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~文化祭§緊張~

 本番30分前。
 皆は最後の最後まで各自、準備に取り掛かっていた。
 衣裳の着付けや髪結い、メイクは役者以外がやる。
「みっちゃん!真紅ちゃんの髪はどうする?」
「ツーテールのまま上げてちょうだい!」
「蒼星石ちゃん、意外に胸があります!」
「包帯あるでしょ!さらしを巻きなさい!」
「きらきぃのアクセ、どうやって付けるの!?」
「右目に通るようになってるから考えて!」
 大声が飛び交う中、役者はボロボロになった台本チェックをしていた。
 強弱、緩急、感情の入れ方、たち振る舞い。
 勿論、全て頭に入ってはいる。
 けれど何かしなければすまなかったのだ。

「照明・音響、タイミングは大丈夫!?」
「昨日みっちり練習したわ。大丈夫」
 巴の声にめぐは自信満々にうなずいた。
「衣裳・大小道具、不備はない!?」
「手直しはしたし、翠星石の仕掛けもばっちり」
 みっちゃんは余裕の笑みを浮かべた。

「ねぇ、蒼星石ぃ。のりから伝言よぉ。――――――。」
「えぇっ!?それ、翠星石には…」
「もう伝えたわぁ。了解ももらってるしぃ。嫌ならいいのよぉ?」
「…………分かった。やるよ」
「頑張ってねぇ」
 水銀燈がニヤ、と微笑む。

「1組!袖に入って」
 係の先生から声がかかる。
 1組の前の演劇が終了し、観客から拍手が起こる。
 途端に緊張はピークになる。
 ――落ち着くです。大丈夫です。
 そう、翠星石は自分に言い聞かせても体はカタカタと震えている。

「大丈夫だよ」
 きゅ、と右手を握られた――蒼星石だった。
「大丈夫」
 小声で繰り返す妹がこんなに頼もしく見えたことはなかった。


「1組、準備してくださーい」
 その声で大道具係りは一斉に動きだした。
 最初から舞台にいる真紅、水銀燈も続いて舞台にあがる。
「二人とも、頑張るのー!」
「えぇ、行ってくるわ」
「ア・ナ・タ・も。台詞とちるんじゃないわよぉ」
 と言って水銀燈は雛苺のデコを突いた。
「うー…分かってるもん!」
 そして、二人は舞台へ上がった。
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