デートみたいな買い物
J「なんで僕が荷物もちをしなきゃならないんだ。」銀「だって荷物もちは男の仕事でしょぉ。」ここはとあるデパートの一角。JUNは朝いきなり水銀燈からよびだされた。そしていわれた場所にいってみると水銀燈に荷物もちをお願いされた。お願いというよりは駄々をこねたに近かったが。J「せっかくの休みの日なんだしゆっくりさせてくれよ。」銀「いいじゃない。別に予定もないんだしぃ。」確かに予定もなかったが、JUNは面倒くさいことが嫌いだった。J「疲れるし面倒だからいや。」銀「・・・JUNは私のことが嫌い?」いきなり水銀燈の雰囲気が変わった。下を向き手で目を押さえている。その頬に一筋の雫が流れ落ちた。J「え!?あ・・あ、ごめん!そんなことないよ!いきなり呼び出されたのがちょっとびっくりしただけで・・・ その・・・なんていうか・・・に、荷物もちくらいなら言ってくれればするから!」古今東西男は女の涙に弱いらしい。JUNはさっきまで言ってたことをころりと変えた。銀「ほんとぉ!嬉しいわぁ!」ぱあっと表情が明るくなる。その手には目薬が握られていた。J「・・・その目薬はなに?」銀「んー?ちょっと目が乾いたからさしただけよぉ。」そしてその弱さを知っている女性の方が一枚上手だった。J「はぁ、わかった。するよ、荷物もち。」JUNは諦めたように言った。銀「ふふ、ありがとぉ。」そして水銀燈は満面の笑みでお礼を言った。J(この顔で最初から言ってくれれば断らないのに・・・)そんなことを考えながらJUNは水銀燈に並び、二人はデパートの中へと入っていった。女性の買い物というのはどうしてこんなに買うのだろう?本当にこれらは使い切るのだろうか?買い物を始めて2時間ほど経過した。現在JUNは歩くだけで精一杯なほど荷物を抱えている。銀「次は、アクセサリーを見にいくわぁ。」フラフラのJUNとは対照的に水銀燈はかろやかに歩いていく。J「す、水銀燈・・・まだ買うのか・・・?」銀「何言ってるのぉ?はじまったばかりよぉ。」J「まじかよ・・・」JUNは今後ことを思うと頭がくらくらした。銀「ちゃんとお礼はするからぁ。」J「・・・まあ期待しとくよ。」あてにならない約束だとは思ったが、JUNはないよりはましだと思い適当に返事をした。結局彼らはその後さらに3時間まわり帰る時には夕方になっていた。J「すっかり日がかげってきちゃったな。」夕日が世界を照らしている。朱い光が降り注いでいた。銀「今日はありがとねぇ、きてくれて助かったわぁ。」J「まあ、気にするなって。さすがにいきなり呼び出されるのはつらいけど。」会った時は嫌がっていたJUNだが、楽しそうに選んでいる水銀燈を見ているうちにそんな気持ちは消えていった。銀「あ、ちょうど良い所に公園があったわぁ。ちょっとここで休んでいきましょぉ。」そういって水銀燈は公園に入っていく。JUNもそれに続いた。公園はさすがに夕方なためか人気はなく、朱い静寂の中にあった。二人はベンチに座り一息つく。銀「ちょっと待っててねぇ。」そういうと水銀燈は立ち上がり、自動販売機まで走っていく。そしてジュースを二つ買いもどってきた。銀「はい、おつかれさまぁ。」水銀燈はひとつをJUNにさしだし、残りを空け飲み始めた。J「これが”お礼”ってやつか。」JUNも蓋を開ける。お礼といえばこのくらいだとJUNも予想していた。だが、銀「違うわよぉ。他に”お礼”はちゃんとあるわぁ。」水銀燈がいった答えは違っていた。JUNは首をかしげた。お礼がほかに?銀「じゃあ、その”お礼”を渡すから目をつぶってぇ。」なやむJUNに向かい水銀燈は言う。J「そうか、わかった。」JUNもその”お礼”を早く知るべく目をつぶった。そしてJUNがなんだろうかといろいろと考えてるうちにちゅJ「!!!???」JUNの唇にやわらかいものが触れた。びっくりして目をあけたJUNの前に、それこそ今の世界に負けないくらい顔を赤くした水銀燈がいた。銀「ふふふ。(///)」J「す、水銀燈?」銀「はい、お礼は私のファーストキス。(///)」恥ずかしそうに目をそらす水銀燈。JUNも何が起こったか理解してきて顔を紅潮させる。J「で、でも初めてだったんだろ?いいのか僕で?」その質問に水銀燈はあきれた様子で言った。(もちろん顔は真っ赤だが)銀「JUN、鈍い。(///)」J「へ?」銀「こんなデートみたいな買い物、JUNしか誘わないわよぉ。(///)」えーと、それはつまり・・・JUNの思考はぐるぐると回転し、答えにたどり着くまで数秒かかった。J「ホントに僕でいいのか?」さっきと同じ質問。しかし内容の違う質問。銀「JUNがいいのよぉ。(///)」それに水銀燈は同じ気持ちで答えた。J「・・・じゃあ今度は僕のほうからお礼しないとな。」銀「なんでぇ?」J「そんな気持ちを気が付かなかった罰として、かな?」銀「じゃあ一回じゃ足りないわぁ。」J「では何度でも。」二つの影が重なり合い朱い世界にとけていった。fin
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