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 The 
One 「1」

 今ではない時。此処ではない場所。
 其処に一人の少年が居りました。
 名前は、桜田ジュンと言います。
 仲のよい友人からは、ジュンとかJUMとか呼ばれていました。
 一見普通の少年に見えるジュンには、誰にも言えない秘密があったのです。
 なんと彼は、『正義の味方』でした。
 彼は、『悪』と戦い滅ぼす者。
 いつの頃から『正義の味方』をしていたのかはわかりませんし
 多分、彼本人もわからないでしょう。
 何せ、彼は生まれたその時から『正義の味方』なのですから。
 さて、まぁ彼の身分とかそこら辺はおいておきましょう。
 彼は、ただの『正義の味方』でただの少年なのですから。

 良く晴れた日。
 太陽が空に昇り、雲が流れ人々の喧騒が聞こえる。
 だけど、彼はその影に居た。
 太陽の光など差し込まず薄暗い路地裏。
 人々の喧騒がほとんど聞こえない。
 そんな彼と対峙するのは、異形のモノ。
 人の形をかろうじて残しては居るが、それは人として見れないモノ。
 もうこの対峙を何百回やったのでしょうか?
 もうこの戦いを何百回やったのでしょうか?
 数え切れないほど、数え忘れるほど、それぐらい彼は戦いました。
 だけど、異形のモノは何度でも何度でも現れるのです。
 そのたびに彼は異形のモノを倒す。
 何故? 異形のモノは『悪』だと教えられているから。

『アァアアァ!!』
 異形のモノは、咆哮を上げ彼に襲い掛かります。
 しかし、彼はソレをすぐさま回避し腰の刀を抜刀すると同時に一刀の下に斬り捨てた。
 もう何百回異形のモノを殺したでしょうか?
 彼、桜田ジュンはそんな事を思った。
 ため息を一つこぼし、薄れ消えていく異形のモノを見る。
 コレで終わったなぁと、ジュンは刀を鞘に戻しメガネの位置を直した後、またため息。
 軽い音。
 何かに躓いたような音が、路地裏に響いた。
「誰だ?!」
 ジュンは、瞬時に振り向き音のした方を確認する。
 その音を発した存在は、あわてた様にその場から走り去る。
 その時に、流れるような綺麗な銀色の髪が、ジュンの瞳に焼きついたのだった。
 見られたか……と、ジュンは本日三度目のため息を吐いた。

 The One 「2」 に続く。
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