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「一つ屋根の下 第三十九話 JUMと風邪」



「あー……やっぱ熱あるかぁ……」
僕はもうすぐ登校時間だと言うのに、ベッドで寝ていた。体温計は38、2度を表示している。
「大丈夫ぅ?今日はお休みのほうがいいわねぇ。」
銀姉ちゃんが制服姿で僕の部屋に居る。
「ん……そうする……」
「ゆっくり寝てないとダメよぉ?先生には……薔薇しーに言うように言っておくからぁ。」
先生……担任の梅岡は思い出す。ああ、何か益々熱が上がりそうだ。
「JUM!翠星石がお粥作っておいてやったですぅ。お腹空いたら温めて食べるですよ?」
制服にエプロンをしてた翠姉ちゃんがやってくる。僕の部屋でエプロンを外す。そろそろ、学校に行かないと不味い
時間だ。
「うん、ありがとう翠姉ちゃん……」
自慢じゃないが、僕は体が丈夫ってわけじゃない。季節の変わり目は結構弱かったりする。そういえば、昨日の夜
は結構涼しかった……というより寒いくらいだったもんな。
「全く……今日は下僕の任を解任してあげるのだわ。だから、早く治しなさい。それじゃあ、行ってくるのだわ。」
「ん……行ってらっしゃい。」
銀姉ちゃんと翠姉ちゃんと真紅姉ちゃんが学校へ行く。家には僕一人になる。よくよく考えれば……こんなに
静かな家ってのは初めてかもしれない。シーンとした無音状態の部屋で僕は思う。
「これはこれでちょっと寂しいかなぁ…」
何時もは姉ちゃんたちが八人もいるせいか五月蝿いくらいだけど、居ないのは居ないで寂しい。全く、案外
僕も我侭だな。



電話の音がする。僕はそれで目を覚ました。
「時間は……もうお昼か…姉ちゃんかな?」
子機を手に取る。その時点で僕はまだ熱のせいか頭が働いてなかったんだろう。姉ちゃんなら携帯にかけてくる
はずだ。そして……なにより、こんな時間にはかけてこない。僕が目を覚ますといけないから。そう、そんな空気を
読めずに家に電話をかけてくるのは一人しかいない。
「やぁ、こんにちは桜田!!担任の梅岡だよ!!」
うわぁ…………僕は一気に熱が上がるのを感じた。電話越しに奴の熱気が伝わる。
「ごめんな桜田!!本当はもっと早く電話したかったんだけど先生も授業あってな。ようやく時間ができたから
真っ先に電話したんだ!!!どうだい?元気になったかい!!?」
寧ろ、そのまま暇ができなければどんだけ良かった事か……
「あー……まだ熱っぽいです……」
「そうかぁ!体調には気をつけるんだぞ桜田!!先生、一人でも欠けると寂しいからな!!」
いっそこのまま引き篭もろうか……いや、それはそれでウザイな、きっと。
「あの、先生。折角ですけど少し気分が……」
「おっといけない!ついつい話し込んでしまったね。それじゃあ、桜田。ゆっくり休むんだぞ!明日先生に元気
な顔を見せてくれよ?じゃあね、おやすみ!!」
ブツッと僕は電話をきる。マジで熱が上がってきたかも……翠姉ちゃんの作り置きのお粥でも食べるか。
そう思ってリビングへ向かおうとすると、玄関から声がした。
「ただいまかしらー!おっと、JUMは寝てるんだったかしら。」
カナ姉ちゃんの声だ。僕は玄関へ向かう。
「カナ姉ちゃん?どうしたのさ。まだ時間早すぎるよ?」
まだ時間は4時間目真っ最中な感じだ。早退でもしたんだろうか。
「大丈夫かしら!カナの代わりはちゃんと置いてきたから。JUMが風邪引いたって聞いて、飛んで帰ってきた
かしら~。さ、カナが看病してあげるわ。」
一方、その頃カナ姉ちゃんのクラスのカナ姉ちゃんの席にはカナ姉ちゃんのようなロボットが授業を受けてた
って後に銀姉ちゃんに聞いた。驚くべき事に、教師にそれはバレなかったそうだ。


「できたかしら~。さ、カナが食べさせてあげるかしら。あ~~~ん♪」
カナ姉ちゃんが帰って、私服に着替えると姉ちゃんはお粥を温めてくれて僕の部屋の持ってきた。
僕はカナ姉ちゃんに言われるままに口を開ける。スプーンが僕の口に入る。
「あつ!!」
熱かった。多分、カナ姉ちゃん温めすぎだ……よくよくお茶碗をみるとグツグツお粥が煮だっていた。
「JUMったら猫舌かしら?じゃあカナが冷ましてあげるかしら。ふ~~~!!ふ~~~~!!」
少し息が強いせいか僕の顔に米粒が飛んで熱いけど、この際気にしない。気にしたら負けかなと思ってる。
カナ姉ちゃんの頑張りあって、煮だったお粥を食べきる。味は翠姉ちゃんのお陰か美味しかった。
「どれどれ……JUMの熱は下がったかしら?」
カナ姉ちゃんが僕のオデコにオデコをコツンとぶつける。カナ姉ちゃんのオデコはこの為にあるんじゃないかって
気分になる。
「ん~……まだ熱いかしらぁ。そうだ、ちょっと待っててねJUM。」
カナ姉ちゃんがいそいそと部屋を出て行く。そして、しばらくするとクスリと水を飲んで戻ってきた。
「風邪にはお薬が一番かしら!ちょうど食後で効き目も完璧かしら~。」
バーンと印籠のように薬のビンを突き出すカナ姉ちゃん。得意げに小さな胸も張っている。
カナ姉ちゃんはクスリを3粒取り出すと僕に水を勧める。僕は水を受け取りそれを口に含む。さらに、クスリを
放り投げて一気に飲み込んだ。
「どう?よくなった?」
「いや、すぐには効果出るはずないし。」
そんな超特効薬があったらお目にかかりたい。しかし、カナ姉ちゃんは恐ろしい事を言った。
「おかしいかしら……それ、カナのお手製ですぐ効くはずなのに……」
一気に血の気が引いていく。お手製?なにそれ?既存品でいいじゃん?何だか下がった気がした熱が
また上がった気がした。僕は枕に頭を埋め眠ろうとする。


「うぅ……何だかカナったらJUMの看病してるのにJUMは全然良くならないかしら……」
気持ちは物凄く嬉しいのだけどね。空回ってる感じがするのも事実です。
「こうなったらカナのおとっときしかないかしら。J、JUM?」
「なぁに?カナ姉ちゃん。」
カナ姉ちゃんは顔を赤く染めて僕の顔を見ている。僕は寝てるから真上にカナ姉ちゃんの顔がある。そして、
そのカナ姉ちゃんの顔が降りてくると、僕の唇に温かい感触が触れた。
「んっ……えへへぇ~……風邪は人にうつすと治るっていうでしょ?だから……キスすればJUMの風邪は治る
かしらぁ~。」
「カナ姉ちゃん……それじゃあカナ姉ちゃんが熱出しちゃうよ?」
「カナは大丈夫かしら。だってカナはJUMのお姉ちゃんだから。平気かしら~。」
カナ姉ちゃんはそう言ってニッコリ笑う。ああもう、本当に不器用なんだから。カナ姉ちゃんは。
「有難う、カナ姉ちゃん。でも、大丈夫だよ。カナ姉ちゃんのクスリもあるしね……だから……」
僕はそう言うと、体を起こしカナ姉ちゃんの唇を奪う。うん、奪うって言い方が正しいくらい強引だったかも。
「んんっ……JUM?」
「キスすればうつるんでしょ?だから、カナ姉ちゃんのほうに言った風邪はもっかい僕に来たよね。
僕は大丈夫だから。カナ姉ちゃんのお陰でね。」
僕は笑顔を作ってみる。カナ姉ちゃんもそれに呼応するように笑って見せた。
「JUM寝る?あ、でも寝ちゃうとカナのする事がないかしら?」
「じゃあ……側に居てよカナ姉ちゃん。手でも握っててくれれば尚嬉しい。」
僕がそう言うと、カナ姉ちゃんは嬉しそうに僕の手を握る。ほんのり温かい。その温かさで僕は眠りについた。


翌日……果たしてクスリが効いたのか、それとも……なのか僕は全快していた。
「おはよ~。あれ?どうしたのさ、みんな?」
僕がリビングへ行くとカナ姉ちゃんを姉妹が取り囲んでいた。
「ゴホゴホ……うぅ、頭痛いかしらぁ……」
「JUM君の風邪がうつったのかもね。今日は金糸雀がお休みした方がいいよ。」
蒼姉ちゃんが体温計を見て言う。ああ……どうやら効いたのはキスの方らしい。そして、風邪菌は一度カナ
姉ちゃんにうつると、僕のほうには戻ってこなかったらしい。
「全く……風邪がうつるような事でもしたんじゃねぇですかぁ?」
翠姉ちゃんの言葉に僕はビクッとする。
「い、いや……そんな事するわけ。」
「し、してないかしらー!JUMとキスなんてしてないかしら!!しかも、2回もしてないかしらー!」
カナ姉ちゃんの自爆で部屋に沈黙が訪れる。姉ちゃんたちの視線が物凄く痛い。
「………JUM、昨日休んだんだから今日は重労働決定なのだわ。」
「その手があったか……さすが金糸雀……策士……」
真紅姉ちゃんは何だか怒ってるし薔薇姉ちゃんはしきりに感心してる。
「へぇ……金糸雀なりに勇気出したのねぇ…ふふふっ♪」
銀姉ちゃんは何だか嬉しそうだ。
「うよ?何だかみんなが怖いの~。」
「ふふふっ………こうなれば私も策を弄さねばならないようですわ……うふふふっ……」
全く空気が読めてないヒナ姉ちゃんと、、不気味に笑うキラ姉ちゃん。
「JUM!!おめえってやつは!!この節操なし!!翠星石ともき、き、キスしたのにですぅ!!」
「え……翠星石も?JUM君、僕は気にしてないからね…ほ、本当だよ…?だって、僕の初めてだから……」
ああ、騒がしい。でもまぁ、昨日みたいに静かよりはいいかな。
「うぅ……みんなカナの事忘れてるかしらぁ~?」
END

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