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「一つ屋根の下 第六十六話 JUMと空席」



「なぁ。べジータ。お前今日暇か?」
学校の放課後。僕はべジータに声をかけた。
「あん?まぁ、暇だけど。どうした?さては、ナンパか?OK、俺のテクを見せてやるぜ。」
「いや、違う。大体、お前ナンパ成功率0じゃないか。そうじゃなくてさ、お前今日暇なら僕の家に来ないか?」
すると、パァッとべジータの顔が明るくなる。
「な、な、なにぃ!!いいのか!!??」
「ん?ああ、いいよ。晩飯も食べていけばいい。」
「ひゃっほーーーー!!JUM最高ーーー!!すまん、俺は誤解していた。お前が俺を家に上げさせない
のは、てっきり姉方と毎日秘密の花園でハァハァしてるからだと思ってたぜ。」
何その妄想。実際は姉ちゃん達が僕と父さん以外の男はあまり入れたがらないからなんだけどね。
「くぅ~!!ワクテカしてきたぜ!!あ、行く前に銭湯よろうぜ。何が起こるか分からないだろ?特にアソコは
洗っておかないとな。そうだ香水も……」
必要ねぇよ。ありえねぇよ。やっぱ呼ぶのやめようかなぁ。
「盛り上がってるね!!担任の梅岡だよ!!銭湯に行くのかい??いいね、先生も一緒に行ってあげよう。
男同士の裸の付き合い……何だか興奮しちゃうよね!!」
しません、間違ってもしません。てか、どっから出てきたんだ貴方は。
「さ、行こうべジータ!!先生、人のいない銭湯知ってるから。」
「じゃ、僕は先に帰ってるからな。」
「へ?あ、ちょ、そ……へっ、ここからが本当の地獄だ……」
べジータ、家に来る気力なくなってるかもな。



「ただいま~……まだ誰も帰って来てないのか。おーい、生きてるかべジータ?」
「わ、わからねぇ。ただな、ヤツが手をワキワキさせながら迫ってきたかと思えば……気づいたら何だかケツが
痛かった。一体何をしたんだろうな、あいつは。」
知らない。僕は何も知らない。何も分からない。とりあえず、さよならべジータ。
「まぁ、そんなことはどうでもいいぜ!!ふふっ、初めて来たぜ……ここがローゼン家か……」
何だかべジータは感動しているようだ。大げさなヤツだ。
「じゃあ、とりあえず俺は蒼嬢の部屋でハァハァするから案内しろ。ああ、蒼嬢のベッド、枕、机……
そしてタンスの中!!うっひょー!」
やっぱ追い出すか?こいつ。そんな事を思ってると、ガチャリと玄関のドアが開く音がした。
「たっだいまなのぉ~~!!」
「お邪魔します。」
ヒナ姉ちゃんみたいだ。それと、誰か来たみたいだけど……あの声は柏葉か?
「お帰りヒナ姉ちゃん。あ、やっぱ柏葉か。」
「あのね、JUM!翠星石と蒼星石の席開いちゃってるから、トモエ呼んだの!!ダメかな?」
「いいんじゃない?僕もソレでべジータ呼んじゃったし。」
何だ、同じ考えか。翠姉ちゃんと蒼姉ちゃんが修学旅行で不在の我が家のテーブルは微妙にもの寂しい。
だもんで、とりあえず空席を埋めようとべジータ呼んだ訳だ。
「ふふっ、桜田君も結構寂しがり屋さんなんだね。」
柏葉がクスクスと笑う。まぁ、文句は言えないけどさ。そんな気もするから。
そう思ってると次々と姉ちゃん達が帰宅してくる……誰かを連れて……



「ただいまかしらー!ねぇねぇ、みっちゃん連れて来ちゃったかしらー!いいよね?いいわよね?」
「お邪魔しま~す。きゃー、ここがカナの家なのね~!!」
「ただいま帰りましたわ。あら?靴が多いですわね。そうそう、留学生のオディールを連れてきましたの。」
「オジャマシマス。」
「ただいま……桑ぴー連れてきちゃった……」
「わー、ここが薔薇ちゃんのお家なんだ~!ひろーい、おおき~い。」
「ねぇ、本当にいいのかな?私も晩御飯頂いちゃって。」
「いいのよぉ。どうせ席は空いてるんだものぉ……って、あれ…?」
とまぁ。カナ姉ちゃんはみっちゃんさんを。キラ姉ちゃんは留学生のオディールを。薔薇姉ちゃんは桑田さんを。
銀姉ちゃんはめぐ先輩をそれぞれ連れて帰ってきた。結局、みんなで同じ考えだったみたいだ。
「ただいま……何なの?これは……」
と、真紅姉ちゃんが帰ってくる。そして、リビングを見て呆然としている。まぁ、普通の反応はそうだろう。
ただでさえ、我が家は人口密度が高い方だけど、今日は何時もに増して多い。
「はぁ……真紅ぅ……貴方可哀想な子ねぇ。」
「?何を言ってるの?水銀燈。」
「貴方友達居ないんでしょ?」
「なっ!?いるわよ!!ただその……設定上これ以上人が居ないから連れて来れなかっただけなのだわ!」
あーあー、裏事情裏事情。にしても、これだけ人が集まると逆に問題が。
「……人がいるのはいいけど……晩御飯足りないよ……」
そう、御飯の問題。今日は当番は薔薇姉ちゃんとキラ姉ちゃんだ。だが、どう見ても足りないだろう。
「ふっ……何かお困りかい?レディ達?」
べジータがキラリと歯を光らせる。ああ、いたいた。パシリに役立ちそうなのが。
「べジータ……あれとこれ買ってきて…実費で…」
「M字、紅茶を買ってきなさい。」
「うにゅーも買ってきてなの~!」
「ふっ、頼られてるぜ俺!!よし、任せろぉおお!!」
いや、利用されてるだけです。しかも、薔薇姉ちゃん実費って……



『いっただっきま~~~~す!!!』
こうして、足りない席はみんなの部屋の机の椅子を持ってきて、総勢13人での食事が始まった。
「へぇ、これ美味しいね。薔薇水晶ちゃんはお料理も上手いんだね~。あ、今度は水銀燈の食べたいな。」
「機会があればねぇ……」
「M字。誰が食べていいと言ったの?お風呂掃除も終わってないでしょう?その後庭の草むしり。それが
終わったら余りモノを食べていいのだわ。」
「じゃ、じゃあせめて洗濯物も俺が……」
「触らないでいい……下着高いのに汚れちゃう……」
「べジータ君変態だね……明日先生に言っておくよ。」
「ああん、カナのお料理おいっし~~!!!」
「みっちゃん、それバラバラの作ったやつかしら……」
「ニホンショク、トテモオイシイデスネ。」
「あら?今日は何時も以上に箸が進みますわ。巴、御飯をよそって下さる?」
「うん・・・はい、雪華綺晶。」
「うよーい、みんなで御飯は美味しいのぉ~!!」
とまぁ……何時も以上に騒がしい我が家の食卓だった。でも、こんなのも悪くない。
「JUM……翠星石と蒼星石…いなくて寂しい…?」
「ん?まぁ、やっぱり寂しいかな。多分、みんなもそうなんでしょ?だから、こんな状況になってるわけで。」
「うん……早く帰ってきて欲しいね…」
本当にその通りだなぁと僕は思う。二人が無事に家に帰ってきて、空席なく9人で食卓を囲む。
今の僕はそれだけが些細な望みだった。
END

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