※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。

カナのほほをぷにぷにしたいなぁ。
そうだ!
「金糸雀ー」
「なにかしらー?」
ぷに
やった。
これは紛れもなく人間の皮膚だ。僕は勝利を確信した。
そう、ぼくは〈声を掛けると同時に、肩を叩いて指をたてておく作戦〉を実行し
たのだ。
一回目は普通にお願いしたが断られて、二回目は料理している所を奇襲をしよう
としたが、熱くなったフライパンをもっているかの彼女をみているとなんとも不
安でただただ後ろで見ているだけになってしまったのだ。あの時、僕は策士金糸
雀の真髄を見たね。流石は薔薇乙女一の頭脳派の名をほしいままにするだけのこ
とはある。
しかし今回、三回目にしてやっと僕の野望は果たされたのだ!正攻法で行っても
よかったがやはり策士には策で挑まないと意味がないからな。はははははは!!
!さぁ僕の前にひれ伏せ!土下座をしろこの私に!!!!
しかしそこにはニヤリといやらしい笑みをした策士の顔があった。
「!?」
なんだこの余裕は・・・。この期に及んで開き直ったか!?いや・・・奴の笑み
はそんな感じじゃなかった。勝利を確信したまさにそれだった。

その時僕は閃いた。
まさか―――いやそんなはずはない!

僕はおそるおそるカナのほほを覗きこんだ。
「―――!!!」
声にならない悲鳴をあげ僕は戦慄した。
ありえない!確かに僕は彼女のほほをついたはずだ!!指の角度。声を掛けるタ
イミング。自然な演技。すべてが完璧だったはずだ。なのに僕はなぜ・・・・な
ぜ彼女に負けたんだ?
そこには彼女の手のひらで完全にブロックされた僕の指があった。僕の指は彼女
のほほに辿り着く事無く僕の膝と同時に地面に付いた。
「なぜ・・・」
「作戦自体が失敗だったかしら」
得意げな顔で彼女が僕に言い放つ。
「あなたはもともと私を呼ぶときに肩を叩いたりしないかしら。それにいつもは
カナって呼ぶくせに今日は「金糸雀」なんて改まっていたから最初から何かある
とは思っていたかしら。」
僕はただ黙って聞いているしかなかった。反論するにも彼女の言っていることは
正しかったし、なにより実際僕は負けたのだ。どんな反論をしようとそれは卓上
の空論で彼女を論破するまでにはいたらないだろう。
「僕はまた、負けたのか」
そのまま寝転がり僕は天井を見上げた。
無機質な換気扇がくるくると回っている。

「そう。あなたは私にまけたの」
彼女もまた換気扇を見上げている。なにを思っているか僕にはわからない。だが
彼女が次にすることはわかっていた。彼女はしゃがみこんで指を僕の顔に近付け

ぷに
彼女の雪のように白い指が僕の頬に触れる。少しくすぐったいがそれが妙に心地
いい。
ぷにぷに
「おもしろいかしら~♪」
ほほに触れることの何が楽しいのか。素朴な疑問だがきっと人間にはそうゆう本
能的なものがあるんだろう。さて僕も
ぷに
「わ」
彼女がすこし驚いた顔をする。
正攻法で行ってみた。なんだ以外と簡単じゃないか。
「まけたのにひどいかしら」
そういって彼女はほほえんだ。
僕も釣られてほほえむ。

「さてそろそろ」
僕は体を起こし玄関に歩いていった。
「もう帰っちゃうのかしら?」
悲しそうな表情の彼女に振り向いて僕が言う。
「何言ってるんだ?今日親いないんだろ?俺も今日親帰ってこないんだ。だった
ら食材を買って料理しないと。いっしょに買い物いこうぜ」
彼女の顔が輝いた。さっきまでの表情が嘘みたいな満面の笑みだ。
「行くかしら!ちょっとまってて!」
ばたばたと外出の準備をはじめる彼女を見て、僕はまた微笑む。

あいかわらず危なっかしくて不安定で心配ばっかりかけてくれる。社会に出たら
どうなることやら・・・。もともと頭はいいが変なとこでミスするもんなぁ。
「できたかしらっ」
元気いっぱいで彼女が階段から降りてくる。無邪気に笑う彼女はまるで子供のよ
うだ。
「何が、食べたいかしら~?」
「そうだなぁ・・・」
夕食を考えるふりをして僕は社会に出てからのことを考える。
まぁなんとかなるだろこいつなら。無責任なようだがほんとにそう思っている。
何だかんだ言ってもこいつは頭がいい。多少のドジは許されよう
第一こいつには俺がついてる。俺は別に人助けのプロでもスーパーマンでもない
がこいつのためなら俺は何でもできる。そんな気がする。
「悩みすぎかしら・・・」
長い間考えすぎたためか彼女は淋しそうにこちらを見ている。どうやら僕の答え
を待っているようだ。
「・・・カレーにしよう!」
「カレーかしら?」
「うん、カレー作ろう二人で」
「かしら~」
カナ特有の口癖をきき僕は何となく安心する。
カナの言う通りだ。悩みすぎだな。
僕はカナがいればいい。

それだけで十分じゃないか
将来のことより明日のことを、社会のことより今日の夕飯のほうが大事だ。
僕は彼女の手をとり、歩きだした。彼女も僕にあわせて歩きだす。
今はこれで十分幸せだ。

いろいろと悩むのはあとからでいい

だからずっといっしょにいような。金糸雀。

END
|