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~文化祭§ハーモニー~

「翠星石、蒼星石、雛苺、ちょっと来てー」
 練習が終わり、日が傾いた頃、めぐと巴が三人を呼んだ。
「うゆ?どうしたの?」
 雛苺が、ててて、と近寄り尋ねた。
「歌ができたの。三人はソロがあるから、特別にね」
 めぐはがさがさとカバンを漁ると、何枚かの紙と3枚のMDを取り出した。
「これ、三人分。翠星石は蒼星石、雛苺の両方のデュエもあるから。それも吹き込んであるわ」
「伴奏は私」
 と、巴が言う。
 三人はそれぞれに与えられた楽譜をパラパラと読む。

「デュエは巴さんと歌って吹き込んだから。私がソロなら自分のパート」
「私が歌ってるトコは雛苺と蒼星石のパート」
 巴はたまたま開かれていた、蒼星石のデュエのパートを指差し、こことかね、と言った。
 翠星石のパートは必ず、私が歌うから。とめぐは付け足した。
「この後、時間ある?」
 と、蒼星石が四人に聞いた。
「時間あるなら、練習して行こうよ」
 蒼星石の言葉に反対するものはいなかった。

「じゃあ、翠星石と蒼星石には私がつくね。雛苺は貴女のほうが良さそうだもの」
 と、めぐが言うと雛苺は嬉しそうに笑った。
 ここは音楽室。
 何台かの簡易的なピアノが置いてある。
 互いの音を気にしないように二組はできるだけ遠くに位置した。
「二人のハモルとこ、やりましょうか。折角、二人いるし」
 めぐは一台のピアノの前に座った。
「まず、翠星石のパートを歌うわね…」
 静かに、ゆっくりと歌は奏でられた。

♪言いたい 言葉は言えなくて
 出会ったあの日を 思い出す
 愛しいと 心から…
「あぁ、もう!また間違えたです!」
 聞いていたMDのイヤホンを外しながら翠星石は嘆いた。
 蒼星石とハモルところで音がつられてしまう。
 ――折角、ダンスを覚えたとこですのに、シンデレラは大変です…
 と、翠星石はらしくもなくため息をついた。
「もう一度やるです!」

♪愛しいと 心から感じられた人

「!」
 自分以外の歌声が聞こえて、翠星石は振り返った。
「まだ、練習してたの?お風呂、入ってきたら?」
 バスタオルで髪を拭きながら、風呂上がりの蒼星石はそう言った。
「そ、そうするですぅ…」
 すごすごと翠星石は風呂に向かった。

「うにゅー!ヒナのパート難しいのー」
 遊びにきていた薔薇水晶と雪華綺晶に歌を披露していた雛苺が難しさに癇癪を起こした。
「雛苺…ちょっと…聞いて…」
「うゆ?何?」
 雪華綺晶は雛苺にこそこそと耳打ちした。
「うぃ!ヒナ、頑張るの!」
 さっきまでとはうってかわって雛苺は練習に励みはじめた。
「きらきぃ…雛苺に…何…言ったの…?」
「本番で…完璧に歌ったら…うにゅー…100個…あげる…って…」
「それ…わざわざ…耳打ちする…こと…?」
「それも…そうね…」

本番まで、後二ヵ月。
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