裂しそうに高鳴る。僕、どうなるんだ?
何するんだ?えーと、そういえば昨日リメイクTODの発売が延期になったんだったな。
薔薇姉ちゃんは大層悲しんで「私もう、生きてかれない …」とか言ってたな。えーっと、それから … …
ただいま桜田JUMの頭は混乱中ですのでしばらくお待ちください。
「JUM … …私だけを … …水銀燈だけを見てねぇ …他の姉妹に目がいったら、やぁよ …」
キャミの右紐が肘に差し掛かる。これが降りれば後はもう、目くるめく官能の世界。が … …
ピルルルルルルルルルルル!!!!!!と、僕を正気に戻る音が響き渡った。それは、僕の携帯だった。
僕はついつい慌ててその電話をとった。その電話の主は聞きなれた五女の声だった。



「JUM。水銀燈。何をしているの?早く来なさい。車を駐車できてるのは知ってるのよ?」
怒気を含んだ真紅姉ちゃんの声が電話越しに伝わってくる。
「え … …何で知って … …」
「金糸雀の携帯双眼鏡で見えてるの。車内は見えないけど … …まさかいかがわしい事してないでしょうね?」
どうしてこの人はこんな勘がいいんだろう。僕はビクッと背筋を正してしまう。
「そ、そんな事ないですYO!!」
「 … …そう?なら早く来なさい。雪華綺晶がお腹すいたと拗ねているのだわ。」
真紅姉ちゃんはそれだけ言うと、電話を切った。僕がフゥと息を吐いて携帯を閉じると、その先には物凄く
不満そうな銀姉ちゃんの顔があった。
「はぁ~あ … …真紅ったらほぉんと私の邪魔ばっかり … …」
銀姉ちゃんは心底ガッカリしている。さすがにこれ以上時間をかけると不味いと分かってるんだろう。
「ま、まぁさ … …その …今日はこれで …ね?」
「?なによぉ … …んんんんっ???」
僕は銀姉ちゃんにキスをした。不意打ちだったんだろう。銀姉ちゃんはビックリして目を見開いていた。
「んっ …び、ビックリしたわぁ。JUMったら結構大胆よねぇ …うん、でも … …」
僕と銀姉ちゃんは車を降りて姉妹が待つビーチへ向かう。銀姉ちゃんは、さっきまでの不満そうな顔から
一転してニコニコ嬉しそうに僕と腕を組んでいる。その嬉しそうな顔を僕に向けると、銀姉ちゃんは言った。
「今日はあれで許してあげるわよぉ。だって、さっきのキスは『私から』じゃなくてぇ、『JUMから』してくれたキス
だからぁ。」
そんなやり取りをしながら、僕らはビーチへ。僕らを見て主に翠姉ちゃんが非難の声を上げる。
冬の海の風は冷たい。僕は肌で冬を実感する。ただ、どんなに寒くても姉ちゃん達が居ればあったかい。
僕は、柄にもなくそんな事を思った。
END


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