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「一つ屋根の下 第六十五話 JUMと料理」



「な、何ですってーーーーーー!!!!!!」
朝からキラ姉ちゃんの絶叫が家中に響きわたる。
「だから、前々から言っておいたじゃねぇですかぁ。きらきーは何も聞いてねぇですね。」
「ごめんね、雪華綺晶。でも、僕らも行かないとだし。」
キラ姉ちゃんがガクガクと震えてる。いやさ、本当何回も言ってたよ?二人が今日から一週間修学旅行だって。
「そ、そ、そ、そ、そ…それじゃあ御飯は……?」
「作れる訳ないでしょ?毎日ドイツから送れって言うの?」
「お、蒼星石。そろそろ時間ですぅ。それじゃあ行って来るですよ~。」
「あ、本当だ。それじゃあ、みんなヨロシクね。お土産買ってくるから。」
翠姉ちゃんと蒼姉ちゃんがプラプラ手を振りながら玄関から出て行く。で、残ったこっちの処理だが……
「ぐすっ…そんな…酷すぎます…私から二人の御飯を奪うだなんて…ひょ、兵糧攻めだなんて…」
キラ姉ちゃんが膝を付いて今にも泣きそう…というか、泣いてるな。これは。
「きらきー……大袈裟だよ…御飯はみんなで作るんだし……」
「放って置きなさい。さ、そろそろ私たちも朝御飯にしましょう。JUM、紅茶を淹れなさい。」
僕等は玄関にキラ姉ちゃんを置いてリビングへ戻ろうとする。が、その時だった。
「………もうこの世に思い残す事はありませんわ……」
目の錯覚だろうか。なんかさ、キラ姉ちゃんからふわっと何かが出たような。まさか霊体ですか?魂ですか?
「きゃあーーー!!き、きらきーの魂が抜けかかってるかしらぁー!」
「ちょ、ちょっとしっかりなさいよぉ!!ほら、二人の朝ご飯は残ってるから食べなさぁい!」
「雪華綺晶すごいのぉ~。ヒナにもやり方教えて~♪」
僕はキラ姉ちゃんの食に対する心意気を心底学んだ気がした。



「あはははっ、それは大変だったね。」
教室で僕と薔薇姉ちゃんは桑田さんと、今日の朝の出来事で雑談していた。一応、キラ姉ちゃんは
一命を取り留めてはいる。最も、さらに死にそうな奴が約一名ほど…
「蒼嬢……何故だ…何故俺から離れたんだ…ずっと一緒に居ようって誓ったじゃないか…あんなに
一緒だったのに……夕暮れはもう違う色……」
腐敗臭を漂わせて机にうつ伏せているのは我らがM字ハゲ。大した妄想力だな、それ。
「でもさ、実際二人が居ないと家事大変じゃないの?」
「うん……御飯は真紅と雛苺を除いてローテーション……雛苺はお掃除とか好きだからいいけど…」
「あ~……真紅姉ちゃんは使い道に困るな。料理はさせたらヤバイし、掃除は嫌いだし。」
大体、真紅姉ちゃんは部屋掃除さえ僕にやらせるようなお人だ。家事のスキルなんぞ微塵もない。
「へぇ~、真紅ちゃん家事ダメなんだ。どうするんだろうね、将来結婚したら。」
「あ~……『JUM、貴方は一生私に仕えるのだわ。だから、私は家事なんてしないでいいの。』とか……」
裏声を使って真紅姉ちゃんの真似をしてみる。
「ぷっ…あはははっ、ちょっとだけ似てたよ桜田君。でも、ふ~ん…へぇ~…そうなんだぁ~。」
桑田さんが僕をニヤニヤしながら見てくる?あれ、何か変なこと言ったかな?
「私は認めない……JUMは私の側にいるんだから……JUM、私だったら家事もJUMのお世話も何もかも
するよ……性的な意味でも……だから、私と結婚しよう……」
「モテモテだね、桜田君。」
ああ、そういう意味ですか。僕の脳内では未来のビジョンが曇りまくっててコメントできません。
「おはようみんな!!担任の梅岡だよ!!どうした、べジータ。元気ないな。そうだ!!後で梅岡玉でも
注入してあげようか?元気でるぞ!?」
一瞬でベジータの顔が青ざめる。無理矢理元気なフリをする。何だろ、梅岡玉って。いいや、どうでも。



「あらぁ、いいトコで会ったわぁ。JUM、一緒にお買い物行きましょう~?」
放課後。帰ろうとしていたら、銀姉ちゃんに捕まった。今日は銀姉ちゃんと僕の当番だ。
「そうだね。今日は僕も作らないといけないし……何にするつもりなの?」
「そうねぇ……明日の当番は金糸雀と薔薇しーでしょぉ?ちょっと心配だから多めにカレーでも
作ろうと思ってるのぉ。あの二人は明日は御飯を炊くだけ。」
まぁ、カナ姉ちゃん辺りはその御飯を炊くのも何だか危険な気がしなくもないけど……洗剤でお米洗いそうだ。
僕と銀姉ちゃんは商店街を歩いて、カレーの材料を買っていく。そういえば、銀姉ちゃんと二人で
御飯の買い物って久しぶりかも。先ずは八百屋で野菜か。
「おやぁ、今日は銀ちゃんがお買い物かい?JUM君連れて新婚みたいだねぇ。」
「あらぁ、新婚みたい。じゃなくて新婚なんですよぉ。」
違います。全然違います。大体、僕は結婚できません。
「翠ちゃんと蒼ちゃんは修学旅行だってぇ?ウチの息子も今日出て行ったわよォ。」
「そう言えば、八百屋さんの息子さんもウチのと同じ歳でしたねぇ。あ、玉葱と人参、ジャガイモ下さいな。」
銀姉ちゃんは適当に八百屋のオバサンと会話しながら材料を買っていく。
「はい、お待ちどうさま!頑張って作ってねぇ~!」
とまぁ、そんな感じで適当に買い物を済ませて、僕等は家へと歩いていく。当然、荷物は僕持ちだ。
「ふぅ……改めてあの二人は毎日大変ねぇ。メニューも考えて、材料も考えて…頭が上がらないわぁ。」
「そうだね。帰ってきたら当番制にでもする?」
こうさ、大事な事って失ってから気づくもんだ。まぁ、二人は帰ってくるけども。
「ん~、それはやぁよ。面倒くさいものぉ。」
御免ね、翠姉ちゃん。蒼姉ちゃん。僕もああ言ったけど、やっぱり面倒だとは思います。



「いただきま~~~す!!」
カチャカチャとスプーンとお皿が当たる音が響き渡る。何とか大目にカレーを作り終え、晩御飯だ。
カレーだけじゃなく、サラダも用意してある。
「ん~……美味しいですわぁ~。特にこのカツとチーズが絶品……」
キラ姉ちゃん。それ、カツはお肉屋さんで買ってきたやつ。チーズも市販の。僕らが作った奴じゃないよ?
「まぁまぁね。たまには違う味でもいいのだわ。JUM、紅茶のおかわりよ。」
カレーでも紅茶。まぁ、僕等も小学校や中学校で、御飯でも牛乳だったから問題ないっちゃないけどね。
今思うと、何が何でも牛乳で……って凄いと思う。ミルメークとか出ると嬉しかったね。
「明日はカナとバラバラだけど……これだけあれば御飯でだけでよさそうね。」
そのつもりで大目に作ったしね。何だかんだで銀姉ちゃんも考えてるんだろう。
「カレーは不思議……時間を置いた方が美味しい…明日はきっと、もっと美味しい。」
全くその通り。熱い御飯に冷えたカレーってのもなかなか美味しかったりするし。明日の朝もカレーでもいいな。
「あ、ヒナお風呂掃除しておいたの~。食べたらみんな入っていいよ~。」
「カナだって洗濯物たとんだかしら~。」
「じゃあ、私は責任を持ってカレーを食べますわ。」
「JUM、貴方の仕事は終わってないわよ。紅茶を淹れなさい。」
「はぁ、肩凝ったわぁ。慣れない事もしたし…まぁ、真紅じゃ分からない理由もあるしぃ~。」
翠姉ちゃんと蒼姉ちゃんが居なくても騒がしい我が家の食卓。空いてる二つの席はちょっと寂しいけどね。
「でも……改めて二人は凄いよね……帰ってきたら…拝んであげよう……」
本当に凄いって思う。二人はずっと家事を受け持ってくれてたんだから。帰ったら、労ってあげようかな。
END

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