真っ黒に塗り潰されている絵が現すものといえば、ぱっと思いつくものが『闇』。これ
もまた、何も見たくはないという拒絶の顕れなのだろうか。


 彼女はれっきとしたひとつの存在であり、また人間である。だから私も、そのように接
する。水銀燈もその辺りはわかってくれているようで、それは随分有難いことだと感じて
いる。


 だが、ここ最近。彼女の意識が、少しずつ変わってきているようにも思える。
 そうなると、桜田君という存在とその意識が、どうしても関わりを持たざるを得ない。


 彼もまた、無意識の拒絶を内包していることは確かなことかもしれないが。
 今度また、彼女と二人で話をする必要がありそうだ。



 ちょっとまた複雑なのが、ヒナちゃんのこと。まあ、彼女曰く、ヒナちゃんは桜田君に
好意を抱いてるみたいだが……私が見るに、それは恋愛感情からくるそれとはいささか異
なるような気もしなくはない。
 

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最終更新:2006年08月06日 16:33