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 真紅と翠星石は寮の外に出て、デュエルアカデミア指定の決闘盤を左腕に装着した。
 従来の決闘盤の鋭角的なシルエットとはまた一味違った、丸みを帯びたフォルムが
特徴的な決闘盤である。“あの”コーポレーションの最新版だ。
 両者10mの距離をとり、決闘盤にデッキをセットし戦闘モードへ移行する。
     
「ルールはエキスパートルール、ライフは4000! いいですね、真紅?」
「いいのだわ。ルールならしっかりと記憶していてよ」
     
 真紅と翠星石は、決闘盤にセットしたデッキから、手札として5枚のカードを引いた。
真紅の手札は以下の通り。
    
手札:洞窟に潜む竜 サファイアドラゴン ドル・ドラ 最終突撃命令 サイクロン
    
「私が先手を取らせてもらうのだわ。ドロー!」
    
つ スタンピング・クラッシュ
     
 悪い手札ではない。まずは≪洞窟に潜む竜≫を裏守備で壁として出し、相手の出方に
よって≪サイクロン≫で伏せカードを除去し、≪サファイアドラゴン≫で攻める。この手札で
攻めていくならこういう感じだろう。
 真紅は決闘盤に≪洞窟に潜む竜≫を裏守備でセットした。
    
「私は裏守備でモンスターをセットし、ターンエンドなのだわ」
「じゃ、翠星石のターンですぅ。ドロー!」
    
 翠星石はドローカードを確認すると、手札からモンスターカードをセットした。
 場に、メタリックなボディの機械のドラゴンが姿を現す。
        
「≪サイバー・ドラゴン≫を特殊召喚するですぅ!」
「★5のモンスターを生け贄なしで……? 翠星石、ルール違反ではなくて?」
「あ、真紅はサイドラも知らなかったんですか……。簡単に言うと、相手の場にモンスター
 がいて、自分の場にモンスターがいない時、手札から特殊召喚出来るんですぅ」
      
≪サイバー・ドラゴン≫
星5/光属性/機械族/攻2100/守1600
相手フィールド上にモンスターが存在し、
自分フィールド上にモンスターが存在していない場合、
このカードは手札から特殊召喚する事ができる。
      
「今の環境では、どのデッキにも2~3枚は入る余地のあるスーパーアタッカーですね。
 そして、モンスターを裏守備でセットし、バトルフェイズ突入ですぅ!」
     
サイバー・ドラゴン 攻2100 vs 洞窟に潜む竜  守2000
     
真紅  LP4000
   
「ターンエンドですぅ」
     
真紅   LP4000 場:なし
翠星石  LP4000 場:サイバー・ドラゴン 裏守備×1
     
「やってくれるわね、翠星石……私のターン、ドロー!」
     
つ 攻撃の無力化
       
「(このターンはこれで凌ぐしかないわね……)
 モンスター(サファイアドラゴン)を裏守備でセットし、更に場にカードを一枚伏せて、
 ターンエンドよ」
「翠星石のターン、ドロー! このターンのメインフェイズで裏守備モンスターを生け贄に
 捧げ、≪雷帝ザボルグ≫を召喚するですぅ!」
「上級効果モンスター……どんな効果なの?」
「このカードは、生け贄召喚に成功した時、場のモンスター1体を破壊出来るんですぅ」
    
≪雷帝ザボルグ≫
効果モンスター
星5/光属性/雷族/攻2400/守1000
このカードの生け贄召喚に成功した時、フィールド上のモンスター1体を破壊する
    
「ザボルグのモンスター効果でその裏守備モンスターを破壊するですぅ!」
    
 裏守備のサファイア・ドラゴンにザボルグの死の雷が下り、木っ端微塵に破壊された。
    
「サファイアドラゴンが……!」
「壁モンスターもいなくなった事ですし、真紅に総攻撃ですぅ! バトルフェイズに突入!
 サイバー・ドラゴンでダイレクトアタックですぅ!」
「させないのだわ! 罠カード発動、≪攻撃の無力化≫!」
     
≪攻撃の無力化≫
カウンター罠
相手モンスターの攻撃宣言時に発動する事ができる。
相手モンスター1体の攻撃を無効にし、バトルフェイズを終了する。
     
「サイバー・ドラゴンの攻撃を無効にし、このターンのバトルフェイズを終了するのだわ!」
「なかなかやるですね、真紅。翠星石は場にカードを一枚伏せ、ターンエンドですぅ」
「……私のターンなのだわ」
   
真紅   LP4000  場:なし
             伏せ:なし
翠星石  LP4000  場;サイバー・ドラゴン 雷帝ザボルグ
             伏せ:1枚
    
 何とかこのターンは凌いだが、劣勢であるには違いない。ライフは互角だが、翠星石の
場には攻撃力2000以上の上級モンスターが2体もいる。伏せカードも恐らくは罠だ。
 翻って、こちらの場にはモンスターも伏せカードもない。
   
(今の私の手札は4枚……起死回生のカードはないのだわ)
   
 起死回生のカードを引き当てる事を祈って、真紅はカードをドローした。
    
つ 天使の施し
   
「(手札入れ替えカード……よし、今はこれに賭けるのだわ)
 私は手札から≪天使の施し≫を発動! カードを3枚引き、2枚捨てるのだわ」
   
≪天使の施し≫
通常魔法
デッキからカードを3枚ドローし、その後手札からカードを2枚捨てる。
    
つ アックス・ドラゴニュート 強奪 ならず者傭兵部隊
    
手札:ドル・ドラ 最終突撃命令 サイクロン スタンピング・クラッシュ 
    アックス・ドラゴニュート 強奪 ならず者傭兵部隊
     
「私は≪スタンピング・クラッシュ≫と≪最終突撃命令≫を捨てるのだわ。
 そして、手札から≪サイクロン≫を発動! 伏せカードを破壊するのだわ!」
    
≪サイクロン≫
速攻魔法
フィールド上の魔法または罠カード1枚を破壊する。
    
 立体映像によって具現化した≪サイクロン≫のカードから暴風が吹き荒れ、翠星石の
場の伏せカードを吹き飛ばし、粉砕する。
     
「翠星石の場の伏せカードは≪聖なるバリア―ミラーフォース≫ですぅ……。
 なかなかいい読みですよ、真紅」
「褒めても何も出ないわよ、翠星石。更に、手札から≪強奪≫を発動! コントロールを
 奪うモンスターは……≪雷帝ザボルグ≫なのだわ!」
   
≪強奪≫
装備魔法
このカードを装備した相手モンスターのコントロールを得る。
相手のスタンバイフェイズ毎に、相手は1000ライフポイント回復する。
   
 立体映像の≪強奪≫カードに描かれた引ったくりがカードから飛び出し、翠星石の場の
ザボルグをカード名通りに『強奪』し、真紅の場にザボルグを置いた。
     
「そして、≪ならず者傭兵部隊≫を召喚! 効果発動なのだわ!」
    
≪ならず者傭兵部隊≫
効果モンスター
星4/地属性/戦士族/攻1000/守1000
このカードを生け贄に捧げる。フィールド上のモンスター1体を破壊する。
   
 場に現れた荒くれ者揃いの傭兵達が、サイバー・ドラゴンに飛びかかる。
 彼らはサイバー・ドラゴンを道連れに、フィールド上からたちまち消滅した。
   
「バトルフェイズに移行! このままザボルグで翠星石にダイレクトアタックなのだわ!」
   
 ザボルグから放たれた一条の雷が、狙い過たず翠星石を射抜く。
    
翠星石  LP4000→1600
   
「ターン終了なのだわ」
   
真紅   LP4000   場:雷帝ザボルグ(強奪)
翠星石  LP1600   場:なし
    
「翠星石のターン、ドロー! ……真紅、今のターンの攻防はなかなかいいですぅ。
 流石の翠星石もちょっとビックリしたですよ」
「これが私の実力なのだわ」
「でも、詰めが甘いですぅ……≪強奪≫の効果により、LPを1000ポイント回復ですぅ」
    
翠星石   LP1600→2600
   
「翠星石は場にカードを2枚伏せ、モンスターを裏守備でセット! ターンエンドですぅ!」
   
真紅   LP4000   場:雷帝ザボルグ(強奪)
翠星石  LP2600   場:裏守備×1
              伏せ:2枚
    
「私のターン、ドロー!」
    
つ アームド・ドラゴン LV5
   
「雷帝ザボルグを生け贄に、アームド・ドラゴン LV5を召喚するのだわ!
 そして私のターンのバトルフェイズ、アームド・ドラゴンで裏守備モンスターを攻撃!」
「裏守備モンスターは≪ピラミッド・タートル≫……アンデッド族のリクルーターですぅ」
     
≪ピラミッド・タートル≫
効果モンスター
星4/地属性/アンデット族/攻1200/守1400
このカードが戦闘によって墓地に送られた時、
デッキから守備力2000以下のアンデット族モンスター1体を
フィールド上に特殊召喚する事ができる。その後デッキをシャッフルする。
    
「ピラミッド・タートルの効果により、デッキから≪ワイト≫を特殊召喚ですぅ!」
    
 背にピラミッドを背負った陸亀が破壊され、代わりにガイコツのおばけが出現した。
     
≪ワイト≫
通常モンスター
星1/闇属性/アンデット族/攻 300/守 200
どこにでも出てくるガイコツのおばけ。攻撃は弱いが集まると大変。
    
「ワ……ワイト?」
「ふふん、驚くのはまだちょっと早いですぅ。ワイトの特殊召喚にチェーンして、場の
 伏せカードを発動、≪連鎖破壊≫! 場のワイトと、デッキの中の2枚のワイトを
 破壊して墓地に送るですぅ!」
    
≪連鎖破壊≫
通常罠
攻撃力2000以下のモンスターが召喚・反転召喚・特殊召喚されたら
発動する事ができる。
そのモンスターのコントローラーの手札とデッキから同名カードを全て破壊する。
その後デッキをシャッフルする。
   
 場のワイトが爆発し、デッキからもワイトのカードが自動で抜き出された。それらは墓地
に置かれ、翠星石の場は再び空になる。
     
「(ワイトに連鎖破壊、一体何が目的なの……?)
 バトルフェイズは終了、メインフェイズに出来る事もないし、ターンエンドよ」
「じゃあ翠星石のターン、ドロー! 更に罠カードを発動、≪無謀な欲張り≫!
 カードを2枚ドローし、以降のドローフェイズを2回スキップするですぅ」
   
≪無謀な欲張り≫
通常罠
カードを2枚ドローし、以後自分のドローフェイズを2回スキップする。
   
(ワイトを破壊し、ドローを加速し……何を仕掛けてくる気なの?)
「手札を1枚捨て、手札から≪ライトニング・ボルテックス≫を発動! 真紅の場の
 モンスターを一掃するですぅ!」
     
≪ライトニング・ボルテックス≫
通常魔法
手札を1枚捨てる。相手フィールド上に表側表示で存在するモンスターを全て破壊する。
     
 場に雷が迸り、アームド・ドラゴンを消し去った。
    
「除去カード……アームド・ドラゴンを消して壁にさせないつもりね」
「そう……そして、これが翠星石の切り札ですぅ! ≪ワイトキング≫を召喚!」
      
 翠星石がカードを決闘盤にセットすると、先程墓地に送られたワイトによく似た、しかし
その身体から放たれる強烈なオーラを纏ったモンスターが出現した。
     
≪ワイトキング≫
効果モンスター
星1/闇属性/アンデット族/攻  ?/守  0
このカードの元々の攻撃力は、自分の墓地に存在する「ワイトキング」
「ワイト」の数×1000ポイントの数値になる。
このカードが戦闘によって破壊され墓地へ送られた時、
自分の墓地の「ワイトキング」または「ワイト」1体を
ゲームから除外する事で、このカードを特殊召喚する。
     
「今翠星石の墓地にあるワイトは3枚……攻撃力は3000ね。まだ負けはしないのだわ」
「そう思うのが真紅の浅はかさですぅ。ワイトキングの攻撃力をよく見るですぅ」
    
ワイトキング 攻4000
    
「よ……4000? まさか!」
「そう、さっきのライボルを使った時コストにしたのが、もう1枚のワイトキングですぅ。
 これで翠星石の墓地にはワイトが3枚、そしてワイトキングが1枚存在しているですぅ。
 よって、モンスター効果により場のワイトキングの攻撃力は4000となるんですぅ!
 さあ、これで一気にとどめですぅ!」
「くっ……私の手札にはワイトキングの攻撃を防ぐカードはないのだわ……」
「バトルフェイズ突入! ワイトキングで真紅にダイレクトアタックですぅ!」
    
真紅   LP4000→0
   
   
   
「これで真紅のライフはゼロ、翠星石の勝ちですぅ」
「ワイトに負けたのだわ……ミノタウルスに握り潰されたくせに、屈辱なのだわ」
「真紅ってば分かってないですぅ。遊戯王OCGにおいてはワイト様=神ですぅ」
   
 翠星石はどうやら、ギャンブラーの上にワイト信者のようである。
 しかし、普通は≪青眼の白龍≫辺りのステータスの高いモンスターを切り札にしてくると
思うが、こんなカードを使ってくるとは思いも寄らなかった。遊戯王OCGの世界は、まだま
だ知らない事だらけで、とても奥深い。
   
「翠星石、またデュエルしてくれるかしら?」
「勿論ですぅ。真紅とは同室ですし、それに今日からライバルですぅ!」
「ライバル……そうね、私達、ライバルね。よろしく頼むのだわ、翠星石」
   
 二人は握手し合い、同室の友人兼ライバルの絆をほんの少し固くした。
 真紅も、決闘者として、そしてデュエルアカデミアの生徒として、ほんのちょっぴり成長
出来たような気がしていた。
    
   
    
    
    
 だが……。
 この時、真紅も翠星石も、デュエルアカデミアの生徒の誰一人として、これから起こる、
学園に隠された幻のカードを巡る熾烈な戦いを、予想だにしていなかった。
 3枚の幻魔のカード……そして、2枚の禁断のカードを巡る戦いを…………。
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