歌が聞こえる
歌が聞こえる昼休み夏の強い日差しの中、真紅は校庭の端にある井戸に来ていた。その井戸周辺は幽霊が出るとか言われていて、誰も近づこうとはしない場所しかし、実際は幽霊なんていない、誰かが流したデマであった。夏は涼しくて、いい場所である。紅「こんないい場所なのに近づかないなんて、みんなどうかしてるわ」彼女はほかの雛苺や金糸雀も昼ごはんを誘ったが雛「あそこ恐いから嫌なの~」金「ぁ、あんな所で卵焼き食べたくないかしら」などと言って断られた。翠星石や蒼星石やジュンは委員の仕事で忙しそうだったから最初から誘わなかった。水銀燈は誘わない、決して。紅「まぁいいわ、お昼にしましょう」彼女は少し寂しさを感じながら、井戸に腰掛けお弁当を広げた。木で出来た木陰のおかげでここは涼しいなにより静かである紅「たまには静かなのもいいわね」彼女はそんな事を思った。昼休みも終わりかけてきた。紅「もう戻ろうかしら……」と、立った瞬間に立ちくらみがした。彼女は後ろによろめいて、紅「ぁ……」彼女は井戸の中に落ちた。ジュンたちは委員会の仕事を終えて教室に帰ってきた。そしてお昼の授業が始まるチャイムがなった。J(あれ?……真紅がいない……)ネギ「ハイ、それでは授業を始めましょう。あれ?真紅さんがいないですね。 保健室に行ったんでしょうかね?…真紅さん、昼の授業欠席…と…… それでは笹塚君、教科書の45Pを読んで廊下に立っていて下さい」笹「ぇ……」J(真紅どうしたんだろう?……)結局彼女は授業が終わっても戻ってこなかった。翠「真紅のやつどうしたのですかね~?」蒼「彼女が授業を休んだ事なんてないのにね?」J「ちょっと心配だから保健室に見にいこうぜ」J「失礼しまーす」HG「本日はじめてのお客さん…フォーーーーーーー!!!見てくださいよこの腰の揺れ!!!今日は一段t…」翠「そんな事どうでもいいです!!今日はじめてって事は誰も来てなかったってことですか?」HG「セイセイセイ!!!!その通りですよ~私の腰がさびしk…」蒼「それじゃあ何処に行ったんだろう?家に帰ったのかな?」J「真紅に限ってそんな事はしないだろう?……なんか心配になってきた…よし、真紅を探そう」翠「翠星石も今それを言おうとしたですぅ」(ピシャリ)HG「…………フォ~~~~……」紅「う……ん……ぁ…」彼女は井戸の底で目を覚ました。紅「……動かない……」どこかを強く打ってしまったのか、起き上がることさえ出来ない。紅「そっか…私、井戸に落ちてしまったのね」かろうじて喋れた、しかし紅「…痛…」それ以上は望めなかった。不幸中の幸いに底は柔らかい土の上で、体を打っただけで、外傷はなかった。紅「……どうしよう…」やることは一つだけしかなかった。紅「だれかそこにいないの?」助けを呼ぶだけ、体が動かない以上そうすることしか出来ない。井戸の出口から見える空はオレンジ色をしていた…紅「そういえばテスト前だから誰も部活してないのだわ…」彼女の声は誰にも聞こえていなかった。J「蒼星石見つかった?」蒼「いや、見つからない…翠星石は?」翠「どこにもいなかったですぅ…」蒼「さっき家に電話したけど、まだ帰ってきてないって…」J「くそ!!どこいったんだよ、まったく…」放課後になって、既にほかの皆は家に帰っていた。蒼「もう一度探しにいってみよう」J「うん…」翠「了解ですぅ」紅「……~~♪…」彼女は歌っていた。誰も通らないし、井戸の底は暗くて、恐かった。少しでも気をまぎらわせるために彼女は歌った。井戸の底はよく響いて歌っていると気持ちが良かった…J「…………今、歌が聞こえた……」J「どこからだろう?…歌が……」井戸の近くを通っていたが、井戸からの歌が聞こえると言う距離ではなかったけど、彼には確かに聞こえた。彼は歌が流れてくるほうに向かった。彼は井戸の近くに真紅のお弁当箱があるのに気がついたJ「!!……真紅!!!」彼は急いで井戸に駆け寄った紅「…ジュン?」井戸の出口から人の姿が見えた紅「ジュンなの?」J「おい!!大丈夫か!?」紅「見ての通りよ、動けないわ」J「ちょっと待ってろ!!今助け呼ぶから!!」その後、真紅はジュンにおぶってもらい、梯を上って井戸から出たHG先生に診てもらったが、幸い、骨には以上はなく、動かない身体もすぐに動くようになるそうだ。HG先生はあんなのだが、いちよう有名な大学を卒業しているので、腕は確かだ。帰り道……翠「ほんと世話がかかるやつですぅ」蒼「まぁまぁ、それじゃあジュン君、真紅、また明日」翠「ばいばいですぅ」J「あぁ」紅「また明日」真紅はジュンにおぶってもらいながら挨拶をした。二人と別れた後、しばらく沈黙が続いた。J「……なぁ、その、か、身体大丈夫か?」紅「痛いけど、もう大丈夫だと思うわ」J「そ、そうか…」また沈黙……J「…………なぁ、あの時歌っていた曲ってなんて言う曲?」紅「あれ?……あの歌に曲名なんてないわ」J「え?なんで?」紅「だって、あの歌は私が作ったの、名前なんてないわ」J「へ~、すごいじゃないか!!」紅「別にすごくなんてないわ、私はただ頭の中に流れて来る旋律に歌詞を添えるだけ……」J「すごいよ、十分に…そうだ、今一曲歌ってよ」紅「ぇ…いやよ、そんな…人に聞かせ事なんてないのに…」J「そんなの勿体ないよ、真紅の歌上手かったよ」紅「……けど…」J「助けたお礼に歌ってよ」紅「仕方がないわね……笑わないのよ?」そこにあったのは闇捧げられた姫の旋律はただはかなく空に飛ぶ得られない愛戦士は旋律に誘われ姫を踊りに誘う戦士は姫の手を取りリズムに足を合わせ紅の口を動かし手を鳴らすそこは二人だけの世界J「………」真紅「ちょっと///何か喋りなさいよ///」J「いや、聴き入ってた…」真紅「もっとマシな感想はないの?はぁ…いいわ、下ろして」J「え?いいのかよ?もう動けるのか?」紅「えぇ、さっきHG先生がくれた薬が効いてきたわ」J「そうか…」ジュンは真紅を下ろした紅「あ………」真紅はぐらつき倒れそうになってジュンに抱き着いたJ「ちょ////」さっきまでおぶってはいたが前から抱き着かれると恥ずかしかった紅「ありがとう、ジュン…もう少し、このままでいいかしら?」J「あ、あぁ///」……………真紅の体が離れる紅「ジュン…踊らない?」J「はい?」紅「さぁ、踊りましょう」真紅はジュンの手を引いて歌い、舞った。始めて自分の歌を人に聞いて貰って浮かれたのかそれともただ自分の愛する人と踊りたかったのか多分、両方なのだらう…人は踊り疲れた人形血に飢えたごとく人は土を慣らし迷わず歩き出す………FIN
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