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「一つ屋根の下 第五話 JUMと蒼星石」


「おはよう、JUM君。」
僕が朝、食卓へ向かうと蒼姉ちゃんがエプロン姿で台所で迎えてくれた。我が家では大抵朝ご飯を作るのは
翠姉ちゃんか蒼姉ちゃんだ。蒼姉ちゃんが作るときは和食が当然多くなる。
もっとも、真紅姉ちゃんは朝は意地でもパンを食べていくが・・・
「おはよう、蒼姉ちゃん。何か今日は人が少ないような・・・」
僕は食卓を見渡す。いつもは大賑わいしてる食卓が今日は薔薇姉ちゃんしかいない。
「・・・もっきゅもっきゅ・・・おはよう・・・JUM・・・もっきゅもっきゅ」
「・・・おはよう。薔薇姉ちゃん。でもさ、口の中のは飲み込んでからでいいよ。」
「もっきゅ・・・ごっきゅん・・・うん。」
相変わらずマイペースというか、不思議な人だ。
「今日はみんな朝から色々あるみたいだよ。日直だったり、朝錬だったり。はい、JUM君の分。」
蒼姉ちゃんがコトリと僕の前に御飯一式を置く。今日は御飯、味噌汁、鮭の塩焼き、納豆、漬物と
相変わらず渋いチョイスだった。
「さて、僕も食べようかな。」
蒼姉ちゃんがエプロンをとる。その下から学校の制服が露になる。エプロンをとるときに突き出した胸に
僕は少し興奮してしまう。銀姉ちゃんに言わせれば、双子ながら蒼姉ちゃんのが翠姉ちゃんよりスタイルが
いいらしい。何でも、胸も多少ながら大きく、張りがあり尚且つ、ウエストも細いとか何とか・・・
やっぱりあれかな。二人の生活ぶりの違いがそうさせたのかもね。
「JUM君?どうしたの?ぼーっとして。美味しくなかった?」
少し不安そうに首を傾げる蒼姉ちゃん。僕は思わず想像した破廉恥なモノを吹き飛ばして御飯を進めた。
「JUMは・・・・ムッツリ・・・・メモメモ・・・」
とりあえず薔薇姉ちゃんの独り言は聞こえないふりをしとこう。



「戸締りもしたし・・・いこっか、JUM君。」
僕は御飯を終えると蒼姉ちゃんと家を出た。ちなみに、薔薇姉ちゃんは今日はMGのサザビーを帰りに買ってくる
とかで、自転車で先に行ってしまった。
「今日はJUM君のクラスは一時間目何?」
「僕のトコはいきなり体育だよ。イヤになっちゃう。蒼姉ちゃんは?」
「僕のトコは英語だよ。体育かぁ。僕のクラスの体育は今、ハンドボールなんだよ。」
何て、他愛ない会話をしながら学校へ向かう。風が蒼姉ちゃんと短いながらも綺麗な髪をサラサラと流す。
他の姉妹よりは若干長い気がしなくもないけど、それでも膝より上のスカートが風に揺れる。
弟の僕が言うのも何だけど、蒼姉ちゃんは文句なしに可愛いと思う。
「そういえばさ・・・蒼姉ちゃんてさ・・・・」
「うん?何かな?」
「可愛いよね。」
てなわけで、ついついそんな言葉が出てしまう。蒼姉ちゃんはその言葉を理解するのに数秒要したのか
その後ミルミル顔を赤く染めていく。
「て、照れるなぁ・・・そんな事言われる事ないからさ・・・その・・・嬉しい。それがJUM君でも・・・」
普段はむしろ、カッコいいとか言われてるようだ。それも仕方ない。蒼姉ちゃんは同性にかなり人気がある。
そんな風に自分を思うのも仕方ない事かもしれない。
「あ、そ、そうだJUM君。今日晩御飯のお買い物付き合ってくれないかな・・・・ダメ?」
上目遣いでそんな事を聞いてくる。そんな顔されたら断れない。僕はそれを了承すると、クラスへ向かった。


「あ、桜田君!ちょっといいかな?」
放課後、帰ろうとするとクラスメイトの桑田さんが話しかけてくる。ちなみに、どうでもいいが僕は未だに
苗字が桜田だ。姉ちゃん達はローゼンと外人みたいな苗字だ。まぁ、実際に父親はドイツ人らしいが。
「桑田さん?何?」
「あ、あのね・・・その・・・蒼星石先輩と少しお話したいんだけど・・・できる?」
ああ、分かった。普通にお近づきになりたいって事なんだろう。この仕事もすでに数回こなしてる。
僕と同じ新入生の女子は、蒼姉ちゃんに心を奪われ少しでも親しくなりたいと思ってる子が多いらしい。
「ああ、今日は待ち合わせしてるから。付いてきなよ。」
そんなわけで、僕は蒼姉ちゃんと待ち合わせしてる場所へ桑田さんを連れて行く。待ち合わせ場所には
すでに蒼姉ちゃんがいた。
「あ、JUM君。あれ、その子は?」
「ああ、クラスの桑田さん。蒼姉ちゃんに話があるってさ。」
僕は桑田さんを前に押し出す。しかし、これが後で僕らの晩御飯に大きく影響を及ぼしそうになるとは
全く思っていなかった。桑田さんは言った。
「あ、あ、あの・・・蒼星石先輩!」
「ん?何かな?」
「わ・・・わ・・・私とお付き合いしてください!!!!」
・・・何て言った?この子は・・・・
「え・・・いや、その。僕こんなでも一応女の子で・・・」
「だ、だからです!ダメですか!?」
「いやだから、ダメとか、そんなじゃなくてその・・・・ご、ごめん!!僕帰るよ!」
余りの出来事にショックを受けたのか、蒼姉ちゃんはダッシュで僕を置いて帰っていく。ああ、晩御飯が・・・



「あ・・・あ・・・何がダメだったんだろう・・・」
桑田さんは沈み込んでいる。普通に考えてダメに決まってます。
「私・・・先輩と『お友達として』お付き合いしたいと思ってたのに・・・」
肝心な言葉が抜けて別の意味になってるよ、明らかに。友達になりたいんだったら、女の子だから。だよなぁ。
「あー、まぁ蒼姉ちゃんには僕からちゃんと言っておくからさ。じゃあね。」
僕は桑田さんを置いて家に帰る。家のリビングではやはり先に家についた蒼姉ちゃんがリビングのファーで
はぁ~とため息をつきながら
「やっぱり僕は男の子みたいなのかなぁ・・・はぁ・・・・」
とブツブツもらしていた。その明らかなネガティブな空気に他の姉ちゃん達はリビングに近寄れず廊下で
話し合いをしてた。
「あらぁ、JUM。聞いて頂戴よぉ~。蒼星石が・・・」
「ああ・・・分かってるから。とりあえず僕の部屋に行こう。」
僕は姉ちゃん達を部屋に連れて行く。ちなみに、薔薇姉ちゃんはリビングの異変に気づかないで、
買って来たMGのサザビーを超ご機嫌に組み立ててるらしい。
「それで、どう言う事ですか?まさか、JUM。貴方蒼星石に何かエッチな事したですか!?」
激しく濡れ衣です。てか、僕は何もしてません。
「あらぁ、エッチな事したいなら銀姉ちゃんがいつでも相手してあげるのにぃ。」
銀姉ちゃんもこれ以上話を広げないで下さい。僕はとりあえず事情を説明する。
「えーっと・・・とりあえず蒼星石の勘違いかしら?」
「まぁ、そう言う事だね。もっとも、僕のクラスの子も明らかに言葉足らずだったと思うけどね。」
「でも、困りましたわね。さすがに今日の凹み具合を見ると・・・晩御飯が!!」
キラ姉ちゃんにとっては明らかに死活問題のようだ。
「そうね。今日は蒼星石の番だから買い置きもないし・・・」
真紅姉ちゃんも明らかに困ってる感じだ。
「紅茶もないのよ!」
ああ、結局紅茶ですか・・・・
「JUM~、雛もおなかすいたよぉ~。」
明らかに僕に説得に行けと姉ちゃん達の視線が訴えてくる。仕方なく僕は蒼姉ちゃんの元へ向かった。


リビングでは、相変わらず蒼姉ちゃんは凹んでいた。
「あー・・・蒼姉ちゃん?」
蒼姉ちゃんはゆっくり振り向く。明らかに落ち込んでる顔だ。さすがに同性に告白された(と、蒼姉ちゃんは
思ってる)のはショックだったんだろう。
「あのね、蒼姉ちゃん。あれはね、あの子の言葉足らずでー・・・」
僕は蒼姉ちゃんに説明する。しかし、理解はしてくれたようだが顔は相変わらず浮かない。
「JUM君・・・僕ってやっぱ女の子らしくないかなぁ?ほら、髪も短いし・・・顔も男の子っぽいかも・・・」
鏡を見てつぶやく。同じ顔の翠姉ちゃんはどうなるんだろう。
「そ、そんな事ないって!蒼姉ちゃんは普通に女の子だって!」
「うん・・・でもさ、それはやっぱり姉弟だからじゃないかなぁ・・・他人だったらきっとJUM君も。」
「違うって。蒼姉ちゃんは可愛いよ!」
僕は思わず蒼姉ちゃんの肩をガシッと掴む。僕は知ってる。蒼姉ちゃんは男子からは実は隠れファンが
相当に多い事を。蒼姉ちゃんはビックリしたように目をパチクリさせる。
「JUM・・・・君・・・・えへへ・・・ありがとう・・・優しいね、JUM君は・・・」
そう言って、蒼姉ちゃんは僕の首に腕を回して抱きついてきた。今度は僕がビックリする。蒼姉ちゃんの
匂いが僕の鼻をくすぐる。女性らしい柔らかい体が僕を包む。
「たまには・・・僕もJUM君に甘えてイイヨネ・・・・だって、僕は女の子だから・・・」
そう言って、蒼姉ちゃんは僕の顔のまん前でニッコリ笑った。また僕はドキッとしてしまう。
「さ、みんなに迷惑かけちゃったね。JUM君、お買い物いこっか!」
蒼姉ちゃんは僕から離れると、気持ちを入れ替えて僕に言う。そして、玄関に向かっていく。
「みんなー!今からすぐ買い物行くから待っててねー!」
多分僕の部屋にいるだろう姉妹に声をかけて、蒼姉ちゃんと僕は買い物へ行く。
「えへへ・・・JUM君。手・・・繋いで行こう?」
蒼姉ちゃんが僕の手を握る。この年にして結構恥ずかしい。でも・・・まぁいいか。温かいから。
END

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