母親メイデン
み「カナー、カナってば」金「みっちゃんちょっと待ってね。今はお姉さんとお話してるから」銀「浮かない顔ね」金「みっちゃんがあれ着ろこれ着ろ言ってくるのかしら」み「それはもうカナがかわいいから!」銀「ふぅん、普通は自分が着たいでしょうにね」み「カナってばもー、てれちゃって」銀「まぁ、でもそれくらいならいいんじゃない?」金「うん、でも、でも」銀「なによぉ?」金「自分の娘にあだ名で呼ばれるのってどうなのかしらTT」銀「隙が多すぎるのよ」み「カナこんどはこのふくをきてみてー!」母親メイデン1/8マスター→子ということで一つ。
母親メイデン2/8銀「(小声)ただいま~っと…」め「おかえりなさい」銀「寝てなかったの!?」め「…」コク銀「今日は遅くなるから寝てなさいって行ったじゃないの」め「やだ」銀「なんで?」め「…」銀「…」め「お歌…歌ってほし…ぃ」銀「歌って…それだけのために?」め「…」コク銀「しかたないわねぇ」銀「♪からたちの花が咲いたよ…♪」め「…」銀「青いあおい…♪」め「zzz…」銀「眠れなかったのよね、本当は寂しがりやなんだから」銀「まったく、寝顔は天使みたいね」
母親メイデン3/8の「あぅぅ…ジュンくん…」ジ「ぐすっ…」真「どうしたの?」の「あの、ジュンくん幼稚園でめぐちゃんにからかわれたんです」真「いいこね、のり。でも私はジュンに聞いているの」真紅はしゃがみ、泣きべそをかいてうつむくジュンと目線を合わせる。真「さ、言ってごらんなさい」ジ「のりねえちゃんに…ふくかんがえてあげたら…めぐちゃんに『おんなのこみたいおかしい』って」真「それから?」ジ「へんとか、よわむしとか、おねえちゃんがきたら、あっちいっちゃった」真「それでおわり?」ジュンはこくりと頷く。真「そう」真紅は手を伸ばした。しつけに厳しい真紅がジュンを叩くのかと思って、のりはどきどきした。真紅はジュンの頭にぽんと手を乗せる。真「女の子にやり返さない貴方は優しいわ」そのまま、自分の胸にジュンを引き寄せ、ジュンの頭をなでながら言った。真「よく頑張ったわね、ジュン。貴方はなにひとつ恥じる事はない。だから、誇り高く胸を張りなさい」真紅の胸から離れた時、ジュンはもう泣き止んでいた。真紅は立ち上がり、ジュンと手をつなぐ。ジュンの指の感触は長く、華奢で、そして暖かかい。真「その指はきっと魔法の指だわ 今に王女のローブだって作れるわ」ジ「…うん」真紅の嬉しそうな笑顔につられて、ジュンはにこりと笑った。真「いい子ね。ジュン」
母親メイデン4/8槐が床に腹這いになって、画用紙に向かっている。薔「何を…描いてるの?」槐「ふくです。おかあさま」薔「海…」槐「それはふぐです」薔「ぶたさん…」槐「それはにく。ようふくです。どれすです。ぷれたぽるてなんです」薔「…ジュン君?」槐はコクリと頷く。槐「わがらいばるはきょうもぜっこうちょうで、ぼくもまけていられません」薔「がんばって」槐「はい」薔「じゃあ…ご飯作るね」シュルリ槐「くっ」ガバァ槐は突然起き上がった。薔「…お絵描き、は?」槐「エプロン姿だけはみのがさん!!!」槐(ちょっとしせいをかえただけです)槐「ふぅ、ごまかせた」薔「声…逆」槐「はうあ!」
母親メイデン5/8ジュンが二人いるのは仕様です。翠「さて、洗い物でも片付けますか」翠星石はエプロンを手に取る。翠「あれ、小麦粉ですかね?」翡翠色のエプロンの裾あたりに、白い物が付いている。翠星石はエプロンをたぐった。翠「薔薇?」エプロンには白い糸で綺麗な薔薇が縫い取られている。翠(草原に薔薇が一輪咲いてるみたいですね。)ジ「ぼくがししゅーしたんだよ!」食器棚の陰から、ひょっこりとジュンが顔を出した。ジュンが期待のまなざしで翠星石を見ている。翠「ふうん、まぁまぁがんばったじゃないですか。…あ!汚れた手でエプロンに触ってないでしょうね!?」ジ「ちゃんとてあらったよぅ!」ジュンが必死で抗弁するのも聞かず、翠星石はジュンに両手を広げさせ、表裏よく観察した。翠「今日はちゃんといいつけを守ったようですね」翠星石は内心ほっとした。本当のところ、針を手にさしていないか念入りに調べていたのだ。翠「さ、お母さんはお菓子を作るから、他のところで遊んでなさい」ジ「スコーン?」翠「もちろんですぅ」ジ「やったぁ!」ジュンはキッチンから出て行く。翠星石は静かにキッチンの扉を閉じた。そのまま何かを堪えるようにかがみこむ。翠「くぅ~」ジタバタ翠星石は携帯を取り出し、一番よく使う短縮を押した。翠「もしもし、蒼星石ですか、ちょぉっと聞いてくださいよ、家のチビがですね…」
母親メイデン6/8麦藁帽子に半ズボン、吊りベルトに白いシャツ、手にはバケツさらにその中にはスコップ如雨露種、鋏。一葉は立派な小さな庭師だった。庭師らしく、胸を張って一葉は言う。「にわしです」かわいい、と言いかけてから、蒼星石は言い直した。「立派だよ」一葉は力んで言う。「あおいばら」「うん」「ぼくがたくさんさかせます」「ふふ、頑張って」一葉は撫でられている間、猫のように目を細めていた。「はい」元気よく一葉がうなずく。そのまま庭に行こうとして…やっぱりやめて、蒼星石をちらちら見ている。「?…あ」蒼星石は一葉をもう一度撫でてやった。一葉が出て行った後、蒼星石の顔は綻んだ。「本当は甘えんぼなんだから…誰に似たのかな?」
このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー と 利用規約 が適用されます。
1文字以上入力してください
本文は少なくとも1文字以上必要です。
1文字以上入力してください。