「K」の正体とは!?
9月24日 15時15分。大薔薇中学 2年6組ジュン「ふぅー……上がりだな。」 ふぁー……眠かったなー。6限の数学は本当に眠かった……。別に因数分解なんか使わないっての……。まぁ、楽勝に解けるわけなんだけど……さて、靴を出して帰ろ、と……ガシャッヒラヒラジュン「ん゛!? なんだこれ……。」ベジータ「どうしたんだ。妙な声を上げやがって……。」ジュン「ててて手紙が……。」 靴と一緒に出てきたもの……封筒に入ってる手紙だったんだ。ベジータも興味津々だけど……一体なんだろうか。ベジータ「ふむ……果たし状だな。」ジュン「字が女もんだぞ……? 僕に喧嘩を売ろうって女子なんか……。」ベジータ「いーや、あの8人なら分からないぞ……?」ジュン「そーいえばそんな気もするな。とりあえず読んでみようか……。」ベジータ「貸せ、俺が」ジュン「……すまん」ドンッベジータ「ぐわおっ……!!」バタッジュン「すまないな、ベジータ……こういうのは一人で楽しむもんなんだ。」ジュン「何々……。」 来たれ体育館裏 十六の刻に その時問う故 求む返事 Kジュン「こ、これって……人生14年目にして初の……」ジュン「うおーっ!!」 間違いない。これは……ラブレターではないか!!うおおおお、力がみなぎってくる!!今ならこの力を誰かに与えてもいい!!ベジータ「きたないぞジュン……覚えて……いろ……。 そ、……せ、せき、に免じて、この……痛みだけは……」 やたらめちゃくちゃな文だったけど、どうやら体育館の裏に16時までに行くといいわけだな。ちょっとジュースでも買って時間を潰すとしよう……ジュン「うふふ……」真紅「ちょっとジュン?」ジュン「なんだーい?」真紅「紅茶を買って頂戴。」ジュン「いいとも。」真紅「え……ちょ……なんですって!?」 ふふふ……余裕だ。余裕過ぎる。財布にも1200円……それにこの心の高ぶりが、僕の心にゆとりを持たせてくれている……!!真紅「き、気味が悪いのだわ……。」ジュン「いいんだって。さあ、好きな紅茶を選びたまえ。」真紅「じ、じゃあ……レモンティーにしようかしら……。」 よーし、誰かにいいことをした後というのは、気持ちがいいもんだ……その「K」とやらのためなら、今だったら何でも受け入れられそうだ……。あと30分もあるじゃないか……うん、余裕だ。 しかし、僕のことを知ってる「K」って誰だろう……。か行だよなー……。「か」、か、か……金糸雀か? あの強気な……アイツなら直接話をつけにくるはずなんだけどなー……。 よし、金糸雀がないなら、次は「き」……き、き……雪華綺晶か。アイツならあまり気が強いほうじゃないから、こういうの寄越してこないことも無い……。確か7組だったよな……ちょっと寄ってみるか。ジュン「……え? 今日は来てない?」薔薇水晶「うん……風邪をひいちゃったんだって……」ジュン「へぇー……最近、急に冷えたからなぁ……」薔薇水晶「……ジュン、まだ帰らないの?」ジュン「あ、ああ、僕はちょっと用事があってさハハハ」薔薇水晶「へんなジュン……あっ、そろそろ帰らなきゃ…… じゃあね……。」ジュン「おう、また明日!」 雪華綺晶じゃなかったのか……とすると……やはり金糸雀か?うーむ……アイツがセコセコあの手紙を書いてるところを想像できないぞ?ジュン「……まだあと15分あるなぁ……」「ジューン!!」 ジュン「ん? 誰だ……なんだ、お前か。」雛苺「ジュン、まだ帰ってなかったのね。何かあったなの?」ジュン「いや、無いわけじゃないけど……。 お前こそこんな時間までいるなんて珍しいな。」雛苺「うゆ……国語のお勉強をしてたの。そしたら、 金糸雀、先に帰っちゃったのよ……。」ジュン「なんだ、金糸雀の奴もう帰ってたのか……。」雛苺「うぃ。だから明日、お弁当のおかずをちょっともらうの。」ジュン「ハハハ……。」雛苺「ジュンも金糸雀に用があったなの?」ジュン「ま、まあな。おっと、あと10分だな。 じゃ、気をつけて帰るんだぞ。」雛苺「はーいなの! またねー、ジュン!」 そうか……とすると…………誰だ? 「K」ってのは……。これは現地に行ってみるしかないか……。 ふぅ。とりあえず、現場に来てみたはいいけど……。空が高いなー……。翠星石「ここんとこをもうちょっと切りやがれですぅ。」蒼星石「分かってるよぉー。じゃあ、そこの土を均しといて。」翠星石「ラジャー、ですぅ!」 園芸部コンビも、よくやってるなー。ふふふ、今日は気分がいい。まだ1080円あるから、アイツらに差し入れしてやろう。買ってきて戻って、一息つけば時間になるだろう。ジュン「おーいお前らー、お茶買って来……あれ?」ジュン「……帰っちまったのか? 誰もいないや……。」 まぁ、1本は僕が飲むとして……どうしよう、もう1本は。……だが今日はそんなことどうでもいい。ふふふ、誰なんだろう、「K」ってのは…… おっと、その「K」が来たようだ。「……来てくれたんだ、桜田君」ジュン「おうっ……柏葉……カシワバ!? 『K』ってのはお前だったのか!!」巴「へへへ。私が来るなんて思ってなかったでしょう?」ジュン「なっ……なんなんだよ。」巴「えっと、今度の文化祭の実行委員、いっしょにやらないかな? って思って……」ジュン「え? ……それなら午前中にでも言ってくれればよかったのに……」巴「だって桜田君、いつも休み時間は寝てるし……。 それに、すぐ帰っちゃうし。」ジュン「……なんだよ、なんだか、してやられた感じだな……。 まあ、実行委員の件は引き受けよう。」巴「そう! ……ありがと、桜田君。」 な、なんだよ……そんなにマジな顔でいうことじゃないだろ……。……ふっ、まあいいか。ジュン「お茶、間違えて2本買ってしまったんだ。1本、お前にやるよ。」巴「ふふっ、ありがと♪ なんだか、青春だねー……」ジュン「……なんか言ったか?」巴「ううん、なんでもない。」ジュン「ヘンなやつだな。」 結局、僕の早とちりってことで、わずか45分の夢物語は終わった。けど、なんだかこういう放課後も、悪くは無いかな……。 ……何か忘れてるような気がするけど……。ベジータ「うおお……!! 思いつかん!! なんとかしろ、水銀燈!!」水銀燈「あなた……正気なのぉ? このご時世に恋文なんて……」ベジータ「これは恋文ではない! 果たし状だァッ!!」水銀燈「フン……男なら当たって砕けてくればいいのにぃ……」翠星石「サイヤ人間が喚いてるですぅ。」蒼星石「どうしたんだい?」ベジータ「「!!」」 【おわり】
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