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剣とランスがぶつかり合う。火花が飛び散り、砂埃が舞う。ブラックナイトの黒いランスを騎士の盾が
受け止める。力を一点に集中させる特性のあるランス。JUMの腕に響く衝撃は今までの比ではない。
それでも、JUMの盾は貫かれる事はない。JUMが剣を横薙ぎに振るう。しかし、その攻撃も
ブラックナイトの盾にガンと大きな音を立てて防がれてる。
「JUM!援護するのよ~!猛き炎よ 汝矢となりて敵を討て……ファイヤーアロー!!」
雛苺の杖に大気中のマナが集まる。マナは5本の炎の矢へと姿を変える。5本の矢は、JUMと対峙
しているブラックナイトに襲い掛かる。
「むお!?ウィザードがいるのか!?」
ブラックナイトは盾で矢を防ぐ。しかし、5本の矢はブラックナイトの盾を弾き飛ばす。
「よし、貰った!!」
ヒュンよブラックナイトがランスを振るう。JUMの頬にチリっと熱い感触が起こるが気にも留めない。
JUMは剣をブラックナイトの腹部に突き刺す。突きは力が集中する分、鎧さえも貫通する。
「ぐふっ……こんなガキに……」
JUMは剣を引き抜くと、右からの袈裟斬りで追撃する。JUMの頬と、剣には赤い血が流れている。
「まずは1人……次は!?」
JUMが視界を広げる。戦っているのは自分たちだけじゃなかった。グンターの部下である、話せる島の
警備兵もブラックナイトと交戦している。お陰で、複数に囲まれるという事態には陥っていなかった。


「死ねぃ!!」
ランスが巴の心臓を狙って放たれる。一撃で相手を仕留める、順当な攻撃だ。しかし、巴はそれをヒラリと
かわす。そして、腰の動きと同時にカタナを鞘から抜き放つ。白銀の剣線は盾に阻まれるモノの、切れ味
鋭い攻撃はブラックナイトの盾の上半分をスッパリと切り裂く。
「ランスの攻撃は一直線。スピードも速いけど…かわしやすい……」
巴がボソリと言う。鞘から抜いたカタナは鞘に収めず、切っ先を相手に向けて構える。
「何と珍妙な剣……やはり真紅の一味は生かしておけん!奴らは必ず陛下に害をなす!!」
ブラックナイトは半分になった盾を捨て、両手でランスを持つ。片手より両手の方が威力も速度も上がるのは
必然だ。しかし、それはブラックナイトの防御力の低下にも繋がる。
「ぬおおおりゃああああ!!」
けたたましい叫びと共にブラックナイトがランスで巴を薙ぐ。巴はバックステップでかわし、接近しようとする。
しかし、相手は両手だ。横薙ぎした武器に体を振られる事なく、相手の反撃に備えている。飛び込めば
巴もただでは済まないだろう。しかし、巴はそれでも飛び込んだ。ブラックナイトがランスを薙ぐ。
ランスは巴の体を薙ぎ払う直前、キンッと音と共に火花が散り、巴のカタナによって止められる。
「っつ……このぉおおお!!」
巴は左手で柄を持ち、右手で刀身を押さえ攻撃を防いだ。そのまま、左手を返しブラックナイトに斬りかかる。
「ぬおっ!!やる!!」
巴の斬撃はブラックナイトの鎧を切り裂き、腹部を浅く斬った。カタナの切っ先に赤い液体がついている。
しかし、それでも致命傷には至っていない。ブラックナイトはランスを振り上げると巴の頭に叩きつけるように
振り下ろす。巴はそれを左足を重心に体を半回転させて最小の動作でかわす。そのまま隙だらけに
なったブラックナイトの右肩から左腰にかけて諸手で袈裟切りをする。鮮血が飛び散り、巴の頬にブラック
ナイトの血が付着する。巴はそれを手で拭うと、次の目標を定めた。


「はあっ!!」
真紅が剣を振り下ろす。ブラックナイトがそれを盾で受け止めるが、衝撃が大きいのか反撃には至らない。
「答えなさい……貴方は何故反王に加担するの?今の民の怨嗟の声が聞こえないの?」
「ふん、世界は力こそが全てだ!弱きものは死して当然!!」
「そう……その理論なら貴方も死んで当然なのだわ……」
ブラックナイトの突きを真紅はかわし、相手の体ではなく腕を狙って剣を振るう。ブシュッと真紅の腕に人を
斬った感触が伝わる。ブラックナイトは腕が切断こそされていないものの、痛みで武器を落としてしまう。
「ひっ!!し、死にたく……ぎゃああああ!!!」
真紅はそのまま踏み込み腹部にホーリエを突き刺す。ブラックナイトは断末魔を上げながら倒れていった。
「……自業自得でしょう?貴方はそう言って力のない民をどれだけ殺してきたの…?」
真紅がそのブラックナイトに同情の目など全く向けずに言う。剣を振るうと付着した血液が振り払われる。
「真紅!大丈夫か?」
JUMが真紅の側にやってくる。雛苺も一緒についてきている。
「遅いわ、JUM。貴方の使命は私の護衛でしょう?」
「う……仕方ないだろう?真紅も大事だけど…雛苺なんて一人でほうっておけないんだから。」
「ふふっ、冗談よ。弱い者を守るのも騎士の役目ですものね。さぁ、早く片付けましょう?これ以上
反王の兵をこの島の地に足を付けさせるわけにはいかないのだわ。」
真紅は巴が対峙しているブラックナイトに向かっていく。
「全く……おい、ちびっ子!僕から離れるなよ?」
「む~、ヒナだってお手伝いするのよ~。」
JUMと雛苺は警備兵と戦っているブラックナイトに向かっていった。


「ねぇ……貴方ぁ、リーダーでしょぉ?カーツって知らなぁい?」
水銀燈は剣こそ抜いているが、全く構えずに白い甲冑を着ているブラックナイトリーダーの前にいた。
「小娘が!!早々に立ち去れ!貴様如きが陛下の直属の部下である私に話しかけるなど!!
ええい、兵はどうした!兵は……何だと……」
BKリーダーは目を疑った。自分の護衛としてつけていたブラックナイト2人がすでに、絶命したいた。
リーダーは自分に話しかけてきた女性を見る。涼しい顔をしているが、その目はどこまでも冷たく深い。
逆十時の刻まれた剣には、護衛兵の血液らしきものが付着している。
「ねぇ、聞いてるの。知ってるんでしょぉ?カーツって男。」
「くっ……カーツ将軍ならばハイネを落城させた功績でハイネを治めておるわ!」
「そう。やっぱりハイネにいるのねぇ……貴方、ハイネの王族がどうなったかしらなぁい?」
水銀燈は尚も表情を崩さず涼しい顔で話しかける。その、あまりの余裕にリーダーは恐怖を覚える。
「・・・陛下に逆らったのだ。当然さらし首にされたわ。ああ、そういえば……我々の眼を欺きハイネの
姫に成りすました女もおったな。おの女め…奴がいなければ姫も討てたものを……」
リーダーの言葉に水銀燈の表情が変わる。
「へぇ~……その女ってどんな子だったの?」
「黒髪で…長さは貴様ほどか。歳も生きてれば貴様と同じくらいだろう。はははっ……いい女だったぞ。
まぁ…あのフザケタ女はこの俺が自ら斬ってやったがな!!スイギントウ、スイギントウ…ってよく分からない
事を言いながら死んだわ!!奴さえいなければ私が姫を討ち最大の功績者なれたものを!!」
「………めぐ………そう。貴方もういいわぁ。じゃあもう……死んでよ。」
さっきまで冷たかった水銀燈の目は憎悪の炎に満ちていた。長剣を携え、リーダーに向かっていく。
リーダーは予想もしてなかったのか、盾を構えるので精一杯の様子だ。
「貴方が……めぐを殺したのねぇ……」
水銀燈の剣が振るわれる。盾と激突し、火花が散る。水銀燈は尚も斬撃を繰り出す。
「くっ・・・・!!まさか…貴様がハイネの…!!」


「知らないわぁ…そんな事。ただね、私ぃ、おばかさぁんがきらぁいなのぉ。」
一閃。水銀燈の攻撃でリーダーは盾を飛ばされる。慌てて剣を両手で構えるがすでに遅い。
流れるような剣線はリーダーの肩を横一線に切り裂いた。もう少し上なら首が落ちたかもしれない。
「ぐあああああ!!!おのれぃ!!……ぐぶふっ……」
次の瞬間。リーダーは左の胸から剣を生やしていた。そう、水銀燈の剣が心臓目掛けて突いたのである。
水銀燈は剣の柄を180度捻る。リーダーの心臓は完全に破壊されたであろう。吐き出された血が水銀燈
の顔に降りかかる。しかし、水銀燈はそれを気にする様子もなく、ただリーダーを睨んでた。
「・・・ふっ、俺を殺しても・・・無駄だすでにここに反逆者がいるという報告は陛下にしている・・・
すぐに他の討伐隊が来るだろう・・・」
「ふぅん。でも残念だったわね。私もあの子達も本土に渡っちゃうのよぉ。ばいばぁい、おばかさん。」
水銀燈はリーダーの体を蹴り、乱暴に剣を引き抜く。リーダーはおびただしい出血を上げながら吹き飛んで
行った。水銀燈はようやく顔の血と剣の血を振り払う。既に闘いの大勢は決した。
「真紅!!早く行くのだ!!後は我々が引き受けよう!!」
グンターが私兵を引き連れて到着する。真紅達はグンターに促されるままにようやく到着した定期船
に乗り込む。侵攻した反王の兵はグンターに討たれるだろう。それに、反王が兵をさらに派遣しても
話せる島は孤島。船で渡らねばならず、海戦の慣れていない反王軍では厳しい。恐らく、反王は
今回の件は歯噛みしながら結果をただ受け止めるしかできないはずだ。
「ふふっ、意外だわぁ。みんな結構強いのねぇ。」
船の甲板で合流した水銀燈が言う。しかし、真紅は水銀燈を見ると言った。
「水銀燈。貴方の剣見せてもらえないかしら。」
水銀燈がピクッと少しだけ反応する。しかし、すぐに腰から剣を抜いた。


「どうしたのぉ?アデンのお姫様。黙ってる何て冷たいじゃないのぉ。」
「……別に貴方聞かなかったじゃない。ありがとう、私の勘違いね。」
真紅はスラリと抜いた水銀燈の剣をしばらく見ると、鞘に戻し水銀燈に返した。
「なぁ、どうしたんだ真紅?水銀燈の剣なんて見て。」
「水銀燈という名前に聞き覚えがあったのを思い出したのだわ。確か、水の都ハイネの姫。つまり……
私と同じ亡国の姫ね。剣は王族にとっては命の次に大事な王族の証。ハイネの宝剣にはハイネの象徴
である、水竜パプリオンの紋があるはずだけど…水銀燈の剣は逆十字。そういうことよ。」
真紅が説明してくれる。つまり、真紅は水銀燈がハイネの姫じゃないかと勘繰っていたと言うわけだ。
「ふふっ、そぉ。さて……もうすぐ本土だけど貴方達はどうするのぉ?」
「私達はエルフの森に行くのだわ。水銀燈、貴方は?」
「私は……そうねぇ、シルバーナイトタウンにでも行くわぁ。野暮用があるのぉ。」
水銀燈が言う。エルフの森とシルバーナイトタウンは方向はほぼ逆。つまり…
「そっかぁ…じゃあ、本土についたらお別れだな。」
「あらぁ?JUM、寂しいのぉ?ふふっ、何なら水銀燈と一緒に旅しなぁい?こんな貧乳と、無愛想と、子供
といるよりきっと楽しいわよぉ?」
「馬鹿な事言わないで!JUMは真紅の下僕よ?」
そんなやり取りをしてると、遂に船は本土に到着した。5人は船をおり、真紅側と水銀燈に分かれる。
「それじゃあ、水銀燈。騒がしかったけどなかなか楽しかったのだわ。」
「私もよぉ……それじゃあ…きっとまた会いそうな気がするけど。じゃあねぇ。」
水銀燈が体を翻し歩いていく。長い白銀の髪と、腰の長剣が揺れている。
「さ、真紅。桜田君。雛苺。私たちもエルフの森に急ごう?」
巴の声と共に4人はエルフの森へ歩いていった。
「……なかなかいいトコいってたわよ真紅?でもね、ハイネの宝剣はぁ…」
水銀燈は歩きながら懐から何かを取り出す。それは、水竜の紋の入った短めの剣、護身剣だった。
「二振りなのよぉ……長剣と護身剣、二振りで宝剣『メイメイ』と成す。ふふっ、また会いましょうねぇ。」
To be continued

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