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第四話 「薔薇の棘にはご用心、薔薇の色にもご用心」


-ローゼンメイデン、夏の刻

真紅達が働いてもう暫く経つ。
真紅が家から花ばっかを持ってくるせいで
ローゼンメイデンは花だらけとなっている。
華やかさは乙女に店員は男に人気があるようか
最近ずっと人気が出てきている。
いつしか語り手の店員の名に白崎だけか
真紅の名も入っていた。
メモと花だけで会話するのは客にとって珍しい事もあるし
元々真紅は色々と知識を持ってるので会話するのには良いだろう。
それは声を失った今でも“言葉“は失われず変わらない。
そして昼時、三人はいつも通りここで働いていた。
白崎は料理を作り、真紅は紅茶を煎れ、雛苺が運び、金糸雀が演奏
いつもの光景だ。そしていつも通り客が来て真紅に話しかける客の姿もあった。

笹「やぁ、元気かい?」

彼は笹塚、水銀燈の結婚式の際に協力してくれた者の一人である。
ベジータやばらきー姉妹などと同じ様に此処にはよく来るのだ。

“勿論元気なのだわ、自分の体を管理できない程愚かでは無いわ“
笹「相変わらずだ事。」

こんな感じでいつも通りの会話を広げるのだが今回に限っては
いつもと少し雰囲気が違うようだ。

笹「真紅・・・相談があるんだけど・・。」
“何かしら?あなたがそんな事を言うなんて珍しいわ“
「まぁそれもそうだろうな。」

笹塚は紅茶を飲みつつ言う。
店員であるはずの真紅も何故かカウンターの内側で飲みながら聞く。

「実はな好きな人がいるんだ・・。」

まさかこういう質問が来るとは、予想外であった。

「告白した方が良いのだろうけど勇気が出なくて・・・。」

こんだけ内気な性格ならそうだろう、何も言えずにおどどしてるタイプだ。
気持ちじゃ思ってても行動に移せないという奴だ。

「怖くて・・・何か良い方法は無いかな?真紅。」

私は紅茶を少しすすってメモに書き始める。

“本当に好きなの?その子が。“
「あ、当たり前だろ。」
“なら何故勇気が出ないの?“
「そ、それは・・・。」
“不安だから?断られそうで。“
「まぁそういう事だけど・・・。」
“けどその不安という気持ちがかなり強い気がするわ。“
「そりゃ相手は・・・。」
“相手は?“
「相手は柏葉さんだよ・・。彼女モテてるし自分なんかと付き合わないよ・・。」
“愚かね“ 

真紅は紅茶をすすりながらそうメモを見せる。

「な・・!」
“本当に好きならそれを叶えたいとは思わないの?
 相手に気持ちを伝えれなければ好きも嫌いも同じ事。“
「・・・。」

真紅は続けて言う、やけに彼女の“言葉“が重い。

“伝えなさい、あなたの気持ちを。あなたの愛は柏葉さんへの思い、
 なら柏葉さんに伝えなければ意味が無いわ。“

笹塚は最早何も言え返せないでいる、紅茶に手もつけず
黙って話を聞いていた。

“愛とは幸せを願う気持ち、だけどそれは時に傷を付ける。
 あなたは傷付いているわ、思いが伝わらないから。
 これだけは言っとくわ、あなたの気持ちが本当ならば
 好きな人に気持ちを伝えるってのが何よりも“幸せ“なのよ。
 今のままじゃ苦しいだけだわ。“
笹塚は黙って紅茶を飲み干すと言った。

「それもそうだね・・・ずっと辛いと思ってたけどやっぱり
 そうするしか無いんだね。」

笹塚は立ち上がると真紅に言う。

「すまなかったね、この気持ちが朽ちて“思い出“になる前に
 彼女に伝えてくるよ・・。」

真紅は微笑むとメモに一言書いて見せる。

“頑張るのだわ。“

笹塚は店を出ようとする・・が、踏みとどまって真紅に喋りかける。

「真紅、あの花はなんて名前なんだい?」

笹塚は金糸雀の立ってる舞台に置かれている
黄色の福寿草を指さす。

“福寿草・・・“幸せ“を呼ぶ草よ。
 笹塚、幸運を・・・GOOD LUCK“

笹塚は微笑むと黙って店を出て行った。
私は静かに祈った。
彼の“麗“しい愛が伝わる様・・。
暫くすると雛苺がやってくる。
今日は用事があるか何かで珍しく私達と別の時間のシフトなのだ。

「うゆー!」

最早日本語では無いが彼女の挨拶の気持ちはわかる。
すると彼女が口を開いた。

「今日は巴と会ってたのー!剣道の試合を見に行ってたのー!」

彼女が剣道などの試合を見るとは正直意外だ。
そういえば巴って・・・。

“巴って柏葉さん?“
「そうなのー!巴は凄いのー!」

仲が良いのだろう、そして友として尊敬もしてるようだ。
しかし笹塚の言ってた子とは・・・。
そして雛苺が少し暗い顔をしてまた話し出す。
「巴は最近悩んでるの・・・嫌がらせが多いって。」
“嫌がらせ?“
「巴が凄いからってひどいのー!嫉妬してそんな事するなんて最低なのー!」
“確かにね、そんな事するなんて愚図しかいないのだわ“
「うゆー!いい加減やめて欲しいのー!」

嫉妬とは本当に無様に思う。
仮に自分の好きな人が他の人と付き合いだしたりしても
その人達の“幸せ“を祈るのが一番だと私は思う。
そしてそれが一番の“幸せ“だと思う。

「うゆー!そういえば話は変わるけど笹塚が花を買ってたのー!」

あの子、花を添えて気持ちを伝える気なのかしら。
花言葉を使うのは私のキャラなのに。
まぁどうあれ気持ちを伝えるようだから良かった。

「黄色い黄色い金糸雀みたいな玉子焼きみたいな色の薔薇だったのー!」
「黄色は私の専売特許かしらー!笹塚めーかしらー!」

黙って弾いてた金糸雀そんな事を言う。
それは置いといて今なんと・・?

“黄色の薔薇ですって?“
「うゆー!そうなのー!綺麗だったのー!」

私は考える。そういえば彼は出て行く時に福寿草について聞いてたわ・・。
多分綺麗だから聞いただけなのでしょうけどたまたま私から聞いて知った花言葉は

“幸運を呼ぶ“

彼は多分それで縁起が良いかもと思って黄色の薔薇を買ったのね、でも・・!

“笹塚はどこに行ったの?“
「公園の方に行ったのー!」
“ありがと、少し出掛けるわ。“

私は二人にそう伝えると急いで店を出た。
もし柏葉さんが花の意味を知ってたら、
ただでさえ嫌がらせを受けてる彼女が薔薇の意味を知ってたら
笹塚は誤解を受けるだろう。
柏葉さんに会うまでに笹塚を止めないと!
私は公園に向かう。
しかし時はすでに遅し、公園で二人は会っていた。
声が出ない、私の“言葉“は届かない。


薔薇は棘に注意をしないといけない。
そして色にも・・・。
赤い薔薇は“情熱の恋“
黄色い薔薇は“嫉妬“の意を持つ。
私は公園に向かって走る。
もしあの子が黄色の薔薇の意味を知ってたら
笹塚の事を誤解してしまうかもしれない。
そんな事を思ってると笹塚は紙で包んだ花を渡すと走って逃げ帰ってしまった。
あの子、花だけ渡して帰るなんて。
私は柏葉さんに近づく。
柏葉さんは紙を開けようとする。
と、その時

バシャーン!!!!

突如赤いペンキが花を包んだ紙に
いや、柏葉さんにかかった。
私は思わず呆気にとられる。
・・・薔薇は赤くなったからこれで誤解はされないでしょうけど
しかし一体誰が?
私は周りを見回す、すると柏葉さんの後ろから
逃げる影が見える。
私は急いでそれを追う。
暫くするとそいつは私に気付かず走るのをやめて歩き出す。
私はその隙にそいつを捕まえる。
そいつは驚いて私の方を見る。
そこには桑田由奈がいた。
“あなただったのね?“
「離して!」
しかし真紅は離さない。まさか嫌がらせの犯人に会うとは。
片手でメモを書く。
 
“嫉妬して・・・人が苦しむのを見て楽しむ残酷な女王様ね。
 アリスみたいな子には遠いのだわ。
 人の幸せを祈る事が出来ないの?“
「何を言ってるの?自分の幸せは奪い取るものよ。
 だから他人の幸せが終わるのを見るのが楽しいのよ。」

由奈は笑いながら言う、悪気は無い、これが普通だと言わんばかりに。
真紅は一息つくと再びメモに書き始める。

“しかし薔薇の色を染めたりして・・・ほんと残虐な女王様みたいね。
 ほんと哀れね・・・。“

真紅は鞄から袋を取り出す。

“ほんと哀れ、アリスみたいな子にもなれない“麗“しくもないあなたは目障り。“

真紅は袋の中にある種を由奈の口の中に詰め込む。

“せめて償いなさい。“
「な、なんなのこれ!?」

由奈が種を吐きながら聞く。
“トリカブト・・・有毒植物の種よ。“
「な、なにやってんの!?あんたばかぁ!?」
“あなたには言われたくないわ、それよりいいの?
 胃から取り出してもらわないと毒が回るだわ。“
「き、きちがい女!」

由奈はそれだけ言うと逃げていった。
背中にメモを貼り付けておく。

“あなたみたいに“麗“わしくない人はもう目の前に現れないで。
 そしてトリカブトの花言葉は“復讐“よ。“

メモ見るかしら・・?そんな事を考えながら私は公園へ戻っていく。
柏葉さん大丈夫かしら?
そう思って公園に来てみるもののもう居なかった。
帰ったのね・・。
私は空を見上げながら思う。
黄色い薔薇が渡るよりはマシだったのかしら?
まぁ・・・あとは“幸せ“を祈るだけね。
真紅は帰り路に着く。
それと・・・トリカブトなんて危ない花の種なわけがないわ。
あれは季節にあった向日葵の種よ。
私は暫く歩くとローゼンメイデンへと着く。
・・・私は、私は金糸雀みたいに“幸せ“を祈って“麗“しくなりたいわ。
私はギュッと拳を握った後いつものように扉を開く。

“ただいまなのだわ。“
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