※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。

僕の名前は桜田ジュン。ごく普通の中学1年生。
成績は上の中。素行も悪くない、まさに平凡な男。
…何?好きな子はいるかって?どうだろうね。


雛「ジュン?どうしたのー?ぽけぇーとして」

ジ「あ。悪い。考え事してた。帰ろ」

雛「なのーっ」


この子は僕の幼馴染、雛苺。
幼稚園の頃から何故かずーっと同じ組。
何処か抜けてるけど、良い奴。
しいて言うなら「護ってあげたい子」といった感じかな。


雛「ジューンっ早く早く!」

ジ「わかってるよ。雛」

水「ちょっと、ジュン」

ジ「げ。水銀燈」

水「げ ってなぁに?」


こやつは水銀燈。
ああ、そうだ。水銀燈もずっと同じ組だった。
水銀燈の場合、腐れ縁って感じかな?


ジ「悪い、雛。今日は無理っぽい」

雛「えぇーっ …わかったのー」

ポンポン、と雛の頭を撫でて、水銀燈の方に向き直った。

水「ジュン、今日は空いてるかしらぁ?」

ジ「…たった今お前が空かせたんじゃないのか?」

水「ごめんねぇ?でも、どうしても今日…
  ヤクルトパーティしたかったから」

ジ「ごめん。急用思い出したから帰るわ」

水「えぇっ!?」


水銀燈が『ヤクルトパーティ』と称して行う
乳酸菌フェアは、2週間前に僕の腹を見事に下させた。
それ以来僕は水銀燈とあまり目を合わせないようにしている。


水銀燈の誘いを断り、玄関まで行くと、
見知った顔No.3がいた。


金「ジュン、一緒に帰るかしら?」

金糸雀だ。家が裕福なので、水銀燈にたかられて
ヤクルトを箱単位で提供させられている可哀想な奴。
水銀燈曰く、『世界のヤクルトは私のもの』だそうだ。


ジ「いや、遠慮しとくよ。ところで水銀燈が
  ヤクルトパーティ開くって。僕は断ったけど」

金「かしらーっ!?」


青ざめた顔をして自分の財布の残金を確認している金糸雀。
ああ、哀れ。 強く生きるんダ。


校門を出た僕は、白い薔薇の模様が入った眼帯をした子に抜かされた。
確か、最近転校して来た、…ごめん。名前忘れた。

まぁいいだろう。さっさと帰って
『くんくん』の再放送でも見るとしようか。

そんなことを考えていた頃、知っている後ろ姿を見つけた。


ジ「柏葉っ」

巴「あ。桜田君」

柏葉巴とは、小学校の中学年まではいつも遊んでいた。
いつからかお互いに疎遠になっていったんだっけ。


ジ「柏葉んちってこっちだっけ」

巴「うん。なんか久しぶりだね。こうやって一緒に帰るの」


柏葉は前回のテストで、学年一位だったらしい。
出来すぎちゃんめっ。


ジ「ところでさ、柏葉は『くんくん』の再放送見てる?」

巴「あれ面白いよね」


…他愛もない会話が新鮮だった。
日常への愛おしさを感じる。


皮肉だけど、日常が終わりを迎えたのは、そんな日だった。


ジ「ただいまーっ」

の「ジュンくん?おかえりー」

台所の方から 姉、のりの声。
うちに両親はいない。詳しくは知らないけど、
海外で美術品とかを取り扱っているらしい。
現在は高校生の姉が家事全般をしている。


ジ「鍵、かかってなかったぞー?」


無用心なことだ。そう思いながら僕は、
木製のやや年季の入った、僕の部屋に続く階段を上っていく。

そして────


ガチャンッ

…一瞬見間違えかと思った。
僕のベッドの上に、女の子が正座している。


ジ「え…っ!?」

僕はその子の顔に見覚えが合った。
さっき僕を抜かした転校生。

ふと、彼女の名前を思い出した。

ジ「き…雪華綺晶さん?」

こくっと一礼した雪華綺晶さん。
眼帯をしていない左目が、じっと僕を見据えている。

雪「ジュン様、これから宜しくお願いします」

ジュン様…?誰だよそれ。
宜しくって、転校生の挨拶か何か?

ジ「状況が掴めないんです──けど?」

雪「では、説明いたします」



ジ「未来の結婚相手ぇっ!?」

雪「はい。
  妹の占いで『戸裏見水晶』に浮かんだ方が
  ジュン様、あなただったのですわ」

ジ「それで、あなたの執事さんが調べ上げて、
  僕の居住区域まで全て割り出した──と?」

雪「はい。若気の至りで悪い虫に食べられないように、
  今の内から私が調きょゴホン もとい、
  恋人としてこの家に置いていただきます。
  お互い、法が結婚を許すまで」


納得行かないことが多すぎる。
僕の頭が処理落ちしちゃいそうですよ?


ジ「ちょっと待ってください。ここに住むって、
  あなたの一存で決められるわけ無──」

雪「のりお義姉様は許してくださりました」

もうダメだ。あの姉を黙らせるなんて。
あの姉は一応良識など、結構あるはずなのに。

ジ「…雪華綺晶さん。あなたは、何者ですか?」

雪「ふふふ… 単なる箱入り娘です」

その箱は純金とか使ってるんじゃないんですか?

雪「あと、『雪華綺晶さん』なんて堅苦しい呼び方、
  出来ればやめてくださります?」

ジ「…じゃあ、なんて?」

雪「私のことは──気さくに、


  きらえもん とでも…」

ジ「きらえもん…ですか」

って、順応してないか!?僕っ


ピーンポーンッピーンポーンッ


チャイムだ。誰だろ。

ジ「ちょっと待っててください、
  雪華綺晶さ… きらえもん」

雪「はい」ニコッ

どっきゅーん。
…いや、萌えたけど、萌えたけどね!?

雪「行かなくて宜しいのですか?」



ドアを開けると、誰もいなかった ──わけじゃなくて、
顔二つ分くらい下を見下ろすと、雛が立っていた。


ジ「どうした?雛」

雛「うゅ、ちょっと宿題、わからないところがあるの」

ジ「じゃあ、上がってく?」

雛「うんっ」

雪「どなたですか…?ジュン様」

柱の影から顔を覗かせるきらえもん。
何故か少し不機嫌そうな顔。

雛「うにゅー?雪華綺晶さん?」

雪「あなたは…もしかして、雛苺さん?」


僕を間に挟んで、熱い火花が散った。
…ように見えた。


僕の未来はどっちだ。


To be continued...

|