孤独なココロをギュッと抱きしめて。
*蒼い子サイド
部屋の鍵を閉めて、ベッドの上で体育座り。
この状態で何時間経っただろうか。
夕立が屋根を叩き、窓を伝う。
それはきっと、僕に似ている。
翠「もしかして、ジュンのせいですか…?」
チガウ。ソウダケド、チガウ。
翠「だからあんな命令よせって言ったです!
ヒンズースクワット5000回なんて鬼監督もいいとこです。
でも、妹を泣かすなんて私は──」
蒼「違うんだ。僕のせい。ジュンくんに嫌われたかも」
翠「…蒼星石はどうしたいですか?」
蒼「え? …そりゃ、仲直りしたいよ」
ソレガボクノ本心だったの?
仲直りを望んでいたの?
違う。僕はジュンと薔薇水晶の仲を───…
翠「じゃ、じゃあ翠星石が二人の仲を」
蒼「やめて。 僕は、きっと許されない。
許してもらったように見えても、それはきっと
翠星石が言ったことで、だから」
僕は何を言ッテイル?
翠「…ホントは、 ホントは私が蒼星石と
行きたかったですよ?でも、ここに、
映画のチケット置いてくです。
あのヤローと行ってくるが良いです。
…蒼星石は、大人すぎるです。
たまには自分の幸せを望めですぅ」
蒼「幸せ…?」
…僕はそれを望んでも…
いいの?
ガチャンッ。ギーッ。
僕の心と、ドアが開く。
蒼「翠星石っ」
もう一人の僕を抱きしめる。
蒼「ありがとぉ。姉さん」
翠「蒼星石は甘えんぼです」
暖かいや。暖かい。
…僕は、ふと足元に落ちているチケットに目をやった。
…話題の恋愛映画じゃないか。嘘つき。
翠星石の方が、ずっと大人じゃないか。
でも、ジュンくんはあげないよ?
・
蒼「もしもし、ジュンくん?
え?ちょっと、なんでジュンくんがあやまるのさーっ。
あれは僕が悪かったんだ。ごめんね…?
うん。そうなんだ。ところで、金曜日暇かなぁ?
そう!?じゃあ、今度の金曜の6時にロウゼンシネマ前に
来て欲しいんだけど…」
別に学校で言えば良い話だけど、何故か
電話で今伝えないとダメな気がした。
罪悪感が、ジュンくんの声を聞いて溶けていった。
やっぱり、ジュンくんはジュンくんだねっ。
fin