真っ黒に塗り潰されている絵が現すものといえば、ぱっと思いつくものが『闇』。これ
もまた、何も見たくはないという拒絶の顕れなのだろうか。
彼女はれっきとしたひとつの存在であり、また人間である。だから私も、そのように接
する。水銀燈もその辺りはわかってくれているようで、それは随分有難いことだと感じて
いる。
だが、ここ最近。彼女の意識が、少しずつ変わってきているようにも思える。
そうなると、桜田君という存在とその意識が、どうしても関わりを持たざるを得ない。
彼もまた、無意識の拒絶を内包していることは確かなことかもしれないが。
今度また、彼女と二人で話をする必要がありそうだ。
ちょっとまた複雑なのが、ヒナちゃんのこと。まあ、彼女曰く、ヒナちゃんは桜田君に
好意を抱いてるみたいだが……私が見るに、それは恋愛感情からくるそれとはいささか異
なるような気もしなくはない。