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小さな町の
小さな病院の
小さな病室で
小さな小窓から
小さな景色を観ている女の子がいました。

銀:こんにちは、メグ
長くて銀色の髪の女の子がとびらをあけて入ってきました

メグ:うん
だけど呼ばれた女の子はからだを動かさないで返事をするだけです

銀:きょうはね、学校の給食でヤクルトが出たんだよ
銀の髪の女の子は話しはじめます
けど、メグと呼ばれる女の子はあんまりおもしろくなさそうです
メグは外のことを楽しそうに話す女の子がうらやましかったんです

銀:メグはきょう何を食べたの?
銀の髪の女の子は決まってお話を始めると途中でメグにお話をふります

メグ:野菜を煮込んだものとご飯、味はしなかったわ
メグはそっけなく言います

銀:そっか、あのね給食ってとっても美味しいんだよ元気になったら一緒に食べようね
銀の髪を揺らしながら少し声を大きくして言います
メグは心臓に重い病気をもっていて病院の中から出たことがありません
だから、給食を食べたことがなかったのです

めぐ:別に食べたくないよ、水銀燈と違って私は食いしん坊じゃないから
水銀燈と呼ばれた女の子は少し目を曇らせましたけどニコっと微笑むと
ランドセルの中から丁寧に袋に包まれたパンをとりだしました
はい、どうぞ と言いながらメグに渡しました

銀:このパンね私の大好物なんだ、だからメグにも食べてほしかったの
パンはこんがり小麦色に焼けていてクルクルと巻かれていました
まるでメグの三つ編みみたいだね
というとメグは少し頬を膨らませます
メグは左右の髪に小さな三つ編みをしていて水銀燈はそれがメグにすごく似合っている
からその三つ編みが好きでした

メグ:砂糖ばっかりでからだに悪そう
パンには白い砂糖がふんだんにかかっていました
病院で食事をしているメグは甘いものをほとんど食べたことがないからほんとうはすごく
嬉しかったのです

銀:そんなことないよ、まるで雪が降ったみたいで綺麗でしょ
とっても美味しいんだよと、水銀燈が言おうとしたよりも早くメグは言いました

メグ:雪はただ白いだけで全然綺麗じゃないよ、窓の外の景色が白くて見えなく
なっちゃうだけだもん
メグにとって雪は部屋の中が寒くなって周りの景色が消えてしまうだけのものでしかないのです

銀:そうだよね…でもねそのパンは美味しいんだよ
さっき言いそびれたことを言って話を換えます
水銀燈はほんとうは大好きな雪についてもっとお話したかったんだけど
それはメグがお外で遊べるようになるまでの我慢にしました
水銀燈が食べてみて、と言うとグ~とお腹がなりました

銀:あ、…えへへちょっとお腹空いちゃったかな
持ってきたパンはほんとうに美味しくて
いつも学校で余らないのです、だから水銀燈は自分の食べる分を我慢してメグに持ってきたのでした

メグ:わざわざからだに悪いものを我慢して持ってきたのね
水銀燈は違うよと否定します
そんなことはメグも分かっています
自分に美味しいパンを食べさせたいという水銀燈の気持は分かってるんだけど
メグは皮肉を言ってしまいます
ほんとうはこんなことを言いたくはなかったのに
自分の言いたいことがなかなか言えません

メグ:じゃあ半分こね、私が全部食べたらからだに悪いから水銀燈が残りを食べて
そういうと水銀燈は目を輝かせて笑って“ありがとう”と言いました
チクンとメグは胸が痛みます
病気だからじゃありません
ほんとうは自分が言いたかったことなのに、お礼を言うのはこっちなのに、
なんだか悲しくなってきました

銀:いただきまーす
もぐもぐと食べている水銀燈を見ながらメグもパンを口に運びます
いままで食べたことがないような口いっぱいに広がる甘い幸せを感じながら
ほんの少しだけ半分こしたのをもったいなかったと思いました
でもこんなに美味しいものを水銀燈と一緒に食べることができて
めぐは幸せでした
誰かと食事をすることがないメグは誰かと一緒に食事をするのが嬉しかったのです

銀:ごちそおさま、ねえメグ美味しかったね
満面の笑みで感想を口にする水銀燈を見てメグはこころの中で“ありがとう”をして

メグ:甘すぎ
とだけ言うのでした
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