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第四話 「歓喜の第2世界」


扉を開いて戻ると其処には
最初にいた所のように周りは紫っぽい空気で覆われた空間だった。

「・・・此処からどうするの?」
「此処からはあなたの心なのですから何でも出来るでしょう。
 念じるだけなのでやってみてください。
 ちなみに此処は“歓喜の第2世界“なので自分が
嬉しかった思い出が発現しやすいはずです。」
「歓喜って・・・他にもなんかあるの?」
「ええ、第2世界から第5世界は大きく分けた四つの人の感情の
 心の世界なのですよ。」
「ふぅん・・・。」
「では何か“思い出“をイメージしてください。」

うーん・・・楽しい思い出か・・・。
楽しかった思い出と言えば・・・。

「ムーディーブルース!」
「な、何でしょうか?」
「いや掛け声だよ。」
「そ、そうですか。」

薔薇水晶が掛け声を出すとそこに何か
人型の物体が現れる。

「・・・これは何でしょうか?」

ラプラスが不思議そうに人型の物体を杖で指す。

「思い出・・・過去を辿るものをイメージしてたら出た・・。」
「そ、そうなのですか。」

気付くと人型の物体に付いてるメモリが
過去の日にちと時間を表示していた。
そして周りの背景が変わっていく。

「成功したのですね。」
「うん・・。流石ムーディーブルース。」

周りの背景は気付くと自分の家の中になっている。
時間は15年前、薔薇水晶が7歳の時のようだ。
じっと見ていると向こうから誰か走ってくる。
それは薔薇水晶・・いや雪華綺晶 が走ってきた。

「きらきーちゃんだ・・・。」

雪華綺晶はそのまま走っていくと
テーブルの上に座った。
そして何か待っているようだ。

「きらきー、君の誕生日じゃないんだから落ち着きなさい。」

お父さんだ。若い頃のお父さんだ・・・。
今もそうだが顔が若い。

「お若い人ですね。」
「今もあんな感じだよ・・・もしかして波紋・・?」
「へ?」
「ううん、なんでもない。」

「だってばらしーちゃんの誕生日でも楽しみには変わり無いですわ。お父様。」
「ふふ・・まぁいいんだけどね。」

幼い時から変わってないんだな。
そう思うと笑いそうになる。 
よく見るとお父さんの足にしがみついてる子がいる。
と言うより自分だ。

「ほらばらしー、君が主役なんだから早く座りなさい。」

そう言われた小さい薔薇水晶は頷くと歩いて椅子の方に向かって行き座った。
やっぱり自分は無口なんだな。
また笑いそうになる。
暫く見ているとお父さんが冷蔵庫からケーキをとってくる。
器用に歳の数の6本・・プラス1本のローソクを刺していく。
ロウソクに火を点け終えると部屋の電気を全て消す。
雪華綺晶に囁くと二人は歌を歌いだす。

「HAPPY BIRTHDAY TO YOU♪HAPPY BIRTHDAY DEAR BARASHI-♪
 HAPPY BIRTHDAY TO YOU♪」

歌が終わると同時に小さな薔薇水晶がろうそくの火を
息で吹いて消そうとする。
しかし中々消えなく四度吹いた所でやっと消えた。

「ばらしーちゃんおめでとうー!」

雪華綺晶が抱きついてくる。
薔薇水晶は黙ったままだけど顔を赤らめている。

「きらきー、抱きついてたらケーキを食べれないだろ?」

そう言われてやっと体を離す。
小さな薔薇水晶はまだ顔を赤らめている。

「さて、ケーキを食べようか二人とも。」

お父さんが皿に四等分したケーキを一つずつ皿に置きながら
そう言うと二人は急いで皿をとり食べ始める。

「そんなに急がなくてもケーキは逃げないよ、二人とも。」
「それでも早いほうがいいのですわ。」
「うん・・・。」

二人は二分もするとケーキを食べきってしまう。
お父さんはまだ食べている最中だ。

「ふふ・・・早いな。」
「お父様が遅すぎるのですわ。」
「まぁいいじゃないか、それより母さんにケーキを持って行ってやりなさい。」
「わかったのですわ。ばらしーちゃん、持って行きましょう。」
「御免・・・きらきーちゃん一人で持って行って・・。」
「けどそれじゃお母さんは寂しいですわ。」
「いいの・・お願い・・。」
「・・・わかりましたわ。」

そう言うと雪華綺晶は家の二階へとケーキを持って走っていく。
そして廊下の奥のドアを開ける。
4畳くらいの部屋には誰も居ない。
しかしそこには仏壇が一つポツンと置かれていた。
お母さんは私がもっと小さな頃に死んだ。
その事を思い出すと今でも泣きそうになってしまう。

「お母様、ばらしーちゃんもついに私と同じ7歳になりましたわ。
 と言っても私の誕生日は昨日だったのですが。」

そう言えばきらきーちゃんとは双子だけど
出産時刻がお互い12時を境に一分ほど別れていたので
誕生日は別々だった。

「お母様、あの時の事を・・・責めないでやって下さいね。」

そう言うと雪華綺晶は一階へと降りていった。

「さて、子供はもう寝なさーい。」
「まだ早いのですわお父様、お父様は起きているのに。」
「ずるいよ・・・。」
「お父さんはし・ご・と。
 違う家のお姉さんが妹の七五三の服を作ってと言ってるんだよ。
 十万出してもいいから早くして!と言ってるぐらい
 せかされてるんだ。早く服を作らなきゃ。」
「私達のは・・・?」
「ばらしーにきらきーのはもう完成してるよ。
 だから寝なさい。」
「う~・・・。」

しぶしぶ二人は寝室へと向かって行くと
布団に入る、ただし一つの布団だが。

「おやすみですわ、ばらしーちゃん。」
「おやすみ・・・。」

寝つきが良いのか子供だからなのか二人はもう寝入ってしまった。

「・・・THE WORLD。」

そう言うと思い出の映像は止まる。

「微笑ましいですね。」

ホントに微笑ましい、いい思い出だ。
かけがえの無い大切な思い出・・・。

「では早速次の世界へと参りましょう。」

ラプラスは此処に来た時と同じ様に杖を振る。
そして薔薇水晶の体から光が出て、やがて扉にとなっていく。

「次は憤怒の第3世界でございます・・・。」

何かあまりいい物は見られない気もするがまぁいいや。
私はいつものようにラプラスの後をついて行く。
私が怒った時の思い出だよね・・。
どんなのだろう?
私は不安になりつつも少し楽しみにして
次の世界へと向かって行った。


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