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「一つ屋根の下 第四十三話 JUMと準備」



「そうだわぁ、今日から晩御飯いらないからぁ~。」
学校祭まで後5日と迫った朝、食卓で銀姉ちゃんが言った。
「あ、カナもいらないかしら~!」
カナ姉ちゃんまで同じような事を言う。
「言われるまでもなく、作る気ねぇですよ。」
翠姉ちゃんが言う。ちょっと待て。作る気ないって?どういう事だ?
「ちょ、ちょっと待ってくださいな!!晩御飯なしって……私に死ねと言うのですか!!?」
キラ姉ちゃんが半泣きで言う。いやさ、食べてくればいいじゃない。そんな大袈裟な……でも、キラ姉ちゃんには
死活問題かも。
「ああ、雪華綺晶達は知らないんだね。」
蒼姉ちゃんがズズッと緑茶をすすりながら言う。相変わらず渋いお人だ。
「どういう事?説明なさい。」
真紅姉ちゃんもさすがに晩御飯なしは嫌なのか、翠姉ちゃんに詰め寄る。
「私が説明してあげるわぁ。うちの学校では、学校祭5日前になると準備の最終段階って事で、下校時刻が
6時から9時に引き上げになるのよぉ。通称、解禁ねぇ。多分、先生から説明あると思うけどぉ。
それで、普通のクラスは9時まで残るからねぇ。大体の人は7時とか、終わってからクラスの人と御飯に
行くのよぉ。だから、今日から学校祭がはじまるまでは晩御飯は作る方が勿体無いってわけぇ。」
成る程、そういえばべジータが先日下校時刻がどうとか言ってた気がするな。
「ヒナは知ってたのよ~。今日はみんなと御飯に行くの~♪」
ヒナ姉ちゃんは知ってたのか……もしかしたら、うちのクラスの担任も言ってたかもだけど……なんせアレだから
なぁ。聞き逃した可能性はかなり高い。


「そういえば、この解禁期間はアリス高校でも一番カップルが出来やすい時期かしら~。」
「そういえばそうですぅ。まぁ、長い時間一緒に準備とかして意外な一面が見えて惚れる……とかよくある事
ですぅ。翠星石は去年、5人くらいに告白されてたですぅ。」
「全部フッてたけどね。でも、結構憧れるなぁ……そういうのって。」
「あらぁ?蒼星石だって去年6人に告白されて全部フッたくせにぃ~。まぁ、私の12人には敵わないけどぉ。」
去年の思い出話に華を咲かせる年上組。何だか僕等は蚊帳の外だ。てか、意外でもないけど、姉ちゃん達
やっぱりモテるんだなぁ。
「みんな騙されてるのだわ。翠星石と蒼星石はともかく……水銀燈にね……」
「ふふふっ……真紅なんて告白された事ないでしょぉ?まぁ、その胸じゃマニア向けよねぇ~。」
朝からケンカがはじまりそうな雰囲気だ。まぁ、真紅姉ちゃんの敗北だろうな。すでにダメージ受けてるし。
「でも、危険な期間ですわ。薔薇しーちゃん!!」
「大丈夫、任せて……」
確かに薔薇姉ちゃんはモテそうだしな。しっかり自衛を……
「JUMは……私が守る……」
あれ?何で僕?自分じゃないの?
「え……何で僕?」
「決まってるじゃなぁい。JUMは、姉妹以外にはあげなぁいのよぉ。薔薇しー、ちゃんとJUMを守るのよぉ。」
「うん……JUMは…姉妹以外にはあげない……私がしっかり守る…例えJUMが変態って噂を流してでも…」
それだけは勘弁してください。てか、僕に人権どころか未来も決定済みですか?
「まぁ、そういうわけで翠星石はしばらく晩飯作らねぇですから。みんなで食べてくるですよ?」
翠姉ちゃんが言う。まぁ、確かに下校時刻が伸びれば余裕が出来て有難い。べジータとでも食いに行くか。
それはそれで、学校祭の楽しみだろうしね。


放課後。今日から解禁との事もあり準備はいつも以上に熱気に溢れていた。
「うんうん、みんな頑張ってるな。先生嬉しいぞ!先生はな、友情ってのは学校生活で一番の宝だと思うんだ。
頑張る元気の……」
梅岡がタラタラと講釈を垂れ始める。はいはい、その話はすでに25回くらいは聞きましたよ。
「そういうわけだから、先生も協力するぞ!!足りないものがあったら何でも言ってくれ!!」
よし、じゃあ遠慮なく言おう。奴はきっとポケットマネーすら出すぞ。
「先生!!あの色の布地とあの色のが足りない!!」
「先生!!お菓子とお茶が足りないです!!おやつタイムのピンチです!!」
「先生!!ローゼンの七巻がそろそろ出ます!!限定版でお願いします!!」
「先生!!DSとPSPが足りません!!」
「よし、先生に任せろ!!先生、みんなに頼られて嬉しいぞ!!買ってくるからな!!」
梅岡はそう言うと、ダッシュで教室を出て行く。全部買って来たらとりあえず笑ってやるか。
「桜田君、制服はどうかな?」
僕がミシンを使ってると桑田さんがやってくる。
「うん、後は一気に作っちゃうだけだよ。頭のフリルは全部出来てるけど……付けてみる?」
僕がメイド服の定番?の頭のフリルを渡す。桑田さんは鏡を見ながらそれを付けてみる。
「おお……桑ぴー可愛いよ……はい、あの台詞の練習……」
「ええっと……お帰りなさいませ御主人様♪桑ぴー、寂しかったにゃん♪」
「うん、ばっちり……お客さんはきっと悶えます…薔薇しー印の公認……」
薔薇姉ちゃんのOKが出る。う~ん……今更ながらウチのクラス色々大丈夫か…?


さて、そんなこんなで時間は9時少し前。クラスメイトはついさっきほとんど帰って行った。飯の誘われたが、
今日はべジータとの先約があったので断った。まぁ、明日にでも一緒に行こう。楽しそうだしね。
「えへへ……準備は楽しいね、JUM……」
教室には僕と薔薇ねーちゃんでべジータと桑田さんが来るまで適当に制服を繕っていた。
「うん。結構面倒かと思ったらさ……案外準備のが楽しいかもだよ?」
薔薇姉ちゃんがそうかもね、と笑う。普段話さないような人とも、沢山話す。みんなの意外な一面が
見れる。それが凄く楽しい。カナ姉ちゃんが朝方言ってた一番カップルが出来る時期ってのも、満更
嘘じゃないのかも知れない。
「……JUM……」
僕がそんな事を思ってると、薔薇姉ちゃんが後ろから僕を抱きしめる。背中にまぁ……胸の感覚が……
「薔薇姉ちゃん、胸が当たってる。」
「…当ててんのよぉ…なんちゃって……最近忙しくて……JUM分が足りないので補給です……」
薔薇姉ちゃんはそう言うと益々力を込めて僕を抱きしめてくる。薔薇姉ちゃんのシャンプーの香りが強く感じ
られる。僕は自分の前に垂れてきた薔薇姉ちゃんの長い髪を撫でる。柔らかくてサラサラだ。
「JUM……こっち向いて……んっ……」
僕は言われるままに顔を向ける。そして、そのまま薔薇姉ちゃんとキスをした。ちょっと、首を捻りすぎで痛い。
「へへぇ……JUMの意識がある時の初キス……」
薔薇姉ちゃんはそう言って、僕の背中に顔を埋める。ああ、そういえば……海では僕は気絶してたしね。
と、そんな事を思ってると教室の入り口からガタンと音がする。僕がバッと見ればベジータと桑田さんが
僕らを見ていた。桑田さんは顔が赤い。ベジータは怒りで今にも髪が金色になりそうだった。


「全く……俺もお前みらいな姉ちゃんが欲しいよ…そうすればあんな事やこんな事…くぅ!タマランチ会長!!」
さて、僕等はあの後近くの中華店に来た。以前(8話)にキラ姉ちゃんが10万ゲットした店だ。今も入り口には
キラ姉ちゃんの満面の笑みの写真が飾られている。
「いくら姉弟でも……そのぉ…学校ではやめたほうが……」
桑田さんがオズオズと言う。最近、キスする度に……って表現は殴られそうだけど、そう表現するしかないから
するけど、人に見られてばかりだ。ヒナ姉ちゃんの時は姉妹に、キラ姉ちゃんの時は道路で他人に。そして、
今回はクラスメイトにだ。
「……寧ろ……みんなの前でした方がみんなJUMを…諦めて良いかも……」
何だか恐ろしい事を言い出す薔薇姉ちゃん。それ、したら僕引き篭もりになるから。
「ま、まぁ何にしろこのペースなら無事に準備終わりそうだね。」
僕は話題をそらす為に必死で学校祭の話をする。
「そうだね。喫茶店はほぼOKだし、体育祭の方も大丈夫なんでしょ?べジータ君。」
「ああ、応援合戦は期待しとけ!まぁ、俺はオープニングセレモニーの司会もあるけどな。」
こう見えて、べジータは仕事が本当に多い。普段のアホさからは想像出来ないくらいしっかりしてる。
「べジータは……アリスゲームの司会もやるんだよね……」
「おう!任せろって!薔薇嬢と桑田嬢も出るんだったな。」
ん?何だそれ?アリスゲーム?
「アリスゲームってのは簡単に言えばミスコンテストだな。優勝者にはアリスの称号が送られる我が校の
伝統行事さ。去年は銀嬢が優勝したらしい。」
そんなもんあるのか。まぁ、それでも楽しみっちゃあ楽しみだ。
「ま、ともかく学校祭まであと少し。頑張って行こうぜ!!」
べジータが綺麗に纏める。そうだな。自分から名乗り出たんだ。頑張らないと意味がない。
学校祭まで後少し……必死になってみるのも悪くはないな。
END

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