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「一つ屋根の下 第七十六話 JUMと四女」



「ふぅ、重かった……」
僕は学校の帰り、スーパーでお菓子やらを買い込んで家に帰ってきた。別にパシリって訳じゃないよ?
というのも、今日はハロウィンなわけだ。リビングに袋を持っていくと、台所で南瓜を煮込んでるような香りが
してくる。台所を覗くと翠姉ちゃんがなんだかご機嫌に南瓜を煮ていた。よく見れば。パイやら何やら
南瓜料理もすでに用意してあるみたいだ。
「精が出るな、翠。」
「あ、おにぃお帰りですぅ。お菓子買ってきたですか?っと、これでよしっと……」
翠姉ちゃんはぺロリと煮込んだ南瓜を一口食べると満足したのか、エプロンを取り始めた。
「ああ、言われたとおりにね。みんなは何してるんだ?」
「ハロウィンでやることは一つしかねぇですよ。さ、翠星石も着替えてくるですぅ~。おにぃは仮装しないですか?」
ああ、成る程。そういえば、毎年みんな仮装してたな。
「僕はいいよ。おとなしくみんなを待っておくよ。」
「そうですか。じゃあ、着替えてくるです。あ、ご飯リビングに運んどけですよ?」
翠姉ちゃんはそれだけ言うと、二階へ上がっていった。しょうがない、僕も多少は仕事するか。そう思いながら、
台所からリビングへ料理とお菓子を運んでいく。
「うわ、何だこれ……」
リビングでは、すでにジャックオランタンが並べてあった。相変わらず子供なら怖がる凶悪顔だ。
僕は適当にテーブルに料理とお菓子を並べていく。すると、バタバタと走ってくる足音が約二つ。
早速、誰か来たようだ。
「あ、JUMにぃ!!とりっくおあとりーとなのーー!!」
バタンとドアが開かれる。そこに現れたのは、巨大な南瓜のきぐるみを着たヒナ姉ちゃんと、髪をストレートに
下ろして、オデコは真ん中分けして出しているいるカナ姉ちゃんだった。



「えーっと……とりあえずヒナから聞こうか?」
「う?これ可愛いでしょ?トゥモエが作ってくれたの~!」
まるでボンバーマンの新キャラのようなヒナ姉ちゃんは、巨大な南瓜から、両手両足と顔だけ出してクルクル
回っていた。僕には柏葉の意図がまったくわからない。でも、何となく倒したら面白いかも。起き上がれそうに
ないし。そう思うと手がワキワキしてきそうだ。さて、一方カナ姉ちゃんと言えば……
「まぁ、ヒナが南瓜の仮装はわかった。で、カナは何なんだ?それは。」
僕がそう言うと、カナ姉ちゃんは何故か得意げに言った。
「ふっふっふ~、トリックイズマルッとお見通しかしら!」
それ、トリック違いだから。あれかい?仲○さんか!?
「あ~……何か勘違いしてないか?カナ?」
「え?そうかなぁ?そんな事より、お菓子頂戴にいちゃん♪くれないと悪戯しちゃうかしら~。」
「はいはい。悪戯されたら堪らないからな。ほれ、ヒナもあげるよ。」
「わーい!JUMにぃ有難うなのぉ~!」
「有難うかしら~!早速食べちゃうかしら。もふもふ……ん~、美味しい~♪」
二人ともご機嫌だ。他の姉妹はまだだろうか。そんな事思ってると、聞き覚えのあるBGMが部屋に流れる。
♪だららったたららったたらっらったたらたん だららったたららったたらっらったらたん♪
そして、BGMと共に、赤いバンダナをしてちょび髭生やした薔薇姉ちゃんと、真っ赤に染まったナイフのようなものを
持っているキラ姉ちゃんが現れた。今日はもうハロウィンの仮装と思わず単なるコスプレ祭りと思う事にするよ。



「で。先ずは薔薇から聞こうかな。それは~……」
「ジャック・スパロウ……海賊……」
あ~、それジャック違いだね。微妙にチョビ髭が似合うのも女の子としてどうだろうか。
「薔薇、お前はとりあえず勘違いしてないか?ハロウィンの仮装に海賊は聞いた事がないぞ。」
「そう…?なら、奇抜なアイデアという事で……それよりね、兄貴……」
奇抜すぎると思うけど。そう思ってると薔薇姉ちゃんは言葉を続ける。
「凄い事知っちゃった……あのね……ジャックオランタンをね…平仮名で書くと萌えキャラっぽい……」
どれどれ、『じゃっくおらんたん』。あ~……そんな感じするかもね。果てしなくどうでもいいけど。
「とりあえず、薔薇がジャック・スパロウなのは分かった。それで、キラは?そんな物騒なモン持って。」
「ふふっ、私ですか?私はジャック・ザ・リッパー。要するに切り裂きジャックですわね。」
そう言って赤いナイフを持ってクルクル回るキラ姉ちゃん。うん、これもジャック違い。しかも物騒すぎる。
「あのさ……もっとこう、他の仮装なかったのか?普通にあるだろ?狼男とか、ドラキュラとか…」
なのに、我が姉妹が選んだのはボンバーマン(本人と柏葉は南瓜と言うだろうが、ボンバーマン)に
仲○さん。さらに海賊に切り裂きジャックときたもんだ。
「で?他の姉妹はまだ着替え中なのか?」
「うん…銀ちゃんと真紅はおそろ…『や、やっぱり嫌よ!はしたない!』『いいじゃなぁい。諦めなさいよぉ。』
いだよ……真紅には…騎士王もいいかなと思ってたけど…真紅の拳は約束された勝利の拳だし…」
そうだね、エクスカリバーだね。さて、真紅姉ちゃんが恥かしがるって事は恐らく露出の多い服装だろう。
真紅姉ちゃんは露出を異様に嫌う。まぁ、スタイル云々だろうけど。となると、同じ仮装の銀姉ちゃん……
これは色んな意味で覚悟しておかないとやばいかもしれない。
「はいはぁい、お待たせぇ~♪」
無理矢理真紅姉ちゃんを引きずって登場した銀姉ちゃん。その格好は、凶悪すぎた。
「……ぎ、銀……それは……」
「サキュバスよぉ~…今回は姉妹でサキュバスねぇ~。モデルはモリガンとリリスかしらぁ。どう?」
それはデンジャラスすぎる格好だった。ハイレグみたいな水着なんだろうか。ただ、布は下乳から半分しか
包んでおらず、上乳は全く隠れてない。谷間がはっきり分かってしまう。



「えへへ~、どうお兄ちゃん。興奮しちゃう~?」
普通に考えてしないほうがおかしいです。よく見れば黒い羽も背中にある。一方、真紅姉ちゃんは腕で胸を
隠しながらモジモジしてる。これは真紅姉ちゃんには羞恥プレイ以外なんでもないな。
「じゃあ、お兄ちゃん。恒例の……トリックアンドトリート!」
「はいはい、お菓子な……って!アンドって何だよ!?」
「え?お菓子くれても悪戯するわよぉ?」
何だろう、その理不尽さ。銀姉ちゃんらしいっちゃらしいけど。そんな事思ってると、銀姉ちゃんはその悪魔的
な薄着で僕に抱きついてきた。もう、僕に伝わってくる感触がヤバイ。色々やばい。
「ふふっ、さってっと、お兄ちゃんにどんな悪戯しようかしらねぇ~。」
銀姉ちゃんはぺロリと唇を舐めて妖艶な笑みを浮かべる。僕は辺りを見回して助けを求めようとするが、
ヒナ姉ちゃんは転んで「起きれないのぉ~!」と亀よろしくなってるし、カナ姉ちゃんはそんなヒナ姉ちゃんを
助けようとしてるが非力すぎて起こしきれない。薔薇姉ちゃんとキラ姉ちゃんは、すでにご馳走を食してる。
ダメだコレ。そんな時、銀姉ちゃんが引っ剥がされる。よかった。このまま股間がマウント富士になるトコだった。
「いい加減にしないさ水銀燈。お兄ちゃんも困ってるでしょう?」
ああ、ナイス真紅姉ちゃん。僕は真紅姉ちゃんの方をみて……すぐに目をそむけた。真紅姉ちゃんは四つん這い
のような格好で僕を見ていた。いやあの……突起が二つほど……
「?どうしたのお兄ちゃん?目なんて背けて。」
「……ぷっ…あっはっはっはっは!!しぃんくぅ…くくっ…その格好だと…ぷぷっ…胸がスカスカで見えちゃってる
わよぉ!?あーっはっはっはっは!!」
爆笑する銀姉ちゃん。そう、それなんです。見えてるんです。真紅姉ちゃんは何の事か分からない様な顔を
して、次の瞬間一気に顔を紅潮させた。
「い……いやぁぁぁあああああああああ!!!」
「ちょ、何で僕……げふぅ!?」
錯乱した真紅姉ちゃんは僕を思い切り殴ると、涙目で部屋から出て行ってしまう。僕、殴られ損じゃない?



「もう!なぁに盛り上がってるですかぁ!?おめぇらはええですよ!!」
さて、次にやってきたのは翠姉ちゃんだ。魔女ルックだ。うん、見間違う事ないくらい魔女。どう見ても魔女。
「てて…翠は魔女か?色んな意味で似合うな。」
「…なぁんか引っかかるですけど……翠星石より似合うのがいるですよぉ?蒼星石~!」
翠姉ちゃんが蒼姉ちゃんを呼ぶ。すると、スーツの上に黒い外套を羽織り、髪型が決まってる蒼姉ちゃんが
現れた。ドラキュラだろうか。さすが、というべきなんだろうか。蒼姉ちゃんのドラキュラは驚くほど似合ってた。
「どうですかぁ?蒼星石に血ぃ吸われたいでしょぉ?ちゃぁんと牙もあるんですよぉ?」
翠姉ちゃんはそう言うと嬉々として蒼姉ちゃんの口を開かせる。すると、上の歯に牙のような八重歯が
生えていた。あれ?でも、蒼姉ちゃんって八重歯あったっけ?
「これは付け牙ですぅ!まぁ、ちょっとマニア向けですね。」
「はははっ……どうかな、兄さん。似合ってるかな?」
蒼姉ちゃんがクルっと一回転する。フワリと外套が舞った。
「ああ、似合ってるよ蒼。なかなか格好いいじゃないか。」
「格好いい……か……うん、ありがとう。」
蒼姉ちゃんは少し不満そうに言う。可愛い…と言うべきだったろうか。でも、仕方ない。本当に格好いいから。
「さ、それじゃあハロウィンパーティー始めるですよぉ!翠星石が腕によりをかけたですから味わって食いやがれ
ですぅ!!お?真紅は仮装やめたですかぁ?」
翠姉ちゃんが号令を出すと共に、私服に着替えて未だに顔を赤くしてる真紅姉ちゃんが帰ってくる。
まぁ、色々御免。総じて銀姉ちゃんのせいだけどね。そんなこんなで、我が家のハロウィンパーティーが始まった。



「兄さん、入っていいかな?」
さて、パーティーも終わり時間はすでに12時少し前。僕は部屋でベッドに寝転んでいると、蒼姉ちゃんが来た。
「蒼か?いいよ、入りなよ。」
ガチャリと音がしてドアが開く。やってきた蒼姉ちゃんは白いセーターに、キュロットスカートだった。
もう、すぐにでも『うぐぅ』とか『ボクの事、忘れてください』とか言いそうな服装だ。蒼姉ちゃんは僕の隣に
ギシッと音を立てて座る。そして、少し僕に擦り寄る。お互いの膝が当たる。
「兄さん、ハロウィン楽しかった?」
「そうだな。僕は仮装してないけど、みんなのコスプレは楽しかったよ。蒼のドラキュラも似合ってたし。」
あれは、仮装じゃなくてコスプレだろう、うん。
「む~……それは格好いいって意味で?」
「ん?まぁ、そうだな。やっぱり凄く似合ってたと思うし。」
「兄さん、意地悪だよ……僕がそうやって言われるの好きじゃないの知ってるくせに……」
蒼姉ちゃんはそう言ってプクッと頬を膨らませる。が、すぐに止めると珍しく小悪魔的な笑顔を見せる。
「えへへ~……今日はハロウィン。そして、僕はドラキュラ……だから……んっ……」
蒼姉ちゃんはそう言って、僕の首筋にカプッと噛み付いた。首筋がゾクゾクする。舐められてるのも分かる。
「そ、蒼……お前何を……」
「ふふっ、僕は兄さんが認めるくらいドラキュラ似合うんでしょ?ドラキュラは血を吸わないと……ね?」
蒼姉ちゃんが再び噛み付く。僕はそんな蒼姉ちゃんをギュッと抱きしめたままベッドに倒れこむ。
「全く……蒼は本当甘えん坊だな。」
「うん……兄さんと翠星石にしか見せれないけどね…えへへ……」
そんなトコは僕の記憶の蒼姉ちゃんと変わりない。まぁ、他の姉妹を信用してないからじゃなくって、そんな
甘えん坊の自分を見られるのが恥かしいからなんだろうけどね。
「へへぇ……ハッピーハロウィン…兄さん。」
「ああ、ハッピーハロウィン…蒼……」
END


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