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【赤い糸~魔法の指~】
第4話


――――
……どれだけ泣いていたのだろうか。途中でお母様が何度も呼びかけてきたが私はすべてを拒絶した。
少しお腹がすいているが構わない。
何もしたくない、食べるのも、話すのも、起きるのも、シャワーを浴びるのも、考えるのも何もかもどうでもいい。
今はただ寝むろう…。これ以上悲しまないように、泣かないように………


――――――――――――――――――――

真『ジュン紅茶をいれてちょうだい』

ジ『いきなりなんだよ…』

真『聞こえなかったの?私は紅茶をいれてといったのよ』

ジ『いやだよ、僕紅茶なんていれたことないもん。自分でやればいいじゃないか』

真『いいから、いれてきなさい!道具は勝手に使っていいから』

……


ジ『いれてきたぞ。ほら、これでいいんだろ』

真『…まずいわ。ぬるいし、味も薄い、香りもないわね…』

ジ『な…――――』

真『…でも、とてもやさしい味だわ。そうね、次にいれる時はもっと上手くなっているのよ。
  楽しみにしているわジュン』

ジ『ッッ、わかったよ。次はもっともっと美味しい紅茶いれてやるから覚悟してろよ(///////)』

真『ええ』

結局その後は、子どもが火を使うなと2人して怒られてしまった。

――――――――――――――――――――


真「う…うぅ…ん。夢…だったの…」
また彼のことだ。眠っていても夢に見てしまうだなんて…

外が明るい、いつの間にか朝になっていたようだ。


(コンコン)控えめに扉がノックされた
母「真紅ちゃん?もう起きてる?もう学校に行く時間になったんだけど…」
お母様だ、少し声が震えているようだ。心配させてしまったようだ…私は悪い娘である。でも…
真「ごめんなさいお母様。でも、今日は…休ませてください」
母「わかったわ真紅ちゃん。ご飯はどうする?下に用意してあるけど…」
真「ごめんなさい…」
母「そう…下に残しておくからいつ食べてもいいからね」
真「…はい」

しばらくして、玄関の開く音がした。お母様が仕事に出かけたのだろう。
お母様にも仕事があるのに私は心配をかけてしまった。
とても心苦しいが今は学校に行きたくない、ジュンの顔を見たくない…見た瞬間きっと泣き出してしまうから。
明日だ、1日…後1日たてばきっと元の私に戻れるから。
思い出したら、また苦しくなってきた。ほかの事を考えよう。

真「それにしても学校を休むのも久しぶりなのだわ」
ここ数年体調も崩したこともないし、小学生の時以来だろう。
体調も崩していないのに休んだのはジュンが引っ越した時いらいだろう。
駄目だ…どうしても彼のことを考えてしまう。
やっぱり眠ってしまおう。

―――――――
(ピンポーン)
真「…ぅん…ん。チャイム?」
誰か来たようだわ。時計を見る時間は一時少し前、学校に行っていれば今頃は昼休みになっていただろう。
(ピンポーン)
また鳴った。申し訳ないが、誰が来たのかは知らないけれど居留守を使わせてもらおう。
(ピンポン!ピンポン!ピンポン!ピンポーン!)
真「っ!?い、一体なんなのだわ!?」
こちらが出てこないのが不満なのか玄関先の相手はチャイムを連打し始めた。
(ピンポン!ピンポン!ピンポン!ピンポーン!)
真「~~~~~~~ッッッ!」
!!!もう怒った。一体どこの誰だ、こんな非常識なことをするのわ!一言文句を言ってやる。
(ピンポン!ピンポン!ピンポン!ピンホ(ガチャッ)…)
真「いい加減にしなさいっ!一体どういう…」
私の家の前でチャイムを連打していた不届き者…水銀燈は能天気に挨拶してきた。
水「やっと出てきたわね。はぁ~い真紅♪随分元気そうねぇ」
真「す、水銀燈!?あなたどうしてここに!学校はどうしたの?」
水「もう終わったのよぉ」
真「嘘おっしゃい!!まだお昼休みってとこでしょう!!」
水「うるさいわねぇ…。どうでもいいけどせっかくお見舞いに来たんだから中にいれさせてもらうわよ」
真「あっ、ちょっと!?なに、勝手に入ってるのよ!」
ズンズンという擬音が付くような勢いで水銀燈が家に上がりこんだ。そして、そのままの勢いで2階に上がっていった。
水「真紅ぅ~はやく来なさいよぉ~」
真「あぁ~~~もう!」
そのまま結局水銀燈は部屋に入ってしまった。


水「真紅ぅ折角来たんだからお茶の一杯でも出してよぉ」
真「必要ないのだわ!」
水「もう冗談よぉ。それにしてもあなた元気そうねぇ、風邪は大丈夫なの?」
真「風邪?あなた何を言ってるの?」
水「何をって…今日は風邪で休んでるってことになってるのよ、あなた。その様子だと知らなかったみたいね」
そうか、どうやらお母様が事前に学校に連絡を入れていてくれたようだ。
真「そ、そうよ。私は風邪なの、だから早く帰ってちょうだい」
水「嘘おっしゃい。どこの病人がそんな元気そうなのよ」
真「う、そ、それは…」
水「まったく。おかげで朝あなたが来るの待ってたら遅刻しちゃったじゃない」
真「それは、ごめんなさい…」
水「みんなも心配してたわよぉ。昨日のあなたは少し様子がおかしかったから」
真「そうなの…それも…――――」
水「それにジュンだって心配してたわよぉ」
真「……………………」
水「ちょっと聞いてるのぉ?」
真「―――…か…え……って………」
水「真紅?」
真「……帰ってちょうだいっ!適当なこと言わないで!」
水「ちょっ、ちょっとぉ真紅。どうしたのよぉ?」
真「ジュンが!昨日会ったばかりのジュンが私の心配なんてしてくれるわけないのだわ!
  もういいから早く帰りなさいよぉ!!」
そう言って私は再び布団の中にもぐりこんだ。
水「し、真紅ぅ~…」
真「…………」
水「…………」

水「真紅。帰ってもいいけどその前に一つ誤解をとかせてもらうわよ」
しばらく黙っていた水銀燈だが不意に話し始めた。

水「ジュンがあなたの心配をしてたのは本当よ。あなたの体調を私に聞いてきたりもしたわ。
  正直、私が真紅を見に来たのも彼があまりにもあなたのことを気にしてたからよ」
真「…嘘よ」
水「嘘じゃないわ」
真「嘘よっ!そんなことありえないじゃないっ!だって、ジュンは私のことなんか何も知らないのよ!」
水「それはしょうがないじゃない…。ジュンは昨日引っ越してきたばかりよぉ…」
真「そういう問題じゃないのだわっ!!」
水「真紅…あなた何か隠してるわね」
真「……何も隠してないのだわ」
水「嘘ね。あなたは昨日から、ううんジュンと会ってから何かおかしいわ。
  ねえ、話してくれない。」
真「あなたには関係ないのだわ…」
水「関係あるわよ。だってあなたは私の親友だもの♪友達が落ち込んでいたら助けるのは当然よぉ。
  それに、このままだと明日もあなた休むでしょ?」
真「…………」
水「話してくれるまで帰らないから覚悟しなさぁい。私しつこいわよ?」
真「勝手になさい」


何時間経っただろうか。水銀燈は一言も喋らずにただ無言で私が話し出すのを待っていた。
あの飽きやすい性格の水銀燈からは考えられないことだ。
真「…水銀燈そろそろ夕方よ。いい加減に帰ったらどうなの?」
水「真紅が話してくれたら帰るわよぉ」
真「…………」
水「…………」

真「……はぁ」
先に折れたのは私の方だった。
真「…わかったわ、話すのだわ。」
水「やっとね。随分待たされたわぁ~」
真「考えてみれば、あなたの言う通りあなたにも関係あることだものね…」
水「?真紅、それってどういう…」
真「質問は後なのだわ。始めるわよ。
  ジュンは――――」


――――
それから私は、水銀燈にジュンが私たちの幼馴染だったこと、彼が突然引っ越してしまったことや、
そして彼が帰ってきたことに対する期待と不安。そして、あの約束と再び出会った彼に拒絶をされたことをゆっくりと語った。
水銀燈は一言も口を開かず、私の話を聞いていた。

真「――――…というわけなのだわ。さぁ、話したわよ」
水「終わり?…まさかジュンが私たちと友達だったなんてねぇ。だから、昨日ジュンのことを聞いてきたのね」
真「…本当に覚えていないの?」
水「ごめんなさい。言われてみればそんな子もいた気がするけれど覚えてないわぁ。」
真「そう……」
もしかして話をすれば、水銀燈も思い出すかと思ったけどそう上手くはいかないわよね。

水「真紅あなたの気持ちはわかるわよ。でも、拒絶されたってのは言い過ぎなんじゃないのぉ?
  ジュンは、昨日の昼食だって普通に話してくれたし、今日だってあなたの心配をしてたわ」
真「わかってるのだわっ!ジュンが悪いんじゃないって、覚えていないのも仕方がないわ、わかってるの!
  でも…でも、割り切れないのよぉ……ウ、グスッ…ウゥ」
止まっていた涙がまた溢れてきた。昨日あれだけ泣いたのに、一日食事を抜いたぐらいでは涙は枯れないようだ。
水「ちょっとぉ…泣かないでよぉ。はぁ…まあいいわ、今は好きなだけ泣きなさいよ」
真「ご…ごめん…なさ…い……」
それから五分ほどして私はようやく落ち着いた。
水「もう落ち着いたかしら?」
真「ええ…恥ずかしいところを見せてしまったのだわ(////)」
…恥ずかしかったが泣いたことで気持ちが大分楽になったわね。
水「気にしなくていいわよぉ~。いつもキリッとしてる真紅の可愛い顔も見れたしねぇ~♪」
真「す、水銀燈っ!(//////)」
水「あはははっ!可愛いわよぉ、真紅~♪」
しばらくの間水銀燈は笑ったままだった。

真「…落ち着いたかしら」
水「や、やあねぇ…。そんなに怖い顔で怒らないでよ。可愛い顔が台無しよぉ?」
真「はぁ…。あなたに相談したのは間違いだったかもしれないわね…」
水「あ…ははっは……」
嘘だ、水銀燈に話したことで随分気持ちが落ち着いた。でも、少しぐらい仕返ししてもいいわよね。

水「それで真紅はどうしたいのぉ?」
真「? どうしたいって何がよ?」
水「わからない子ねぇ~。だからジュンとどうなりたいのよぉ。付き合いたいんでしょ?」
真「なっ!?つ、付き合うってそんな…私は別にっ…」
水「今更別にじゃないでしょお。気付いてなかったの?あなたの反応まるっきり恋する乙女のそれじゃなぁい。」
真「うっ…ううぅ~~」
私がジュンのことを?好きだといわれれば、もちろん好きだと答えるだろう。
でも、その好きは本当に男女のそれなんだろうか?
水「わかってないなら教えてあげるけど、あなたは彼のことが好きなのよ。
  じゃないと、あんなに取り乱したりしないわぁ」
真「ジュンが好き…。で、でも、ジュンは私のことなんて忘れて…」
水「そんなの関係ないわよ」
真「関係ないですって…水銀燈、あなた…」
水「何度でも言うわよそんなこと関係ないわ。彼が忘れてるなら思い出させてあげればいい。
  もし、思い出さないなら新しい約束をすればいいじゃない」
真「―――― 」
水「それにあなたはとても可愛いんだから、あなたに詰め寄られてなびかない男なんて滅多にいないわよぉ」
真「………プッ、ププッ…フフフフフッ。あなたは単純ね水銀燈」
水「なによそれぇ、馬鹿にしてんのぉ?」
真「違うわ、ほめてるのよ」
そうだ、単純なことなんだ。ジュンが忘れてるなら思い出してもらえばいい。忘れたままでも構わない。
今はあの別れの時とは違う。ジュンは私の近くにいるんだから。
真「ありがとう水銀燈。おかげで元気が出たのだわ」
水「それはよかったわね。もう大丈夫なの?」
真「ええ、心配かけてごめんなさい」
水「そう、なら早くしなさいよぉ。じゃないと他の娘にジュンが取られちゃうわよ」
真「なっ!!??」
水「これも知らないの?彼結構人気よぉ。ぐずぐずしてると取られちゃうかもねぇ♪」
真「そ、そんなことはさせないのだわ。ジュンのアリスになるのは私なのだわっ!!」
水「…………」
真「あっ!こ、これは…その…(//////)」

(ギィ- ガチャ)
母「ただいまー。あら?真紅ちゃんお客様きてるのぉ?」

水「小母様も帰ってきたわね。それじゃあ、私もそろそろ帰るわぁ。
  真紅明日こそ送れずに来なさいよぉ」
真「わかったのだわ。本当なんてお礼を言えば…」
水「貸し一ね。そうねぇ、今度なにかデザートでもおごってちょうだい」
真「ふふっ。ええ必ず」
水「楽しみにしてるわ、じゃあねぇ。」

母「あら、銀ちゃんじゃない。久しぶりねぇ~、真紅ちゃんの様子を見に来てくれたの?」
水「はいお久しぶりです小母様。真紅はもう大丈夫ですよ。おいしいものでもあげて下さい」
母「ありがとうね銀ちゃん。もう帰るの?ねえ、折角だから夕ご飯でも食べて行かない?」
水「ごめんなさい。家でも用意してあると思いますので」
母「そう?残ねんねぇ~。また、いつでも来てちょうだいね」
水「はい、それでは失礼します」
水銀燈が帰ったようだ。彼女には余計な手間をかけさせてしまったわね。
今度とっておきのデザートをご馳走してあげなきゃね。

(グゥ~)
うっ、お腹が空いたわね。そういえば昨日から何も口にしてなかったわね。
さぁ、起きよう。取りあえずシャワーを浴びて、お腹が一杯になるまで食べよう。
そして、いつも通りの私だ。
真「さあ覚悟してなさいジュン。明日こそ目にもの見せてあげるのだわ」



――――
水「はぁ~、まったく私もお人好しよねぇ。」
真紅の話を聞いて、私もジュンのことを思い出してしまったわ。
私も彼が引っ越した時はひどく落ち込んで、一生懸命忘れようとしたものだった。
水「あの子は、ずっと覚えていたのよね。ほんと強い娘だわ。かなわないわねぇ…」
もう一度真紅の家の方向を向く
水「はやくしなさいよぉ真紅ぅ。グズグズしてると私がもらっちゃうんだから♪」
水「~~~♪♪」

日が沈んだばかりの夜空には、一筋の流れ星が舞っていた



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