「なあ、JUN。」
「ん?」
「今日の弁当も巴嬢お手製か?」

奥様は幼なじみ  その2

いつもの昼休み、いつもの食堂で、ベジータの奴が何度目になるか分からない質問をしてくる
それに対する僕の返答はいつも同じ
「そうだよ。」
その返答に対するベジータのリアクションも何時もと同じ
「良いなー。俺も手作りの弁当食いたいぜ。」
毎度の事なので笹塚は口を挟まずうどんを啜っている
僕もアスパラのベーコン巻きを口に放り込む
「それも巴嬢が巻いたんだろ?」
弁当箱に入ったエノキのベーコン巻きを指差す
「そりゃあな。」
柏葉の手作りな訳だし
「それも巴嬢が作ったんだろ?」
今度はから揚げを指さす
「まあな。」
から揚げは昨日の残りだけど醤油と大蒜の味が染みてて冷めても十分いける

「いいよなー。愛妻弁当。」
「だからそんなのじゃ無いって言ってるだろ。」
毎度の事ながら何故こいつは僕と柏葉をくっ付けたがるかな
「柏葉はただの幼なじみだって言ってるだろ。」
「ただの幼なじみねー。」
妙に含みのある言い方をするベジータ
「何だよ。」
「別にー。ただちょっと、『ただの幼なじみ』が毎日、わざわざ弁当作ってくれたり
家事しに来てくれたりするかなー。って思ってな。」
「……。」
それは……。
「はいはい、二人ともそれぐらいにしておこうよ。」
饂飩を食い終わった笹塚が僕とベジータの間に入る
「そうだな。俺も早く食べちまわないと麺が延びちまうぜ。」
ラーメンを啜り始めるベジータ
これは僕は笹塚に助けられたのか?
「まあ、当人同士の問題だもんね。」
笹塚が僕にだけ聞こえるように言った
「……。」
またもや黙ってしまう
僕と柏葉の問題ねぇ……
確かに僕と柏葉の関係は普通の幼馴染とは少し違うかもしれない
でも、それは僕の家庭の環境が少し特殊なのもある訳で
じゃあ、それが無かったら

「おい、JUN。」

「へ?」
どうやら少しボーっとしてたらしい


何時の間にかラーメンを食べ終わったベジータがこっちを見てる
「何?」
「お前、エノキ嫌いだよな。」
僕の弁当箱の中のエノキのベーコン巻きを指差すベジータ
「ん、まあ苦手だけど。それが如何した?」
「ならさ。それ俺にくれないか?一回巴嬢の手料理食べてみたいんだ。」
ベジータに、柏葉の作った料理を?
ベジータに……。
僕以外の奴に、柏葉の手料理を……。



「絶対嫌だ。」



続く

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最終更新:2006年08月24日 11:14