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「一つ屋根の下 第十一話 JUMと姉妹喧嘩 前編」


「犯人は、この中にいる!」
その日、僕はおやつで出された苺ケーキを食べながらソファーでくんくん探偵を見ていた。
「・・・くんくんは天才よ・・・」
「その通りだわぁ・・・」
全員揃って・・・我が家の場合、特に真紅姉ちゃんと銀姉ちゃんの熱狂ップリは凄まじい。
「ド・・・ドキドキなのぉ・・・」
「カナの推理によると、犯人は・・・・」
同じように、ヒナ姉ちゃんとカナ姉ちゃんも夢中で見ている。
「・・・成る程、そういうトリックだったんだ・・・となると・・・」
蒼姉ちゃんがくんくんが解いていくトリック一つ一つに反応する。
「・・・ドキドキ・・・・ドキドキ・・・・」
「あら?夢中すぎてチーズケーキ全部食べてしまいましたわ。」
薔薇姉ちゃんは終始胸に手を置いて見入っている。キラ姉ちゃんはおやつの苺ケーキとは別に自分で
買って来たチーズケーキを一人で丸々食していた。そんな時だった・・・
「いっひっひっひっひっひ・・・・・」
魔の手がヒナ姉ちゃんの苺ケーキに向かっていく・・・そして・・・
「つまり、犯人は・・・・!!」
「!!!」
「びゃあああああああああああああああ!!!!!!!」
くんくんが犯人を言いかけたところで耳をつんざく様な叫び声があがった。
「うるさい(わぁ!かしら!よ!のだわ!ですわ!・・・)」
見ると、ヒナ姉ちゃんがベソかいていた。
「ぼやっ・・・苺が・・・けーきぃ・・・」
食べかけだった苺ケーキがある。ただ、その天辺にある苺はすっぽり消えていた。
「あらあら、ごめんあそばせですぅ。あまりにトロトロしてるからいらないと思って処理してやったですぅ。」
そして、真犯人が自ら名乗り出た。


「また翠星石が食べたの!ヒナ、苺が好きだから最後までとっておいただけなのー!」
「んなこたぁシラネーですぅ。文句があるならさっさと食えばよかったですよ。」
口論が始まる。他の姉妹は今のところ、くんくんのラストに張り付いてて興味を示してない。
「返してよー!ヒナの苺ー!」
「へーんだ。チビチビがトロトロしてるからワリィんですよ~。」
くんくん探偵が終わる。そこで、ようやく他の姉妹達が目を向けた。
「全く・・・それで?両者の言い分は?」
真紅姉ちゃん、それくらい聞いておこうよ。僕は真紅姉ちゃんに事を説明する。
「真紅!翠星石が悪いよね!ヒナは被害者なのよ。」
「真紅!翠星石は悪くねーですよ。チビ苺の食べ方は苺が嫌いで残してるようにしか見えないですぅ。」
と、両者全く平行線だった。真紅姉ちゃんはため息をつくと言った。
「じゃあ仕方ないわね・・・ローゼン多数決で決めましょう。」
ヒナ姉ちゃんと翠姉ちゃんは望むところと意気込む。さて、ここでローゼン多数決について説明しよう。
我が家は全員で9人。頑固者が多い我が家では、話が平行線で進まないときは他の姉妹に
意見を求め、最終的に支持された人数が多い方の言い分が受諾されるわけだ。
都合よく奇数だし、民主的との事で結構起こる。まぁ、今回みたいに下らない内容が多いが・・・
さて、ここで面白いのは勧誘の手段である。当事者以外の姉妹をいかに自分に引き込むか。
それがこのローゼン多数決の醍醐味であり、当事者はそれに全力を尽くす。
「ふっ・・・真紅、これを見るです!」
先手を取ったのは翠姉ちゃんだった。手にはストラップを掲げている。
「そ、それはくんくん限定ストラップ!?それをどこで!?」
「この前ゲーセンでとったですよ。こっちに来たらあげるですぅ。翠星石はもう一個あるですから。」
翠姉ちゃんは真紅姉ちゃんを物で釣り出した。まぁ、品が品だ。間違いなくかかるだろう。
「いいわ、ならば私は翠星石を支持するのだわ。」
真紅姉ちゃんが翠姉ちゃんの支持を宣言する。宣言すると、もう取り消しは不可だ。
「うゅ・・・真紅とられちゃったの・・・えと・・・えと・・・か、金糸雀!!」
ヒナ姉ちゃんはカナ姉ちゃんを勧誘にかかる。


「カナなら分かってくれるの。カナも翠星石に玉子焼き取られたことあるの。」
おっと、同情作戦だ。果たして成果は・・・
「確かにそうかしら・・・カナも好きなのは最後に残すから気持ちは分かるかしら・・・カナはヒナの味方かしら!」
カナ姉ちゃんはヒナ姉ちゃんを支持する。これで2対2。
「ふ~んだ、チビ苺とオバ金糸雀が結託しても怖くねーです。蒼星石!当然翠星石の味方ですよね。」
蒼姉ちゃんを抜きにかかる。二人はプリキュ・・・もとい、双子。安全パイなはず・・・だが・・・
「僕は雛苺につくよ。今回は翠星石が悪いよ。」
「そ、そんなぁ。蒼星石は双子の姉を捨てるですかぁ~!」
よっぽどショックだったのかガーンとバックに映し出されてる感じがする。
「やったの~!ありがと、蒼星石ぃ~!」
「うん、いいよ。僕は雛苺につきます。」
蒼姉ちゃんがヒナ姉ちゃんを支持。これで2対3。
「うう・・・・き、キラキー!来れば明日の晩御飯は豪勢にいくですよ!」
「あ、あうっ・・・雪華綺晶が・・・」
めげずに翠姉ちゃんがキラ姉ちゃんを引き抜きにかかる。ヒナ姉ちゃんは出遅れた感じだ。
「晩御飯・・・豪勢・・・じゅるり・・・」
キラ姉ちゃんの目がキュピーンと光り、フラフラと翠姉ちゃんの陣地へ向かう。
「ま、待つかしらキラキー!!」
そのキラ姉ちゃんにストップをかけたのはカナ姉ちゃんだった。キラ姉ちゃんはまだ宣言してない。
すなわち、引き戻しも可能だ。
「キラキー、貴方なら分かるはず・・・だ~~い好きな食べ物を最後に食べたいという気持ち・・・
あの幸福感・・・翠星石は・・・それを奪ったかしら!これは許されないかしら!!!」
ビシッと指をさすカナ姉ちゃん。何か感動的な話かと思ったら、内容は妙に間抜けだ。



「異議ありですぅ!!さっさと食わない方が悪いですぅ!所詮この世は弱肉強食ですぅ!!」
同じくビシっと指を向ける翠姉ちゃん。キラ姉ちゃんが口を開く。
「・・・翠星石。私が御飯にいつまでも釣られると思ったら甘いですわ・・・」
いや、思い切り釣られてましたよ、貴方。
「ヒナ、カナ・・・貴方達の想い受け取りましたわ。好きな物を最後に食べるのは人生の至福ですわ。
それを奪った翠星石は・・・地獄すら生ぬるいですわ。私、まだ覚えてます・・・6年と153日前・・・
翠星石に私の残してたステーキの最後の一切れを食べられた時の事を!私は雛苺を支持しますわ!」
キラ姉ちゃん、根に持ちすぎです。かくして、2対4とリーチがかかった。
「ん・・・じゃあ私は・・・」
「待ちなさい、薔薇水晶!」
ヒナ姉ちゃんの方に行こうとする薔薇姉ちゃんを真紅姉ちゃんが引き止める。
「薔薇水晶・・・一方的に相手を倒すガンダムは面白い?ああいうのは、実力が白熱してるほうが
面白く、より燃えるのだわ。」
よく分からない説得をする真紅姉ちゃん。ストラップはもう手中だから後はどうでもいいと傍観するかと
思ってたが、相変わらず負けず嫌いのようだ。
「!!そっか・・・確かに・・・そっちのが燃え・・・弱いほうにつくのが・・・ジャスティス!私は・・・翠星石・・・」
真紅姉ちゃんのよく分からない説得がツボだったのか、薔薇姉ちゃんは翠姉ちゃんを支持する。
「じゃあ、私は翠星石~。」
最後に銀姉ちゃんが翠姉ちゃんを支持する。これで4対4。
「ちなみに・・・銀姉ちゃんの支持理由は?」
聞くだけ無駄だろうが聞いてみる。そして、答えは案の定だった。
「こっちのが面白いからに決まってるじゃなぁい・・・さ、これで4対4・・・勝負の行方は・・・」
姉ちゃん達が一斉に僕を見る。こうなるんだよな・・・結局はさ・・・そして、銀姉ちゃんが高らかに言う。
「JUM争奪戦、開始よぉ!!!」

後編へ続く

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