「とある夏休み」7ページめ
7ページめ「おはようございます、施設長」「あらおはようめぐちゃん、今日も暑いわね」「もう、ちゃんと柿崎先生って読んで下さいよお、あの子たちがいないからって…」「ふふふ、ごめんごめん。そう言えばあの子たちは?」「朝ごはんのあとにどこかに遊びに行ったみたいですね。元気ですよね…」「他の先生方もご一緒?」「いいえ。二人とも素振りをしていますよ」「若いって良いわね…私は明日から出張よお…」「大変ですね施設長…」―――――――――――――――――――――――――――圧倒的な非日常に押し流されつつも、真紅は体勢を整えようと必死に手足を動かしました。水中では想像以上に体の自由がきかず、視界もぼやけてしか見えません。…いえ、視線の先に、力なく水中に漂っている雛苺の姿を真紅は捉えていました。自分でも信じられないほどの力が水をかきわけ、真紅の体は、少しづつ雛苺へと近づいて行きます。その間が10メートルから7メートル、5メートル、3メートル…と迫ったところで、酸素を求める本能が、真紅に水中で息を吸わせ…気管に水が入り込み、想像を絶する苦しみの中で、闇と消えていく視界と意識に覆われた真紅は、すぐそこにいるはずの愛しい妹へと必死に手をのばし…ついに意識を手放しました。―――――――――――――――――――――――――――――――「そぉーれ!喰らいやがれですぅ!」「ひゃっ!ちょっと、少しは手加減をしてくれませんこと!?」「ビーチバレーでそこまで本気出すことはないでしょぉ…」「ここはビーチじゃなくて川だからいいのですぅ☆」「姉さん…ボール流れてってるよ…」「…私…取ってくる…」「ごめんですぅ」バシャバシャ「…追いついたっと…!?…キャッ!!」「!?どうしたのぉ?」「足でもつったですかぁ?」「…人が…二人も…流れてくるっ!!」「ええっ!?大変だよ、いそいで引き上げなきゃあ!!」「一大事ですわ!皆さん行きますわよ!!」「うんっ!!」少女達は、我を忘れて川の深みへと急ぎました。つづく
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