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桜田ジュンの心霊体験


この部屋はどうもおかしい。

引っ越してから1ヶ月、いつも誰かに見られているような気がする。
相場より随分安い家賃にひかれて決めたが、やはりもう一度引っ越すべきだろうか、そんなことを考えはじめたころにそれはおこった……


ある日の夜、ベッドに入り、眠ろうとしているとどこからか女の声が聞こえてきた。ぼそぼそとくぐもった声だ。何を言っているかまでは聞き取ることが出来ない。

最初、僕はそれを隣の部屋からのものだと思っていた。
ベッドが壁ぎわにあるし、このアパートは家賃が安いだけあって壁も薄い。ベッド側とは逆隣の部屋からも音が漏れてくることはよくあったからだ。

幾分不気味ではあったが、たいして大きな声でもないし、今は深夜と言える時間帯だ。そのうち静かになるだろうと僕は気にせずにそのまま眠ろうとした。

だがその声は、一向におさまる気配はない。それどころか段々と大きくなっていく……いや、大きくなるというよりは「近づいてくる」という感じだ。





その時、僕は気付いてしまった。ここは二階の角部屋、隣に部屋は無い。音が漏れてくるなんてあり得ないことだ。




ではこの声はどこから?





そう思って目を開けると、目の前に、目を見開いた女の顔があった。僕の顔を横から覗きこんでいる。
女はゆっくりと口を開き、こう言った。


「……一人は寂しいです……お前を殺せば一人じゃなくなる……」


さっきまではうまく聞き取れなかったのに今度ははっきり聞こえた。

女の声を合図に、女の髪がざわざわと動き始める。






それはゆっくりと、だが確実に僕の首に巻き付いてきた。




「……いい匂いだな」
「へ?」
「髪だよ。それにさらさらだ」

そう言って僕は女の頭を撫でてやる。

「や、やめるです! 翠星石はお前を殺しに……///」
「さっき聞いたよ。寂しいんだろ? でもわざわざ殺さなくてもこうして一緒にいられるじゃないか」
「そ、そういう問題じゃ……」
「とにかく今日はもう遅い。話の続きは明日だ。一瞬ゾッとしたし責任とってあたためてもらおうか」

僕は彼女を抱き枕のように抱きしめる。

「は、離しやがれですぅ!///」
「はいはいおやすみ」
「……あぅぅ///」



次の日の話し合いの結果、僕は一生呪われることに決った。
それは他の女と結婚できなくなる呪いらしい。
「お、お前が死ぬまでとりついてやるです///」
何も問題はない。こうして僕は呪われたのだ。





それ以来、僕はこの幽霊との生活を続けている。

幽霊のくせに弁当を作ってくれたり、シャツにアイロンをかけたりと人間とほぼ変わらない。

まさに、現在進行形で心霊体験をしているのだ。

これ以上恐ろしい話を僕は知らない。


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