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「一つ屋根の下 第三十三話 JUMと喫茶ラプラス 前編」



「JUM、ちょっと降りてくるですよ~!」
夏もお盆に差しかかろうとしたある日の夜、僕は翠姉ちゃんの声でリビングへ向かった。
「なぁに?翠姉ちゃん。って、みんないるのか。」
「JUM、テレビが映らねぇです。診れないですか?」
そんな事を言う。いやさ、いくら僕が男だからってそんな事まで分かるはずがない。
「いや、僕別に家電に詳しいわけじゃないし。」
「はぁ、使えねぇ奴ですぅ。パソコンにエロイ動画を溜め込んでる奴の台詞とは思えないですぅ。」
何故知ってる!?いや、そうじゃなくて……別にダウンロードくらいは誰でも…いや、そうでもなくて。
「と、とにかく。そういうのはカナ姉ちゃんの専門だろ?」
「カナでも全然だったかしらぁ~。」
カナ姉ちゃんが出来なくて僕が出来る訳ありません。すると、銀姉ちゃんが電話をとる。
「仕方ないわぁ……もしもし?○○のローゼンですけどぉ。ちょっとテレビが映らなくてぇ。ええ、ええ。
そうですねぇ、よかったらカタログもお願いします。はぁい、それでは~。」
カタログもっていう事は銀姉ちゃんは半ば諦めてるんだろう。
「でも、どうする?金糸雀がダメって言うならきっとダメだと僕は思うけど。
「そうね……一応各自の部屋にテレビはあるけど、みんなで見るためにも矢張り必要なのだわ。」
蒼姉ちゃんと真紅姉ちゃんが言う。そう、確かに小さいけど各自の部屋にテレビはある。でも、我が家は
リビングでみんなで見るのが好きなのだ。そうなると、テレビがないのは被害甚大だ。


「ありあとやした~!」
で、だ。結局テレビはダメっぽかった。原因を家電屋は説明してくれたが僕には訳ワカメだ。で、今はみんなで
薔薇姉ちゃんの部屋のみんなの部屋より少し大きいテレビを見ながらカタログを眺めてる。
「やっぱり前の大きさくらいは欲しいわよねぇ。となると、超大型液晶プラズマTV……ん~、結構な値よねぇ。」
「さすがにこの額になりますと、私が相当のお店を潰すくらい食べなくてはいけませんわね。」
キラ姉ちゃんが恐ろしい事を言う。お願いです、他人の路頭を迷わす事は勘弁してください。
「う~……お父様からのお金は残ってないのなの?」
「あるわよぉ?お父様毎月相当送ってくださるから……生活費やみんなのお小遣い差し引いても毎月
相当残ってて、テレビくらい簡単に買えるくらいよぉ。でもねえ……何て言うかぁ……」
「うん、折角のお父様のお金を使うのも忍びないよね。」
そういう事らしい。つまり、お金はあるけど父さんの送ってくれてるお金をテレビに使うのは躊躇すると。
「そんなみんなに……これです……」
スッと薔薇姉ちゃんがチラシを広げる。それは、以前行った薔薇姉ちゃんのバイト先のメイド喫茶『ラプラス』
の広告だった。内容には「お盆限定、ドレスで貴方をお迎えします。特別料金として云々~」と書かれてる。
「……薔薇水晶……まさか……」
「うん、きっと真紅正解……みんなでお盆バイトしよう……お盆はバイトの子もお休み欲しいらしいから……
出るとお金割り増ししてもらえる……みんなで働けばあっと言う間だよ……」
上手く薔薇姉ちゃんに乗せられてる気もするが、案外みんなは乗り気のようだった。
「まぁ、いいんじゃねぇですか?お父様のお金使うよりは有益ですぅ。」
「そうかしら。折角だからみんなで働いてテレビをゲットかしら~。」
とまぁ……テレビ購入に向けてみんなでバイト計画が発動された。


「やぁ、これはこれは……ふむふむ……みなさん、個性的で美しい。これは相当お客が見込めますね。」
さて、ラプラスへ向かった僕等は早速店長の白崎さんに面会する。どうやら、事前に薔薇姉ちゃんが
連絡してくれてたみたいだ。
「あの、白崎さん。失礼ですけど、お盆て逆に暇なんじゃないんですか?」
「いい質問だね、JUM君。確かに、お盆は帰省とかだったりするよね。でも、暇人がいるのも事実。
せっかくだから、その暇人から搾取しようと言う訳です。大丈夫、間違いなく売れます。」
白崎さんが言う。てか、かなりとんでもない事を言ってるけど……
「翠星石達もメイド服ってのを着て接客すればいいですかぁ?」
「いえ、チラシをご覧頂いたと思いますが……お盆限定でドレスを着てもらいます。そうですね、アンティーク
ドールの着てるような可愛らしい奴です。日本人は、限定とかに弱いですから♪」
ああ、何か分かる気がする。白崎さんは案外経営戦略の天才かもしれない。
「じゃあ、服はそのドレスで接客すればいいのねぇ?JUMはどうするんですかぁ?」
おっと、自分の事を忘れてた。まさか、僕が接客しても仕方あるまい。女装とかは勘弁だ。
「うん、薔薇しーちゃんに聞いたんだけど、JUM君って洋服のデッサンとか裁縫が得意なんだって?」
「え?まぁ、得意というか……それなりに……」
確かに、僕は男のクセにそういうのが好きで得意だった。でも、逆にそれを知られるのは好きじゃなかった。
「うん。そこでね、JUM君にはお姉さんたちのドレスのデッサンや作成をしてもらおうと思ってるんだ。」
「えええ!!?ぼ、僕がですか!?そんな、僕一人じゃそんなの……」
「はははっ、心配しらないよ。ちゃんと相棒がいるから。草笛く~ん!」
白崎さんがその相棒って人を呼ぶ。呼ばれてきた人は僕らよりちょっと年上で黒い髪をアップにし、眼鏡を
かけた女性だった。
「はじめまして~、草笛みつでっす♪」


「あ!み、みっちゃんかしら~!?」
カナ姉ちゃんが素っ頓狂な声を出す。そのみっちゃんさんは、カナ姉ちゃんを見ると目を輝かせ、頬擦りした。
「きゃーーーー!!カナ久しぶり~~~!!!」
「み、みっちゃん!ほっぺが摩擦熱でまさちゅ~せっちゅ~~~!!!」
高速での頬擦りにより、カナ姉ちゃんの頬が赤く染まってる。火傷してないか?あれ。
「やっぱり、薔薇ちゃんってカナの姉妹だったのね~。そうよねぇ、ローゼンなんて珍しい苗字だものね~。」
珍しいも何も、普通に考えればどう考えても家系の人です。
「カナ姉ちゃん、知り合い?」
「みっちゃんは、高校のOGかしら~。カナの音楽部とみっちゃんの家庭部は仲がよくて、よく合同OB会
してて……そこでお知り合いになったかしら~。」
「そうなのよぉ~。あぁん、カナの姉妹も可愛い~!ええっとぉ……そこの巨乳の子には、黒か濃い青の
ドレスが似合いそうよねぇ。カナには、私のとっておきのドレスでしょぉ。ん~、双子ちゃんには……」
みっちゃんさんは興奮しながら姉ちゃん達を見て、すでに品定め状態である。
「こらこら、草笛君。今回は、彼女達の弟のJUM君と一緒に作ってもらうんだから。」
「ほ?ああ、そうだったわね。よろしくね、JUM君!」
みっちゃんさんはそう言って手を差し伸べてくる。姉ちゃんたちもやる気だし、どうやら僕もやらないと
いけないようだった。
「はい、その……よろしくお願いします。」
「うんうん。それじゃあ、JUM君と草笛君には早速デッサンや作成に入ってもらうとして……お姉さん方には
接客の練習も兼ねてやってみましょうか。お盆まではそんなに時間はないけど、頑張っていきましょう。」
白崎のさんの号令で、僕達のテレビゲット大作戦がはじまった。
END


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