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「一つ屋根の下 第七十話 JUMと焼肉」



「みんなぁ、いらっしゃぁ~い。」
秋も深くなり、冬が近づいてきたある日。玄関から銀姉ちゃんが呼ぶ声がした。
「ん?何銀姉ちゃん……そのデカイ箱は…一体?」
僕が玄関に行くと、デカイ発泡スチロールの箱を抱えてる銀姉ちゃんが居た。
「いいから、とりあえずリビングまで運びましょぉ?」
僕は箱の端を持ち、銀姉ちゃんとそれを運ぶ。何だろ。妙に冷たい。生ものかチルドか?
「水銀燈、それは何ですかぁ?」
リビングに行くと、早速翠姉ちゃんが絡んでくる。
「めぐがくれたのよぉ。『パパの仕事の関係で貰ったらしいけど、ウチじゃ食べきれないから。』とか言って。」
「となると、食べ物かしら?きらきー……あら?きらきーは?」
「きらきーは……お昼寝してる……でも、そろそろ起きてくる…」
またか。キラ姉ちゃんは本当にお昼寝好きだな。休みの日は、気が付いたら部屋で寝てる気がする。
「食べ物なら、今日の晩御飯にしちゃおうか。幸い、買い物まだだし。じゃあ、あけるよ。」
蒼姉ちゃんが鋏で、スッとガムテープを切り開く。中から出てきたのは、赤い塊だった。
「お肉……ね。しかも高級そうね。霜降りだわ。」
真紅姉ちゃんが言う。うん、何て言うかスーパーで売ってるお肉とは訳が違う感じだ。
「うわぁ~い、じゃあ今日は焼肉なのぉ~!!」
ヒナ姉ちゃんがばんざ~いと手を上げる。焼肉とは結構久しぶりだ。というのも、我が家は焼肉にすると
出費が非常にやばくなるお方がいらっしゃるので。
「くんくん……おはよ~ごじゃーまふ……」
噂をすれば何とやら、生肉の匂いすら嗅ぎ分けたのか、キラ姉ちゃんがリビングへやってきた。



キラ姉ちゃんといえば、七女と下から数えた方が早いけども銀姉ちゃんに次いで我が家では大人っぽい。
そのキラ姉ちゃんが寝起きは随分と子供っぽくなる。パジャマ姿で目をゴシゴシしながら起きて来る姿は
微笑ましいくらいだ。低血圧なせいか、寝起きしばらくはフラフラしてるのも見逃せない。
「きらきー……今日は焼肉だよ……」
寝惚けてるキラ姉ちゃんに薔薇姉ちゃんが言う。その瞬間、カッとキラ姉ちゃんの目が見開かれた。
「焼肉!?ああ、お肉ですわ!早速食べましょう!!」
生のまま食べる気なんだろうか。覚醒した薔薇姉ちゃんを蒼姉ちゃんが抑えている。
「はいはい、落ち着いて雪華綺晶。今御飯とか沢山炊くから。あ、JUM君。ホットプレート出すの
手伝ってもらっていいかな?一人だとちょっと重くて大変だから。」
我が家のホットプレートはデカイ。まぁ、9人もいれば当然といえば当然だけど。
「じゃあ、翠星石は御飯炊いてくるですよ。早炊きすれば30分かそこらで炊けるはずですぅ。」
とまぁ、そんな訳で我が家の焼肉大作戦が開始された。僕は蒼姉ちゃんと一緒にホットプレートを
リビングのテーブルへ持っていく。翠姉ちゃんはシャカシャカとお米をといでいる。他の姉ちゃん達も
テーブル拭いたり、お肉の量が多いのでお皿に分けたりしてる。
そして、約30分後。炊飯器がお米が炊けた合図を鳴らす。キラ姉ちゃんの目がキュピーンと光る。
翠姉ちゃんが全員分の御飯をお茶碗に入れて、持って来る。ついでに、もう一回といでる所を見ると
足りないと踏んでるんだろう。焼肉と御飯のコンビは最強だから仕方ない。
「それじゃあ……いただきま~~す!!」
銀姉ちゃんの合図でプレートの上に肉が並べられていく。タン、カルビ、ロース、ハラミ、若鶏……どれもこれも
食欲を増幅させる香りを放ちながら身を染めていく。キラ姉ちゃんじゃないけど、目がギラギラする。
「ふふふっ……お肉お肉。」
キラ姉ちゃんが焼けたカルビをタレの中に付け、口に含む。至福の顔をした後御飯を口に入れる。完璧だ。
「美味ですわーーーーー!!!」
ミスター○っ子ばりに感動の声をあげるキラ姉ちゃん。どれ、僕も食べるかな。
「んっ……あ、これ美味しい。」
食べたのはハラミかな。味も、香りも、歯ごたえも。何もかもが美味しいって言葉に集約されてる感じだ。



「あーー!!それは翠星石の肉ですぅ!!」
「違うのぉ!!ヒナが丹精込めて育てたお肉なのぉ!!」
「喧嘩してるうちに楽してズルしていただきかしら~。」
「全く、騒々しいわよ。JUM、紅茶を淹れなさい。」
「……君は飲み物紅茶しかないんだね、真紅…」
「……………もぐもぐ……………」
「薔薇しー、貴方結構黙々と食べるタイプだったのねぇ。」
何時も以上に騒がしい食卓風景だ。まぁ、焼肉だから仕方ない。僕も楽しい気分でお肉と御飯が進む。
あ、野菜もちゃんと食べてるよ?さっき翠姉ちゃんが冷やしトマトのチーズ和え作ってたし。
「あ、きらきー!そのタン焼いて欲しいかしら。」
カナ姉ちゃんが言う。しかし、キラ姉ちゃんは何故か不思議そうな顔をする。そして、とんでもない事を言う。
「タン?タンとは……どれですか?」
一瞬、食卓の箸が止まった。今何て言った?もしかして、キラ姉ちゃんさ。
「あのさ、キラ姉ちゃん。おしかして、お肉の種類知らないで食べてた?」
「?お肉はお肉じゃありませんの?」
ああ……何となく理解。キラ姉ちゃんは食べ物と認識すれば、名前はどうでもいいんじゃなかろうか。
名前なんて便宜上のものだ。だけど、大切にしたほうが……
「タンはその薄いヤツだね。ちなみに、牛の舌だよ。」
蒼姉ちゃんが優しく説明する。キラ姉ちゃんは薄い肉。つまり、タンを掴んでプレートの上に置く。
「このお肉がタンですか。歯ごたえあって好きですわ。牛の舌という事は…牛とディープキスですわね♪」
タンを食べていた僕と翠姉ちゃん。そして、真紅姉ちゃんと薔薇姉ちゃんの口の動きが止まる。
いやさ、そうには違いないだろうけど……その物言いは嫌過ぎる。
そんなこんなで、食事は進んでいき。お肉も少なくなってきた。
「あれ?翠姉ちゃん、もうタンないの?」
「自分で冷蔵庫見て来いです。甘えるんじゃねぇですよ。」
「あら、じゃあ私も見に行きますわ。一緒に行きましょう、JUM?」



さて、我が家はリビングと冷蔵庫&台所は微妙に離れてる。まぁ、リビングがでか過ぎるからなんだけど。
僕は冷蔵庫を開ける。お皿に残りの肉が入ってる。これで全部のようだ。が……
「あれ……タンがない……うわぁ、マジかよ。タンは売り切れかぁ。」
お皿にタンはなかった。人気商品だから仕方ないが、食べたかった物がないと凹むよねぇ?
「私が食べたのが最後でしたのね……そうですわ、JUM。タン食べさせてあげますわ。」
「へ?いやないのをどうやって?」
「いいからいいから♪さ、あ~んなさってください?」
キラ姉ちゃんが笑顔で言う。何だ?でも、僕はとりあえず言われるままに口を開ける。すると、キラ姉ちゃんの
顔が僕に近づいてきて、唇が触れる。同時に口の中に……こういう事か…まぁ、タンではあるかもしれないけど。
「んんっ……ちゅっるっ…ふっ……あふぅ…どうですか、JUM?タン、美味しかったですか?」
一度唇を離しキラ姉ちゃんが言う。
「いや、何かよく分からなかったんだけど………」
「そうですか。じゃあ、もう一度ご賞味なさって下さいな。」
再びキラ姉ちゃんがタンを僕の口の中に入れる。僕も今度はその味を感じる。焼肉のタレの味がする。
いや、微妙にお肉の味もするな。むしろ、タンだからお肉の味がするのだろうか。
「んっ……ふふっ、JUM。何ならここで私のお肉も食べますか?」
唇を離す。すると、キラ姉ちゃんは僕の手を取って、自分の胸に当てさせた。誤解しないで貰おう。
あくまでキラ姉ちゃんが僕の手を支配してるからだよ?フニフニと服と下着の上からも柔らかく大きいのが
伝わってくる。もう一回言うけど、僕の意思で触ってるわけじゃあないよ?
「ちょ、ちょ、ちょ、ちょっとキラ姉ちゃん!?」
「ふふっ……JUMがその気がないなら…私がJUMを頂いてしまいましょうか。」
キラ姉ちゃんは僕の首筋に唇を置き、舌で舐めてくる。僕は言われない快楽を感じる。体がゾクゾクする。



「んっ……ちゅるっ…ペロペロ……ん、美味しいですわ、JUM……」
「うあ……き、キラ姉ちゃん……」
キラ姉ちゃんは僕の首元からゆっくりゆっくり喉元に移動してくる。多分、今良く見れば僕の首筋には
キラ姉ちゃんの舌が這った道ができているのがわかるだろう。
「どうですか、JUM?お腹空いたでしょう……?食べていいんですのよ?」
キラ姉ちゃんは再び自分の胸に僕の手を乗せさせる。僕の心臓がドキドキいってる。
「JUM……」
「キラ姉ちゃん……」
僕が手に力を入れようとしたそのときだ。
「JUM!!きらきー!!何モタモタしてやがるですかぁ!!さっさとお肉持ってきやがれですぅ!!」
リビングから翠姉ちゃんの怒鳴り声が聞こえてくる。僕はそれでハッと正気に戻り、キラ姉ちゃんと体を離す。
「ああんっ…あと少しでしたのに……」
キラ姉ちゃんが言う。危ない。冗談抜きで取り込まれそうだった。
「き、キラ姉ちゃんも馬鹿な事してないで。ほら、お肉持って戻ろう?」
僕は残りのお肉を持って台所を出ようとする。と、後ろからギュッとキラ姉ちゃんに抱きしめられる。
「キラ姉ちゃん?こんなの見られたら姉ちゃん達きっと怒るよ?」
「分かってますわ。ですから、リビングにつくまで……ですわ。」
とは言うのもの、リビングなんてすぐだ。キラ姉ちゃんは僕を離すと、耳元に顔を近づけていった。
「今日は失敗してしまいましたけど……必ずお互い食べますわよ?」
キラ姉ちゃんはそう言うと、先にリビングのドアを潜った。僕は、その言葉のドキドキを押さえるとようやく
リビングへ入っていった。正直、焼肉でよかったと思う。だって、さっきから汗が止まらないんだから。
END

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