ゴスロリ
ばらしーちゃん、と私は最愛の妹に声を掛けた。いつもの日曜日の昼下がり、私達は暇を持て余していた。暖かい日差しを浴びながら薔薇水晶は陽当たりの良いソファーで、まるで学生の体育姿のようなジャージ姿のまま寝転がっていた。彼女だって生きているし、疲れたり怠けたりする、ただ、それが私や真紅より少ないだけである。自分を庇うようだが、私達は別に何もやらないわけでは無く、何も出来ないのである。それは些かの違いのような気がするだろうが大きな違いだ。光合成真っ最中の幸せそうな妹は、私の呼び声には答えなかった。私は彼女の顔を覗き込む、瞼が閉じている。と、なると彼女は寝てしまっているらしい。私の悪戯センサーがビビビ、と反応し始める。しかし、最近の私達というか薔薇水晶は悪戯に慣れ始め、一般的なものには反応しなくなってきた。料理中に彼女の成長期真っ盛りの可愛らしい胸を突然愛撫したとしても最近は冷たく返されてしまう。一昔前ならば……ああ、涎が垂れてきてしまう。逆に今回は私が何かをする、というパターンにしてみようと思う。幸いにこの前、とあるウサ……いや、この話は止めておこう。ともかく、私は作戦を実行するためにリビングを後にした。……彼女の前に私は立つ。すぐ近くまで私は静かに近寄ると噛んでしまいたい焦燥に駆られながら耳元で、「薔薇水晶」と囁いた。二、三度囁くと、彼女は眠たそうな眼を擦りながら夢から醒めた。そして私を見る。「……ゴスロリ? 」彼女は呟いた。どうやらあのウサギの話では妹はゴスロリというものが最近好きらしい。名称については上のレス達を見てほしい。「おねーちゃん、可愛い」一気に目が醒めた薔薇水晶は憧れの表情を見せながら私の頬に手を伸ばした。ゴスロリが可愛いのだろうか、私が可愛いのだろうか。「……私も着てみたい……」と、彼女は立ち上がると自らジャージのジッパーを下げはじめる。思わず飛び込みたくなる気持ちを押さえる。まだ早いぞ雪華綺晶。日曜日の午後がこんな小さなファッションショーに早変わりする、薔薇水晶の可愛らしいゴスロリファッションを見られるのだ。私は満足だ。一気に暇な午後が忙しくなる。このままなら今夜の夜も楽しめそうだ、と妄想を走らせながら私はカーテンを閉め、微笑を浮かべながらスカートを脱いだ。
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