真紅短編7
付き合い始めて五年になる彼女、彼女は変わってしまった・・・以前「JUM、たまには私が紅茶をいれるのだわ///」「ああ、ありがとう」「・・・ひとのためにいれたのはJUMがはじめてなのだわ///」「そ、そうか。・・・嬉しいよ///」現在「なにをしてるのだわ!!何故紅茶をいれていないの!?」「いや、お前紅茶飲みたいなんて一言も・・・」「言わなくてもオーラから察するのが恋人でしょう?それは愛が足りていない証拠なのだわ!!」「む、無茶苦茶なこと言うなよ!!」「罰としてケーキを買ってくるのだわ。今すぐに」「・・・ザアザアと雨の音がするんだが」「そうね、だからケーキが濡れないように注意するのだわ。ほら急ぎなさい」「・・・行ってきます」いいんだ、雨の中なら僕が泣いてたって誰にもわかりゃしないさ・・・
春、といえば旅行シーズン。世間には旅行を楽しむ人々が溢れる。今日は休日。春らしいとても陽気な天候。ここにも例に漏れず、旅行を楽しむ二人組が。ジュンと真紅である。旅行といっても飛行機で大空を渡るわけでもなく、船で広大な海を渡るわけでもなく、新幹線で風を切って走るわけでもない。普通の電車である。だが、手段が豪華でなくても、二人が楽しければそれでいいのだ。………いや、真紅の方は楽しいわけではないようだ。 「まったく、いきなり二人でハイキングに行こうだなんて言い出すなんて…馬鹿馬鹿しい。」休日の昼間のためほとんど乗客が乗っていない車両で、真紅が愚痴をこぼす。愚痴の原因は、やはりこの閑散とした電車のせいか。それほど大きな声で話しているわけではないのだが、乗客が少なければ声は車両によく通る。少し離れた席に座っていたおばさんが、クスリと笑いをこぼす。「まあいいだろ。暇だって言ってたじゃないか。本の虫の真紅も、たまには自然に触れてみたらどうだ?」どうやら真紅は暇だったらしく、そのことをジュンに言ったときにハイキングへ行くのを提案されたらしい。「本の虫とは失礼ね。私だって別に年中本ばかり読んでいるわけじゃないのだわ。ジュンこそ、たまには本でも読んで 自分の見解を広めてみたら?アウトドアな思考はいいことだと思うけれど。」真紅の、ジュンへの右ストレート。ジュンはたしかに本など滅多に読まない。読むのは大体がマンガや雑誌の類である。痛いところを突かれてうなだれるのかと思いきや、「ふーん。馬鹿馬鹿しいだなんて言ってる割には、目の下にクマができてるぞ?もしかして真紅さん、 今日が楽しみで昨夜眠れなかったんですか?」「………………」図星らしい。ジュンの真紅への強烈なカウンター。真紅ダウン。「…電車で行くだなんて言っておきながら、財布を家に忘れて取りに戻った下僕はどこのどなただったのかしら?」「う。そ、それを言われると…」今乗っている電車に乗る前、ジュンは財布を家に忘れた。財布がなければ切符が買えるはずもなく、仕方なくジュンは家へと走って取りに戻った。おかげで乗ろうと計画していた電車に乗れず、というか3本も乗り逃し、真紅は駅で何十分も待たされるハメになった。ちなみに、罰として今回の電車賃はすべてジュン持ち。起きあがった真紅の渾身の一撃で、ジュンノックアウト。頭を抱えてがっくりとうなだれる。「まぁいいわ。それで、今回ハイキングに行く山はどんなところなの?」「…ん?あー…きちんとは調べてない。日帰りになるから、そんなに険しくも高くもないのはわかってるけど。」「…呆れた。行くつもりならあらかじめ下調べしておくのは当たり前でしょう?財布のことといい、情けない下僕ね…」真紅の意見ももっともである。こういうのを『後先考えない』と言うのだろう。そんなジュンには杖をプレゼントしたい。転ぶ前に。 さて、そこからまた電車に揺られて、場所は登る山のふもとへと移る。山を見て真紅が開口一番、「…十分高いじゃないの。ちゃんと調べておきなさいよまったく。」ピシャリと言い放つ。実際、山の頂上は首をずいぶんと上に向けないと見えない。適当に昼食をとり、太陽を見る。太陽はちょうど天の真上に位置している。今から登れば頂上でしばらく過ごしても、暗くなるまでには戻って来れるだろう。というわけで登山開始。 ハイキングコースには、いわば新緑というやつが溢れている。色とりどりの花やかわいらしい鳥などはもちろん、木々にも若葉が芽生え、サワサワ…という爽やかな音と共に道を通り抜けていく風が心地よい。今回の日帰り旅行の目的は、この自然に囲まれ、精神的にのんびりとすることだった。が…「ち、ちょっとジュン…ま、待ち…待ちなさいっ!」「ホラ見ろよ真紅、この花、ずいぶん綺麗に咲いてるなぁ!ん、この鳴き声はウグイスかな? あ!あれもしかしてリスじゃないか!?待てー!真紅も早く来いよー!」さすがは本の虫、真紅。登り始めて20分足らずで息が切れている。一方ジュンはアウトドアモード全開。真紅の声などまったく耳に入らず、見つけたリスらしき動物を追いかけて一人で真紅の何メートルも先を突っ走り始めた。「あ、ジュン…」止める間もなく、どんどんジュンの背中が遠ざかっていく。少しして止まったかと思えば、また離れていく。自然は人間を開放的にする。ジュンもその法則にのっとり、疲れを完全に感じない状態で、しかも真紅を完全に無視している状態で、目の前の自然と触れ合っている。一応ジュンが言っていたとおり道は険しくはないのだが、何が悲しくてハイキングコースを一人で登らなければならないのか。この状況は、真紅の機嫌を完全に悪くするには十分すぎた。 「お、やっと来たのか。おーい真紅、こっちだこっちだ。」ヘトヘトになって真紅がようやく山の頂上に着いた頃には、ジュンはとうの昔にリュックからシートを出して広げてあった。真紅の方を見て、手招きする。真紅は黙ってジュンのもとへと向かう。「一人で先に登って行っちゃって悪かったな。でも見てみろよ、ここからの…」「帰るわ。」「……へ?」突然の真紅の発言に驚くジュン。「せっかく誘ってくれたから期待していたのに、これじゃあんまりなのだわ。楽しめそうにないから、帰らせてもらうわ。」そう言ってさっさと歩き出す真紅。ただ、向かっている方向は森の中。「お、おい真紅…そっちは森だぞ?危ないって。」「ほっといて頂戴。」森の中は危険なので真紅を止めようとするジュンだが、返ってきた返事からして、真紅が相当怒っているのがわかった。完全に自分が悪かったとジュンはわかっていたので、それ以上は何も言うことができなかった。 ジュンを置いてけぼりにして、森の中でずんずんと歩を進めていく真紅。鬱蒼と茂ったシダ植物をかき分け、狭い木々の間を通り抜け、時折地面から飛び出している木の根を飛び越え、少し湿り気を帯びた土を踏みしめ、奥へ奥へと進んでいく。目的があるわけではない。ただ、怒りのあまり半分ヤケになっているのだ。この森の先には何があるのか?この森を抜けたらどうしようか?そんなことは全く考えていない。「バカね…私は。何を期待していたのかしらね…?」誰に問いかけるわけでもなく、自嘲気味に一人つぶやく。そして、ジュンにハイキングに行こうと誘われて、とても楽しみにしていた自分を思い出す。目の下のクマがそれを表している。「…やっぱり、言い過ぎたわね…謝りに戻りましょうか。」そう言って、今来た道を引き返す。だが…進んでも進んでも元の場所に戻れない。真紅は少しずつ怖くなってきた。食べる物もない。飲み物もあまり残っていない。元の場所に戻れない。真紅は今、完全に森の中で道に迷ってしまっているのだ。つまりは、真紅は遭難のような状態になってしまった。真紅は後悔した。ジュンとケンカして、怒りにまかせて森の奥へ進んできたことを。ジュンの厚意を裏切ったことを。そして何より、ジュンの誘いを受けて喜んでいた自分の気持ちに嘘をついたことを。悲しさ、寂しさ、悔しさ、後悔、自分への怒り…そんな気持ちが合わさって、その場に座り込み、感情を雫にして流し始める。「おいおい、泣かなくてもいいだろ?」その真紅の背中に向かって放たれた言葉は、今真紅が最も会いたい人のもの。涙を拭い振り返ると、そう、ジュンが少し照れくさそうに立っていた。「…ジュン?どうしてここに?」「…心配だったから、ずっと後をつけてたんだ。さっきは、ごめんな。」ジュンが深々と頭を下げる。「いえ、私も少しカッとなってしまって、悪かったわ。ごめんなさい。…ところで、ここから元の場所には戻れるの?」ジュンがずっと自分のことを心配してくれていたのは嬉しかった真紅だが、果たしてジュンも元の道に戻れるのか不安になって尋ねる。「大丈夫。コンパスもハイキングコースの地図もあるよ。でも、今度は二人で一緒に頂上へ行かないか?」「そうね、行きましょうか。」コンパスやら地図やらは持ってきているのに財布は忘れるのかと内心呆れた真紅だったが、ここから戻るにしても自分ではどうしようもないので、とりあえずはジュンについていくことに決めた。 ジュンのコンパスと地図、そして協力によってなんとか無事頂上へと戻れた二人。やれやれ、とほっと一息つく真紅。ジュンはというと、脇目もふらずにある場所へ向かって歩いている。どうしたのだろうかとジュンを追いかける真紅。そして先程ジュンがシートを広げていた場所にたどり着くと、ジュンは立ち止まり、真紅は驚きのあまり言葉を失ってしまった。上に見えるのは、どこまでも広がっていく凛と澄んだ大空。その大空をゆっくりと流れていく白い雲。前を見れば、遠く離れた場所にある青々とした山脈。この山と向こう側の山脈の間に広がる、緑色の広大な平地。周りを見回せば木々の若葉、耳に入ってくるのは鳥たちのさえずり。柔らかな風が真紅の頬を撫で、髪を揺らす。――この景色を早く一緒に見たくて、あんなに急いで登ってたんだ。――この景色って…山についてはほとんど調べてないんじゃなかったの?――ごめん、それ嘘なんだ。この山からの景色について聞いて、真紅を驚かせたかったから黙ってたんだ。――まったく…なかなか嘘が上手じゃないの。驚いたわ。ありがとう、ジュン。 どれくらいこの景色を眺めていたのだろうか。一時間だろうか?それともほんの5分ほどだろうか?時間感覚を狂わせてしまうほど、この景色には見る人を魅了するものがあった。おもむろにジュンは自分の左手にはめられている腕時計を見て、言う。「名残惜しいけど、そろそろ降りようか。暗くなりそうだし。」たしかに、風は少しずつ肌寒いものになってきていた。「そうね…戻りましょうか。」カメラには収めない。この目に焼き付けた景色が、永遠に色あせないように。形としてではなく、思い出として残すために。「よし、じゃあまたコースへ…ん?」ジュンが回れ右をしてコースへ戻ろうとしたとき、後ろから思い切り引っ張られる感覚が。見ると、真紅がジュンの服の裾をしっかりとつかまえていた。「ど、どうしたんだ真紅?戻るんじゃないのか?」戻ると言っておきながら自分を進ませないようにする真紅に、いぶかしげに聞くジュン。「……歩き疲れたのだわ。おんぶして頂戴。」一瞬とても困ったような顔をするジュン。だが、歩き疲れさせたのは自分の責任でもあると思い、「仕方ないな。ほら、乗れよ。」歩き疲れたお姫様のために背中を差し出す。何のためらいもなく当然のように乗る真紅。「ちゃんと乗ったな?よし、降りるか。」真紅が乗ったことを確認し、歩き始めるジュン。左右をゆっくりと流れていく木々を見ながら、小さな、本当に小さな声で真紅はつぶやく。「情けない下僕だと思っていたけれど、ジュンの背中はこんなに広かったのね。たまには頼りにしてみるのもいいかしら。 ………………大好きよ、ジュン。」真紅のこの小さなつぶやきは、ジュンには聞こえていたのだろうか……? ~FIN~
ジ「やっぱり裸エプロンだよな」真「い、いきなりなにを言い出すの」ジ「いやぁ裸エプロンは良いなと」真「………」真「ジ、ジュ………」ジ「けど猫耳も捨て堅いぜ」真「………」ジ「いやしかしメイド服も」真「…………」ジ「ん?真紅どうし…」真「ど、どう……裸…エプロン…なのだわ」ジ「…………」真「ジュ、ジュン?」ジ「………もうちょっと胸があった方が」雛「ういー、良いお天気さんなのー」ドコォ雛「あ、ジュンが空飛んでるのー」巴「雛苺、ご飯出来たわよ」雛「はいなのー」
それは突然のことだった梅「桜田が学校を辞めて外国にいくことになった」その言葉を聞いた瞬間私の動悸が速くなる(ジュンがいなくなる?冗談でしょ?冗談だと言って…)話が終わると私はジュンの家まで走った。ジュンはもう出掛ける寸前だった…ジ「…3年後に必ず帰ると約束する」何も言えずにいた私に一言だけ言ってジュンは旅立った
翠「まったくあの教授は翠星石ばかり注意しすぎですぅ」蒼「それは翠星石が講義中に寝てるからだよ…」(あれからもう3年もたったのね…)あの時ジュンとの別れで私は一週間寝込んだ。愛しの人との別れだったから当然だろう…(彼女達がいなかったら私は立ち直れなかった。感謝しないとね)私と双子は大学に進学し残りはそれぞれの個性を生かしてみんな活躍をしている(楽しいけれど何か物足りないわね…)翠「あれ?真紅の家の前に誰かいるですよ」蒼「ほんとだ…一体誰だろ?」考え事をしていたので少し遅れて自分の家の前を見てみる…(あ、あれは…)私は双子を置いて走り出した。間違えるはずがない…私は泣きながら彼の、ジュンの胸に飛び込んだジ「ただいま…真紅」真「お帰りなさい…ジュン」
私の幸せの物語はこれから始まる
おまけ
あれからしばらくして私達は結婚したジュンはたった3年で人形師としての名前を世界に広げていたのだ私には信じることはできなかったのだがその方面の専門誌には名前が載っていたので本当なのだろう…そのためなのかジュンは月に一回は海外へ出張をしている。少し寂しい(だけどジュンは必ず帰ってくる…私達は強い絆で結ばれているから…)
少し間を置いて私は語る真「このお腹の中にいる新しい命という絆でね…」
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