【雨とYシャツと彼女】
6月完全に入梅した日本列島は広い地域で連日雨が続いていた。それはJUMや水銀燈が住むこの町も例外ではなく今日も暗い空からはシトシトと冷たい雨が降り続いている。その雨の中を二人は傘を差し並んで下校していた。その横を一台の車が猛スピードで通り抜けていく運悪くその進路上には大きな水溜りそれに気がついたJUMが咄嗟に水銀燈を庇うが、時すでに遅く大量の水が二人を直撃した。銀「っきゃ」JUM「うっわ」そんな二人に気がつくことなく車はさらにスピードを上げ走り去っていった。JUM「大丈夫か水銀燈?」銀「ええ、でもびしょびしょよぉ」JUM「たく、危ない車だな」JUMは自分たちを濡れ鼠にした車に怒りをぶつけるが残念ながら加害者はすでに彼方に去ってしまっている。このまま状態でいればそろって風邪を引くのは間違いない幸いといっていいのかそこはJUMの家までなら走れば1分の場所JUM「はぁ、とりあえず僕の家まで行こう」JUMは小さく息を吐き出すと水銀燈そう言った。銀「そうねぇ、さすがにこのまま帰ったら風邪引くしねぇ」水銀燈も苦笑してからそれに同意する彼女が頷くのを見るとJUMはその手をとってあまり意味を成さなくなった傘を差しながら家に向かって駆け出した。
家に到着するとJUMはバスタオルを二つ取ってきて一つを水銀燈に手渡した。JUM「とりあえずこれ」銀「ありがとぉジュン、ねえシャワー貸してくれない?このままじゃ気持ち悪くてぇ」その気持ちはJUMにも理解できた。だから水銀燈のその言葉に頷いて見せたのだ。JUM「ああ、いいぞ、場所はわかるよな?」銀「ええ、大丈夫よぉ、それとできれば着替えもお願いできない?」JUM「わかった」銀「ありがとジュン」水銀燈はそう言ってジュンに微笑んで見せたからその横を足早に通りすぎバスルームに消えていった。彼女の姿がバスルームに消えていったのを確認してからJUNは二階の自室にあがり濡れた制服を手早く脱ぎ捨て軽くタオルで体を拭いてから着替える。それから水銀燈に渡す着替えを探したが残念ながらJUMの部屋には変えの制服とYシャツしかなかった。それ以外の服はどうやらお節介な姉がクリーニングに出してしまったらしい姉の部屋に行けば女物の服はあるだろうが、姉の衣装ダンスを勝手に開けるのは謀られた。もしそんなことをすればあの姉は泣き出すくらいするだろうからだ。JUM「それは厄介だな」そう呟いて苦笑を浮かべた。結局JUMは変えの制服のズボンとYシャツを持って下に降りた。それからリビングのエアコンのスイッチをいれ、室温を高めに設定してからバスルームに向かったJUM「水銀燈、着替え持ってきたから入るぞ」シャワーの音が聞こえるのでさすがに着替え中と言うことはないだろうが一応念のためにそう声をかける。銀「ありがとう、入ってもへいきよぉ」その返事を聞いてからJUMは脱衣場に入ると着替えを置いてから水銀燈の制服を手に取る。JUM「制服、乾かすからもっていくな」銀「うん、お願い」それに「了解」と返事してからJUMは脱衣場にあったハンガーに水銀燈の制服をかけるとそれをもってリビングに戻った。それからリビングにその制服をかけると台所で紅茶を入れてからソファーに座りテレビの電源を入れる。残念ながらテレビは夕方のつまらない情報番組しかやっていなかったためJUMは適当なチャンネルにあわせてから近くに置いてあった漫画雑誌を手にと取り紅茶を一口啜ってからそれに目を落とす。その直後リビングの戸が開く音がした。どうやら水銀燈が来たらしい彼女の分の紅茶をカップに入れてからJUMは水銀燈の視線を上げて、あやうく噴出しそうになった。なぜなら、彼女はJUMの用意したYシャツとズボンのうちYシャツしか身に着けていなかったのだからしかも、ボタンは上二つをはずした状態であるため彼女豊かな胸の谷間がしっかりと見てとれた。JUM「おま、お前なんて格好で・・・・」銀「だって~ジュンのズボンウエストぶかぶかですぐずり落ちちゃうんだものぉ」JUMが抗議の目で睨むが水銀燈はそれをあっさり受け流すと彼の対面にある一人がけ用のソファーに腰を下ろし紅茶を一口啜る。それからテーブルの上においてあった雑誌を手に取るとそれに視線を落とした。JUMも言っても無駄だと悟り自分もテレビに目を向けた。その後二人に会話はない、部屋にはエアコンの送風音と雨の降る音それからテレビの音だけが響く時折、水銀燈がページを捲る音と、二人が紅茶を啜る音が聞こえるだけで静かな時間が流れていく。しかし、その中でJUMだけが落ち着かないテレビを見ているそぶりをするがその視線は時折水銀燈の胸や足の付け根に向けられる。もちろん水銀燈はその視線に気がついているが気にせず足を組んで雑誌を読む作業に集中する。JUM「お前、そんな格好で足組んだらパンツ見えちゃうぞ」JUMはからかうつもりでそう言って紅茶を啜った。しかし、この直後彼は手痛い反撃を受けることになる。銀「平気よ、履いてないから」水銀燈は雑誌から視線を上げることもなく事も無げにそんなことを言ってみせる。それを聞いたJUMは今度こそ盛大に紅茶を噴出した。銀「あぁん、もうきたなぁい」JUM「ななななななななな、何ではいてないんだよ!!」銀「だってぇ~、下着もびしょびしょだったしぃ、第一あんなもの着けてたら気持ち悪いじゃぁい」JUM「だからってなあ!!」立ち上がり顔を真っ赤にして怒声をあげるJUMを見ながら水銀燈は楽しそうにクスクス笑っている。その姿をみてJUMはさらに声を荒げるが暖簾に腕押し、柳に風、水銀燈はそれをことごとくあしらう。いい加減疲れたのか、それとも言っても無駄だとあきらめたのかJUMはドサっとソファーに腰を落とすとそっぽを向いて呟いた。JUM「お、男の前でなそんな格好でいたら何されても文句言えないぞ」銀「あらぁ、ジュンになら何をされてもかまわないわぁ」水銀燈の声はJUMのすぐ近くで聞こえた。驚いて声の聞こえた方を振り向くといつの間にか彼女はJUMのすぐ目の前にいた。そして、水銀燈はJUMと向かい合うようにその膝の上にちょこんと座ると言葉を続ける。銀「ジュン、私はジュンにならなにをされても構わないわ」そう言った彼女の目は真剣そのものだった。銀「私はねぇ、ジュンのものなの、この身体も心も全部ジュンのもの」JUM「お前・・・」銀「だから、こんなことするのはジュンの前でだけよぉ」そう言って水銀燈は微笑んで見せた。JUMはため息をつくとそっとその腰に手を回し彼女を抱き寄せるとその耳元で囁いた。JUM「もう、我慢の限界だからなにするかわからないぞ」銀「うふふ、どんなことでも受け入れてあげるぅ、この前みたいにお尻でもいいわよぉ」そういって水銀燈はJUMの下腹部にそっと手を忍び込ませそこを撫で上げる。JUM「でもさ、一つだけ・・・」銀「ん?なぁに?」JUM「お前を泣かせることだけはしない、絶対に」銀「うん」水銀燈がそう返事をすると同時にJUMは水銀燈を抱き上げ自室へと運び上げた。外では雨がいつの間にか上がり、鮮やかな夕日が見えていた。。
FIN
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