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第三話 「現の第1世界」


ラプラスの後をついて行くと
宙に浮いている扉が一つ現れた。
ラプラスはそれを開けてどんどん進んでいく。
私もその扉の向こう側へと急ぎついて行く。
そしてドアの向こうには青空が広がっていた。

「空・・・?」

ふと見下ろすと下には自分の住んでいる町が見える。
つまりは自分は上空に居るというわけだ。

「此処は一体・・?私の住んでた町・・。」

いつもの様にラプラスに尋ねる。
ラプラスは一息置いて何時ものように語りだした。

「夢とは現、現とは夢、
 夢は現の思いが見せる幻
 現とは夢の思いが成す世界。
 どちらも同じようなものです。
 まぁつまりはここは現実世界ですね。」

長い説明が終わるとラプラスは下へ下へと降りていく。
私はそれにはついて行かず
自分の居る病院へと向かった。
恐らく其処にはお姉ちゃんが居るから。

暫く浮遊していると病院が見えてくる。
しかしこれってまるきり幽霊みたいだな・・・。
そんな事を考えつつ病院に入り口から入る。
そして受付に行き看護婦に聞く。

「すみません・・・。私の病室は何処ですか?」

返事が無い、というより聞こえても見えてもいないみたいだ。
そりゃ幽霊同然の事になってるからそうだろう。
しかし部屋を一つ一つしらみつぶしに探すのは・・・。
そんな事を考えていると受付で誰かが看護婦に質問していた。

「すいません、薔薇水晶さんの病室は何処でしょうか?」

自分の名前が呼ばれぱっと見てみる。
其処には笹塚、それに柏葉さんがいた。
いや正確には柏葉さんでは無いのだが・・。

「薔薇水晶さんの病室は2047号室となります。」
「どうも、じゃあ行こう。」
「うん。」

二人は看護婦に言われた部屋へと向かう。


私も二人について行く。
エレベーターに乗り二階に行って暫く歩くと
2040番台の部屋が見えてくる。
その中から47号室を探し見つけて
私の名が書いてある札を確認すると二人はノックする。
暫くすると中からお姉ちゃんの声がし
二人は扉を開き中に入って行った。

「こんにちわ雪華綺晶さん。」
「久しぶり、雪華綺晶 。」
「ええ・・。久しぶりですわ、笹塚ご夫妻。」

お姉ちゃんは笹塚と柏葉・・・いや巴さんに向かって言う。

「薔薇水晶・・・大変だね。」
「ええ・・・けど死んではいませんわ。私はずっと待ちますわ。」
「うん・・・きっと目を覚ましますよ。」

こうやって目を覚ませなくて暇なんだけどな・・・。
きらきーちゃん御免ね、心配ばっかかけて・・・。
いっその事あの時死んでしまえば・・。

「毎日毎日あなた方が交代で来てくれて本当に嬉しいです。
 感謝しますわ、ばらしーちゃんも喜んでいるでしょう。」

え?毎日?今初めて知ったのだけど・・・。

「とんでもない、友達がこんな状態なんだからみんな駆けつけずにはいられないさ。」
「うん、みんな心配してるもの、水銀燈や真紅らもね。」

毎日笹塚らの他に銀ちゃんや真紅達も来ているんだ・・・。
有難うみんな・・・。

「しかしもう一週間ですのね、早いですわ・・・。」

え?一週間?

「そうだね・・・ずっと寝ているんだね。」
「でもきっと目を覚ましますよ。」

もう一週間経ってたの?私そんだけの間ずっと寝てたんだ・・。

「ええ、きっとじゃなく必ず覚ましますわ。」

時間の問題らしいんだけどね・・。
その後は笹塚が花を置いてくれたりなんやらしてくれて
やがて帰っていき私ときらきーちゃん(気付いてないだろうが)
の二人きりとなった。

「・・・ばらしーちゃんはあの人らのようにはならないで下さいね。」

あの人ら・・・。
恐らくきらきーちゃんはジュン、そして蒼星石に翠星石の事を言ってるのだろう。

「あなたは死んだりなんかしませんよね、あなたは強いものの。」

・・・そんな事ない、私は弱い・・・。

「もう・・・歌も聞こえないですね。」

「・・・歌?」

その後もきらきーちゃんの言う事を聞いていたが
歌の事はわからなかった。
まぁいいか、私はそう思い窓から外へと出て行った。
そうだ、少し商店街の方でも行こう。
どうせ暇だしこんな幽霊みたいな状態で行く経験なんて
そうそう出来ないしね・・。
私はそう思い地面へと降りていった。
此処は・・・そうだ、あの店の前だ。
私は気付いてその店を見てみる。
ローゼンメイデン、私が半分死んだ今でも
と言っても一週間しか経ってないらしいが
これと言って変わりは無いようだ。
私は店の中へと入ろうとする。
幽霊みたいなもんだから多分すり抜けて行くだろな。
私が扉に手をかけるとお約束どおりドアには触れない。
ってな訳でドアをそのまま直進する。
ぶつかる瞬間にすり抜けるとわかってても
やはり怖いので目を瞑る。
目を開けたその時、目の前にはいつもの喫茶の光景が
広がっていた。

5年近く前から此処でバイオリンを弾いてる金糸雀
そして料理と紅茶を運ぶ雛苺
紅茶を黙々と煎れる真紅
酒の注文があまり無いのですっかり
料理を作る以外何もしていない白崎さん。
皆が居た。

「皆・・・久しぶり。」

やはりさっきと同じ様に聞こえない。
もしかしたら誰か霊能力かスタンドか何か持っていて
私の声が聞こえるんじゃないかと期待したんだけどな・・・。
真紅らはその後もいつも通り働いている。
暫くすると店のドアが開く。

「やぁようこそローゼンメイデンへ・・・って水銀燈さんですか。」
「その台詞に改変は無いのねぇ。」

銀ちゃんはそう言うと真紅の目の前のカウンター席に座る。

「サービスの紅茶にテキーラちょうだぁい。」

酒の注文が来たので白崎さんは真紅の後ろで酒を入れ始め
真紅は紅茶を煎れ始める。

注文の酒と紅茶が来ると銀ちゃんはどちらも一気飲みし始める。
・・・酒もそうだけど危ないよ。
と言うより90℃近くの紅茶なんてどうやったら一気飲み出来るんだ?
そんな疑問を浮かべていると銀ちゃんが喋りだす。

「今日は・・・誰が行ってるのぉ?」
“今日は確か・・・笹塚らが行ってるのだわ。」
「あのバカップルらねぇ、雪華綺晶 会うの久しぶりでしょうねぇ。」
“そうね・・・こんな形で久しぶりに会うことになるとはね・・。“

水銀燈が喋ると声が出ない真紅はいつものように
メモに言葉を書いて必死に返事をする。

「もうお見舞いなんて行きたくないわぁ。だって哀しいものぉ。
 次行くまでには治ってるように祈るわぁ。」
“そうね・・・早く治るよう祈っときましょう。“

銀ちゃん・・・真紅・・。
心配かけて・・・こんな子で御免ね・・。

パンパン!

薔薇水晶がそんな事を考えてると後ろで音がする。
其処にはラプラスが居た。
他の誰も気付いてはいないようだ。

「心配してくれてるとは嬉しいものですね。
 しかし彼女らの言葉ばっか聞いてる場合ではありませんよ。
 時間が無いんですから。」

手を叩き終えたラプラスが話す。
しかし時間が無い・・・?
暇つぶしに来た筈だが・・・。

「時間が無いって・・?」
「あなたの目が覚める時期が迫ってます。
 だからその前に色々行ってもらおうと・・。」
「行きたくないって言ったら・・?」
「・・・え?」
「目が覚めるまで此処に居たいって言ったら・・・?」
「うう・・・。」
「冗談よ・・・ラプラス、じゃあ早く行きましょう。」

私がちょっと意地悪してそう言うとラプラスは元気を取り戻す。
兎は寂しがり屋と聞いたがほんとにそうなんだな。

「さて次は・・・思想の集う第0、1世界とはまた別の場所に行きましょうか?」
「思想の集う場所とは別の・・?」
「ええ、強いて言えばあなたの心の中の思いを探検しようという訳です。
 あなた自身があなた自身を見つけていく、どうですか?」

うん、悪くないね・・。

「うん・・じゃあ行こうか・・。」
「畏まりました、ではまた空へ行きましょう。」

ラプラスはそう言うと喫茶の外へと出て行く。
私もそれについていく。
みんなばいばい、またね。
私は喫茶の中のみんなに手を振ると外へと出る。
しかし今思ったが自分と同じ様な人がいっぱい居るな・・。
此処に来るまでにも(特に病院で)見かけていたが
居る事に気付かなかったよ・・・。
きらきーちゃんに会うのに必死だったからかな?
ラプラスの後を追いながらそんな事を考える。
考えてる内にラプラスが上空で停止する。
そしていつもの様に空間に穴を開ける・・・と思ったら
指をパチン!と鳴らし始める。
すると私の体から光の球みたいなものが出て
光が扉の形を作っていく。
一分もすると光は消えたが其処にドアが出現していた。

「今度はあなたの世界なので“兎の穴“からは行けないのですよ。
 さて・・・それでは参りますか。」

ラプラスが扉を開けるのでそれについて行く。
さて・・・私の世界ってどんなのだろうかな?

「では・・・あなたの記憶、“思い出“を辿りましょうか。
 まずは歓喜の第2世界へ・・・。」

思い出か・・・。見て回るのは悪くないね。
私は期待を膨らませながらついて行った。

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