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「それじゃあ、申し訳ないけど二人はここで待ってて貰えるかしら?」
話せる島のケイブをぬけ、赤い騎士の家の前で真紅が巴と雛苺に言った。
「うん、分かったよ。」
「うよ~い。」
巴と雛苺は真紅の言葉に大人しく従う。真紅はJUMを引き連れてグンターの元へ向かった。
「ご苦労だったな、真紅。エルダー討伐は果たせたか?」
「はい。私とJUMと。そして、今ここにはいませんが旅の剣士とウィザードのお陰で討伐を果たせました。
こちらがその証になります。」
真紅が中身のなくなったエルダーのローブと杖をグンターに渡す。
「うむ、確かに報告通りのモノだ。して、旅の者とは?」
「ケイブの途中でまぁ、訳がありまして。今も一応赤い騎士の家の前に。」
二人を連れてこなかったのは一応の用心の為。二人にはまだ真紅とJUMの素性は知られていない。
「そうか……エルダーは何か言っていたか?」
「それについては僕が。奴は話せる島の2階に封印されているバフォメットの下僕として、封印を解こうと
していたみたいです。」
JUMの言葉にグンターは驚きを隠せなかった。
「バフォメットだと!?それは大変な試練だったな。並みの魔物では無かったろう……バフォメットの復活か。
一応我々で封印の強化をしたほうがよさそうだな。」
グンターがフムと手を顎にあてている。そして、しばらくすると側近に合図をする。
「いや、とりあえずは真紅の試練完了を喜ぼう。私が予想して頼り遥かに難関だったろうが。それでも、
御主は乗り越えた。アデン大陸本土へ向かうがいい。今の御主ならば反王打倒も叶うかもしれん。」
側近が何かを持ってくる。それは、話せる島からアデン大陸本土へ向かう定期船のチケットと世界地図。
そして餞別としてのアデナ(この世界の通貨)だった。


「グンターさん。有難う御座います。そして、お世話になりました。」
真紅が餞別を受け取る。グンターの心遣いか、チケットは4人分ある。
「うむ、これからのお前の道は困難を極めるだろうが……お前には常に仲間がいる。苦難を分かち合い
進むがいい。まずはどこへ向かうつもりだ?」
「はい、エルフの森でエルフの協力を得ようと。」
真紅が言う。自然の化身エルフ。元々エルフは人間との交流は薄かったが、ローゼンの尽力により
交流は深まっていた。真紅の紅いドレスローブはエルフがローゼンに友好の証として送った物だ。
「成る程。エルフも反王にいい感情は持っていまい。それに、彼らの精霊と契約した力は人には無い
力になるだろう。エルフの森はは定期船の船着場、『グルーディン』より北西だ。」
グンターが自身の背後に飾ってある巨大な世界地図で場所を指差して教えてくれる。
「わかりました。それでは、行って参ります。グンターさん……話せる島をお願いします。」
真紅がスッと会釈する。グンターもそれを会釈して返す。
「心得た。行くが良い真紅。反王の打倒、遠くから祈っているぞ。」
真紅とJUMはグンターの前を後にする。
「真紅……JUM……運命に呑まれるなよ……」


「待たせたわね。さ、行きましょう?貴方達も本土に行くんでしょう?」
赤い騎士の家を出ると、巴と雛苺が座って待っていた。
「うん、私たちも本土に行くよ。だから、着くまでまた一緒だね。」
4人は歩きながら話せる島の船着場に向かって歩く。
「うよ?真紅達と一緒に行かないのなの?」
雛苺が首をかしげながら巴に聞いてくる。
「うん、真紅達も旅してるらしいし……真紅達はどこに行くの?」
「私達はエルフの森よ。貴方達は?」
「う~ん、まだ決めてないけどケントに行こうかと思ってるよ。」
「そう……じゃあ、本土でお別れね。とても残念だけど。」
「うん。でもまたどっかで会えそうな気がするよ。それにしても、二人は赤い騎士と知り合いなのね。」
「あら?そんな凄い事なの?」
真紅がさも当然のように聞き返す。すると、巴が説明してくれる。
「うん、話せる島の赤い騎士グンターと、シルバーナイトタウンの銀の騎士ゲラドと言えば剣の道を歩く
者なら知らない人はいないよ。」
「そうなの?なら、巴にもグンターさんに会ってもらえばよかったわね。」
「ふふっ、私はただの旅人だからね。騎士になる気もないし。」
そんな話をしながら歩いていく。歩きながらJUMは世界地図を開いた。


「ほら、JUM。地図見ながら歩いてたら人にぶつかるわよ?」
「いいじゃないか。地理を把握しておくのは大事だろ?」
JUMは真紅の注意を流し、地図に目を通す。話せる島から船になると「グルーディン村」につく。近くには
砂漠の城「ウィンダウッド城」と城下町の「ウッドベック村」がある。JUMは目に付く地名に昔習った
地理の記憶を張り巡らしていく。これから向かう「エルフの森」。自然の化身エルフが住んでいる神聖な
場所だ。その近くには罪人が一からやり直せる村「火田民村」と、部族オークと呼ばれる人と同じように
生活している「オーク砦」。アデンに存在する四竜のうち、最強と呼ばれる火竜ヴァラカスが住んでいる
火山「火竜の棲家」と麓の「ウェルダン村」。一年中雪に包まれているオーレン地方と、ウィザードの
研究機関「象牙の塔」。アデン一の商業都市「ギラン」と、四竜のうち、地竜アンタラスが生息している
渓谷「ドランゴンバレー」。銀の騎士ゲラドが騎士を育成するために立ち上げた街「シルバーナイトタウン。」
水と森の都「ハイネ」。ハイネのケイブは水竜パプリオンが封印されていると言う。
そして、これから真紅とJUMが取り返す為の旅の目的地、アデンワールドの首都「アデン」。近くには風竜
リンドビオルの棲家と、古代の王が永遠の命を得るために建設し、今もその頂上に住んでいると言う
巨大建造物「傲慢の塔」。これから、この広い世界を旅しなくてはならない。
「ふぅ……何だか気が遠くなりそうな話だよなぁ……」
JUMが相変わらず地図見ながら歩く。そのときだった。真紅の声がした。
「JUM!前!ぶつかるわよ!?」
「へ!?うわぁ!?」
「きゃっ!!」
完全に余所見をしていたJUMは女性とぶつかり、その女性を押し倒す形になった。


「ってて……ん?何だ?手がや~らかい……」
「ひゃん…あん…」
JUMが目を開く。すると、そこには女性の胸を触っている自分の手があった。
「JUM!貴方何をしてるの!!」
真紅の怒鳴り声が響き渡る。次の瞬間JUMは耳を真紅に引っ張られ無理矢理剥がしとられた。
「いってて……じゃない、スイマセン。大丈夫ですか?」
JUMが女性に手を差し出す。その女性は、腰近くまである長い銀髪にどこか妖艶なピンクの瞳。
黒い、真紅とはまた違ったドレスローブを着ており、腰には少し長めの長剣が差してあった。女性はしばらく
JUMと真紅達を見ると、JUMの手をスッと握り立ち上がるとパンパンと埃を払った。
「ごめんなさいね。ウチの馬鹿が余所見をしてて。怪我はなかった?あったら下僕に治させるのだわ。」
多分、雛苺の魔法の事だろう。女性は真紅と腰の剣をジーッと見たまま何も言わない。
「あの……僕が完全に悪かったです。」
JUMがペコリと頭を下げる。すると、ようやく女性は口を開いた。
「……ねぇ、貴方名前はぁ?あ、あとそっちの貴方も。」
女性がJUMと真紅を指差す。二人は目をパチクリさせながらも言われたとおり名前を言う。
「ああ、僕は桜田JUM。」
「……私は真紅よ。それがどうかしたの?」
「真紅……桜田……そう……ふふふっ♪」
女性が笑みを見せる。その理由は真紅達には全く分からなかった。
「ええっと、貴方?」
「ああ、私は水銀燈って言うのぉ。よろしくねぇ。」
その女性……水銀燈はそう言った。


「それで……何で貴方まで着いてくるのよ?水銀燈でしたっけ?」
真紅がムスッとしながら言う。水銀燈はJUMの腕を抱きしめながら離れようとしない。結局、あの後少し
話した面々は船着場という同じ目的地が分かって、談笑しながら来たのである。
「あらぁ?いいじゃなぁい?それとも何?JUMは貴方のコレか何か?」
水銀燈が小指を立ててニヤニヤする。真紅は顔を真っ赤に染めて反論する。
「ち、違うのだわ!!JUMは下僕よ!!」
「うよ~?巴は何で笑ってるの?」
「ふふっ、何でだろうね?」
少し距離を置いて巴はやり取りを見ながらクスクス笑っていた。
「じゃあ、いいじゃなぁい。ね、JUMも真紅より水銀燈の方がいいわよねぇ?」
「あー、その水銀燈さん?そろそろ離してくれませんかね?」
「あぁん…JUMに胸を揉まれたせいで水銀燈汚れちゃったものぉ。責任とってねぇ。」
船が来るまでが余りに暇なのか。船着場でそんなやり取りをしていた。そんな折、ようやく船が到着する。
「あ!みんな~、船が来たのよ~!」
雛苺が言う。それに釣られてみんなでその船を見る。
「あら、最近の定期船は随分暗い船体をしているのね。」
真紅が言う。その船体は黒く塗られており、帆には黒い十字架が染め上げられていた。
「!?違うわ!あれは定期船じゃない!あれは……反王のブラックナイトだわぁ!」
水銀燈が言う。その言葉に真紅達は戦慄した。


船から10人程度の黒い甲冑に、黒い大きな盾。そして黒いランスを持ち黒尽くめの騎士が降りてくる。
そして、最後にそれを統率する者だろう。白い甲冑を着た騎士が降りてきた。
「いたぞ!あの金色の髪は間違いない!ローゼンの娘真紅だ!!!」
真紅が咄嗟に腰の宝剣ホーリエを抜く。JUMも同じように盾を構え、剣を抜いた。
「真紅……やっぱり貴方が…アデンの姫だったんだね。」
「巴……御免なさいね。騙してたわけじゃないのだわ。」
巴が腰のカタナに手をかけ、ブラックナイト達を見据える。明らかに敵意の視線を送る。
「巴?貴方まで戦いに巻き込まれる必要はないのだわ!」
「ううん、貴方がアデンの姫なら…私はその為に剣を振るうよ。私だって反王は憎い。だから……私は
貴方の剣になる。こんな時に急な誓いで悪いけどね。」
巴が少しだけ笑う。真紅は何も言わずに、コクリとだけ頷く。
「う……ヒナも真紅の力になるの。そうすれば、まだ一緒にいれるんだよね?」
雛苺が杖を構えて精神を集中させる。
「水銀燈、君は下がっておくんだ。黙ってたけど、真紅はアデンの姫で、僕はその守護役。ここにいれば
君まで巻き込んでしまう。だからーーー」
「いいのよぉ……どうせ奴らの狙いは真紅だけじゃないものぉ……」
JUMがその言葉に疑問を返す前に水銀燈がスラリと腰の剣を抜く。刀身に逆十字の紋が刻まれた長剣。
「ふん!反王様に逆らう愚か者は皆殺しにしろ!女子供でも構わん!やれ!!」
白い甲冑の騎士。ブラックナイトリーダーが号令をかける。
「……私は貴方達を人とは思わない……死にたくなければそこを退きなさい!!」
真紅が咆哮する。話せる島の船着場を舞台に、真紅達とブラックナイトの戦闘が始まった。
To be continued

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