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想像してください…
貴方は今日、富士山に夜景を見に行きました。
時刻も23:00をまわったのでもう帰ろうとしています。
ふもとまで下り、車に乗り込もうとすると一人の青年が
話しかけてきました。
ここからが始まりです…では。


ジ「すいませーん。僕ジュンて言うんですけど、
  車がエンストしてしまって…途中まで乗せてってくれませんか?」

ジ「あ、いいんですか?
  ありがとうございます!!」

   ガチャ ブロロロッ

ジ「いやー誰も気付いてくれなかったんで困ってたんですよー」

ジ「そうだ、送ってもらう間お礼に僕が過去に実際に体験した話しますよ」

ジ「ではいきます…、あれはちょうど1年くらい前…」

ジ「真紅っていう女性と付き合っていた頃の話です…」

あれはちょうど1年くらい前…
 付き合い始めて3ヶ月の僕と真紅は富士山まで夜景を見に来ていました。

真「夜景が綺麗ね…ジュン」
 

 口から白い息を出しながら話す真紅に僕は魅せられていました。

ジ「君の方が綺麗だよ…真紅」
  不意に出た言葉を発してからハッ、と我にかえる。我ながら台詞が臭すぎた。
  僕の言葉に真紅は目を丸くしていた。だが、その後、笑みを浮かべながら
  僕に抱きつき耳元で優しくささやきました。

真「フフ、それは臭すぎるのだわ…」

ジ「ごめん…でも僕冗談で言ってない」

真「!!…ありがとう、良い子ね…ジュン」

ジ「真紅……」
   チュッ
 夜景に浮かぶ2つのシルエットが重なった。
 雲一つ無い星空の下、僕達は永い口づけを交わした。

真「…んっ…んんっ……ハァ、ハァ…愛してるわ…ジュン」
 

 真紅の目はとろーんとして、顔は火照っている。きっと僕もそうなのだろう。

ジ「僕もだよ…真紅」
  そう言い終えた後、僕は時計をのぞき込んだ。

ジ「真紅…もう11:00すぎだ…帰ろう」
 僕がそう言うと真紅はうつむき
真「そう…、残念なのだわ…時の流れってイジワルね…」
 と本当に残念そうにつぶやいた。
ジ「また明日も会えるじゃないか…真紅」
真「わかったわ…帰るのだわ……」
 2人でふもとまで下り車に乗った。
 キーを差し込みエンジンをかける。 
ジ「真紅ー、シートベルトしっかりしろよー」
真「えぇ、…って、人に言っときながら自分はしないのね」

そんな何気ない会話…
だけど、僕達は幸せだった。本当に幸せだった。
しかし、その時僕達の愛を引き裂くものの足音なんて気付くよしもなかった……。


山を下り、樹海の入り口あたりにさしかかったとき真紅がつぶやいた。
真「ねぇ、ジュン。月が綺麗なのだわ…」
ジ「今日は晴れてるからなぁ…」
真「えぇ、本当に月が……?!きゃぁぁぁぁ!!」
 突然の真紅の悲鳴に僕は急ブレーキを踏んだ。
ジ「どうした!?真紅!!?」
 真紅の悲鳴からしてただ事ではなかった。
真「ま、窓の外…」
 真紅は震えながら窓の外を指さした。
 僕は窓の外を見た。すごく大きな月…いや、月なんかじゃない!!
ジ「うわあぁぁぁぁ!!?」
 すごく大きな月…と思っていたのは、なんと大きな人の生首だった。
 その生首は宙に浮かび、嘲り笑いながら車の中をのぞき込んでいた。
 そして、だんだん、だんだん近づいてくる。
 突然の出来事に訳が分からないながらも、生命の危険を感じた僕は、

 急いでアクセルを踏み込んだ。車は猛スピードで発進する。
真「ジュン、怖いわ…助けて……」
 真紅が震えながら必死に助けを求めてくる。僕は片手で真紅の手を握りしめた。

 やがて、バックミラーに映る生首は遠ざかり小さくなってやがて…見えなくなった。
 それから5分くらい運転しただろうか、僕はスピードを落とした。
 もう、バックミラーには何も映ってない。
ジ「助かったのか…?さっきの何だったんだ?!」
真「分からないわ…、でも、なにかとても憎しみに満ちた顔だったのだわ…」
ジ「とにかく一刻も早くここから抜け出そう!!」
 僕はまたアクセルを踏み込んだ。今は、とにかく此処から逃げたかった。

    だが、時既に遅し、僕達はあの生首…いや、自殺者の怨霊共に
                      はめられていた事に気付いていなかった…。



ブロロロロロロッ

ジ「どうですか?ここまでの話」

ジ「あぁ、丁度ここら辺ですよ。生首を見たのは…」

ジ「ほら、月が綺麗ですよ」

ジ「あ の 日 の よ う に」

ジ「え?あれは月じゃないって? フフッ……そうですねぇ…」

ジ「僕が何者かだって?さっき言ったじゃないですか、僕は「ジュン」ですよ」

ジ「あぁ、ブレーキなんか踏んでも無駄ですよ…だって……」

ジ「モウ此処カラ逃ゲラレ無インデスカラ……」ニタァ

ジ「では、サっきの話ノ続きヲしまスネ……」


 もう10~20分ちかく走っただろうか…。
 さっきの生首のことで気が動転していたせいか、この異変に気が付かなかった。
 そう、いくら走っても此処から「抜け出せない」のだ。
真「ねぇ、ジュン…来るときは…もっと…早かったわよね…?」
ジ「………あぁ」
 僕はこの現実が受け入れられ無かった…。
 もともと僕は霊や怨霊なんて非科学的なものは信じていなかった。
 しかし、さっきの生首にしろ、今のこの状況にしろ「霊」の仕業…とでも考えないと

 つじつまが合わなかった。
ジ「くそっ、どうなってんだ!?霊なんて…霊なんているはずがない!!」
 しかし、この持論は次の出来事に軽く破られる。
   

  ゴンッ
 

 車のボンネットに何かがぶつかった……。
ジ「(何かがボンネットにぶつかった?狸とかか?…暗くてよく見えないな…)」
 
 しかし、それはそんな生易しいものではなかった。
 
 ボンネットの先から何かが這ってくる。
ジ「(手が見える…まさか…、人か!!??」
 
 そんな焦りをよそにそいつはだんだん這ってきた。
 
 その這ってくるものは確かに人の形はしていた…。だが、明らかに普通の人とは違った。

 なんと、首がなかったのだ…!!
 その霊はフロントガラスにへばりついて恨みがましく訴えてくる…。

霊「ワダジノォ、ワダジ…ノ…「首」カエ…シテェェェ」

ジ・真「ッッッッッッッッッッッッッ!!!!!」
 目の前の出来事があまりに恐ろしくて僕達は声が出せなかった。

霊「首…首ィィィ!!!」
 

 霊は叫びつつける。
 僕はとっさの判断でハンドルを切り、車体を揺らし「そいつ」を振り落とそうとした。
 
 しかし、…ハンドルが言うことを……きかない!!その先にはカーブが……。
 ハンドルが言うことをきかない車は、為す術もなく

 樹海の木々の闇へと吸い込まれていった…。

 しかし車は、まるで操られているように樹の間を抜けて進む…。
 いつの間にかフロントガラスから霊が消えていた…。
 だが、そんな事もはやどうでも良かった。
 行き先が分からぬまま、僕達は震えながら車の進む方へと行くしかなかった。
真「ジュン…、私…もうダメ……」
ジ「諦めるな!君は…君は僕が必ず守ってみせるから…!!」
真「!ジュン…」
 僕達をよそに車は進み続ける…。樹海の奥…漆黒の闇へ…。


 そして、樹海の真ん中あたりで……車は急停止した…。

車は止まるには止まったが…もう動きそうにない。
 ボンネットの隙間から煙が吹き出している…。
ジ「……もう動きそうにないな……」
真「そんな!じゃあ、私たちどうやって街まで戻るの?…もしかして」

真「もしかして、一生このまま?」
 真紅の頬に一筋の涙が伝う。悲しみに満ちた顔だった。
ジ「落ち着いて、真紅…とりあえず今日は車の中でもう寝よう。
  下手に動き回るよりそれが良い…。朝に…朝になったらきっと何とかなるから」
   僕の必死の説得に真紅は落ち着きを取り戻した。
真「でも、もしさっきみたいな怪物が現れたら…私…」
ジ「………真紅…僕のさっきの言葉覚えてるか?」
真「……必ず守ってくれるって話?」
ジ「そうだ、真紅が危なくなったら僕が必ず守る……約束だ…」
真「約…束?…わかったのだわ…」
 こうして僕らは車に乗り込んだ。そのまま朝が来ると信じて………。



 眠りについてから約1時間後…、ジュンはただならぬ不安感に目を覚ました。
   

   ガバッ

ジ「ハァ、ハァ(何だ?この胸騒ぎは…)!!!」

 


………隣に寝ているはずの…真紅が……いない…!!
  


   ガチャッ
 僕は車から飛び出した!!
ジ「真紅!?居るのか?おい!!真紅!!」
 

 返事は…無い……。

ジ「(まさか…)真紅ー!!!」
 僕は走り出した。深い、深い闇の中へ…
ジ「おーい!!真紅!!どこに居るんだー!!!」
 僕は気が狂ったように叫びながら走った。闇の奥へ、奥へ…。
 夜目に慣れていないせいか、周りの視界はほとんどゼロだ。
ジ「おーい!!真…痛っ!」
 僕の足が急に止まる。何かに…引っかかった?
いや、引っかかったんじゃない。この感触は……掴まれた!?
 僕は足元を見た…。
ジ「(暗くてよくわからないけど…これは……手!??)」
 そう、僕の足はしっかりと…青白く冷たい手に…掴まれている。
ジ「(足が動かない…人間の握力じゃない!!)」
 だんだん夜目に慣れてくる…。そして視界に入ったのは…
ジ「うわあぁぁぁぁぁぁぁ!!!!??」
そこには、何十…いや、何百本もの青白い腕が僕に向けて手招きしている。
 また、木々から垂れ下がったロープには何十人もの首吊り自殺者が…!!
 目に光はないものの、その口はつり上がり、笑みを作っていた…。
 そいつ等は僕にこう語りかけて来た……。
「オ マ エ モ イ ッ シ ョ ニ 死 ヌ ?」
ジ「っっっっ!!!!!!!!!」
 もう本当に驚きすぎて声が出ない、思考も止まる…。
 後ろずさった時に背中に感触が………。まだ少し暖かい…
振り向いてみた。そこには、見覚えのある姿が…
 
 僕が愛していた綺麗な金髪にはドス黒い紅がこびりつき、
 
 僕が愛していた彼女の蒼い瞳にもう光はなかった…。

 そう、変わり果てているがそれは………真紅だった……。

ジ「うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…………」


………ガバッ
ジ「!!!!????ハァ、 ハァ、 ハァ、 ハァ、真紅!!??」
 ジュンは目が覚めた。そこは車の中だった。また時刻は2:00
 すごい寝汗だ。
 
 隣には……真紅が居た。
ジ「(夢…だったのか??)真紅、今すぐ逃げるぞ、此処は危険だ!!」

 返事は無い…

ジ「おい、真紅!起きろよ!!」
 今度は真紅の体を揺すった。
 返事は…また無い…

ジ「なぁ、真k……!!!!??」
 僕が真紅を揺すっていた方の手には真紅の血が…、
 彼女の寝息は聞き取れない…。

ジ「え?、…な…なん…で?夢じゃ…無かった…のか?」
 頭が痛い、意識が遠のいてゆく…。
 その瞬間、僕の背後から声が………。



真「約束…守ッテ…クレナカッタワネ、信ジテタノニ……」



ジ「これで話は終わります…どうでしたか?」

ジ「えっ?真紅はどうしたのかって?」

ジ「まだ居ますよ…この世にねぇ…」

ジ「どこに居るかって?意外と近くにいますよ…」

ジ「ほら、貴方の後ろに……」



        


             真「貴方ハ、約束ヲ守ッテクレルノカシラ?」


キイィィィィィッ  ガッシャーンッ

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