甘い保守シリーズ13
121:怖い保守を致すのだわ「なにか………いきなり水銀燈が震えているのだけれど」「気にしないで良いわよ――さ、次は誰が話してくれるの?」「(次?)――んー、じゃあ、真紅。頼めるか?」「私から?いいけれど………そうね、じゃあ、こんな話を。 ――ある男性………T氏としましょうか。 彼は、その日が来るまでごく平凡に暮らしていたのだわ。 普通に仕事をし、平均的な収入を得、平坦な毎日を過ごしていたの。 だけど………彼は、出会ってしまったの。 自分と、顔も声も――全てが同じ人物に」「あぁ、ドッペルゲンガーか」「『自分と同じ顔の人は三人はいる』とも言うわね」「………落ちを先に言わないで欲しいのだわ」「ふふ、無様ねぇ、真紅。そんな話、みんな知ってるわよぉ」「うぐ………でも、初めて聞いた時は怖かったのだわ!」「それが無様って言うのよぉ。大体、顔も声も同じ人間なんて、早々――」「………水銀燈、水銀燈」「何よぉ、めぐぅ?今、いい所なんだからぁ」「テレビをぽちっとなっと」(ピッ― ラクス・クライン、デース ―「――!!?? ちょ、ちょっと、今の声、私とそっくりぃ!?」ピッ)「発声の仕方は違うけど、似てるわよね。あーぁ、水銀燈もあと少しで見納めかぁ」「な、なんで拝んでるのよぉ!?あぅぅぅ………」「………めぐ先生、何故か時々、水銀燈には凄く意地悪なのだわ」「いや、今のはやきもちだろ。多分」
122:怖い保守を致すわぁ「怖くないぃ、怖くないぃ………」「水銀燈、煩い。――真紅ちゃんが話したんだから、次は貴女が話しなさいな」「焼餅だろうけど、容赦がないんだよなぁ。まぁ、次の話は頼むよ」「うぅ、わかったわぁ………んー、あんまり知らないけどぉ………。 とある田舎町のお話。 その町には、西欧からの移住者が多く住んでたのよぉ。 自由の国に来ても、そこは封建的な制度に縛られていたわぁ。 小さないがみ合いは日常茶飯事、だけど、なんとか人々は平穏に暮らしていたの。 ――町の近くの森から、異形の者………首なし騎士が現れるまでは………」「………って、貴女も真紅ちゃんの事言えないじゃないの。デュラハンでしょ?」「あ、めぐ先生、違うと思うのだわ。多分――」「ぶっぶぅ、先読みは外れよぉ、めぐぅ。格好悪ぅい♪」「………………」「す、水銀燈、それ位にした方が………僕もめぐ先生と同じ様に考えたし………」「このお話に出てくるお化けは―正式名称は不明だけど―『スリーピーホロウ』って言うのよぉ」「………………ふーん」「大体、『デュラハン』ってヨーロッパのお化けでしょぉ? 自由の国―アメリカのお話だって、最初に言ってるじゃないのよぉ」「………そうなのよね。私も其処で気が付いたんだけど………マイナーなお話だと思うのだわ」「ぁん、真紅はちょっと黙ってなさぁい。珍しくめぐに『教えて』あげてるんだからぁ♪」「水銀燈、あんまり調子に乗らない方が………」「――そう、ありがとう、水銀燈。代わりに、私も一つお話してあげるわ」「あらぁ、貴女に何が教えられるのぉ、先読み外れのめぐセンセェ?」「ふふふ、貴女と似たような話なんだけどね。 腹 な し ジ ャ ン ク の お話」「………………って、めぐぅぅぅぅ!?」「………なんで水銀燈が泣きそうになってるかわからないけど。まぁ因果応報か」
123:美味しい保守を致すなの「今日の晩御飯はお寿司なのー♪」「ぐる寿司(回転寿司)だけどな」「いいじゃない。どうせ、高いもの食べても味なんか其れほどわからないんだし」「さらっと毒を吐くな、毒を」「トモエ、はい、お茶なの」「――ありがとう、雛苺。はい、貴方も。おじぼり」「ん、サンキュ。と、雛苺、どれから食べる?」「うゅ?うと、うーと………あ、ハンバーグがあるの、それ食べるの♪」「………なんであるんだ」「最近の回転寿司じゃ珍しくないよ?――はい、どうぞ」「わーい♪あむあむもぐもぐっ」「――柏葉は?僕はとりあえず、赤だしを頼むけど」「あ、じゃあ私も頼んでもらえる?それと、えと、サーモンを………」「ん?サーモンなら流れててるじゃないか。是で――」「トモエは、わさび苦手なの。他にも辛いのも酸っぱいのも苦いのも苦手なの」「ひ、雛苺!?」「んじゃあ、赤だし二つとサーモンさび抜きを一つ、と」「あ、ゃ、苦手ってほどじゃ………!食べようと思えば………!」「そこまで必死にならんでも」「あれも美味しいの、是も美味しいの♪」「ふふ、嬉しそう、雛苺。――でも」「口元、マヨネーズでぐちゃぐちゃなのはちょっとな。口、閉じてろよ」「んー………って、二人とも、ヒナを子供扱いしてるの!ひどいの!」「いや、そんな事は」「うん、決して」「むぅぅぅ。――あ、そうだ………ね、ね、――苺を、た・べ・て、なの♪」「な!?ひ、雛苺、そんな淫らな………!で、でも………私のも………食べていいよ………?」「だからなんで、回転寿司にイチゴケーキと柏餅があるんだ」
125:美味しい保守を致すなの
「今日の晩御飯はお寿司なのー♪」「ぐる寿司(回転寿司)だけどな」「いいじゃない。どうせ、高いもの食べても味なんか其れほどわからないんだし」「さらっと毒を吐くな、毒を」「トモエ、はい、お茶なの」「――ありがとう、雛苺。はい、貴方も。おじぼり」「ん、サンキュ。と、雛苺、どれから食べる?」「うゅ?うと、うーと………あ、ハンバーグがあるの、それ食べるの♪」「………なんであるんだ」「最近の回転寿司じゃ珍しくないよ?――はい、どうぞ」「わーい♪あむあむもぐもぐっ」「――柏葉は?僕はとりあえず、赤だしを頼むけど」「あ、じゃあ私も頼んでもらえる?それと、えと、サーモンを………」「ん?サーモンなら流れててるじゃないか。是で――」「トモエは、わさび苦手なの。他にも辛いのも酸っぱいのも苦いのも苦手なの」「ひ、雛苺!?」「んじゃあ、赤だし二つとサーモンさび抜きを一つ、と」「あ、ゃ、苦手ってほどじゃ………!食べようと思えば………!」「そこまで必死にならんでも」
「あれも美味しいの、是も美味しいの♪」「ふふ、嬉しそう、雛苺。――でも」「口元、マヨネーズでぐちゃぐちゃなのはちょっとな。口、閉じてろよ」「んー………って、二人とも、ヒナを子供扱いしてるの!ひどいの!」「いや、そんな事は」「うん、決して」「むぅぅぅ。――あ、そうだ………ね、ね、――苺を、た・べ・て、なの♪」「な!?ひ、雛苺、そんな淫らな………!で、でも………私のも………食べていいよ………?」「だからなんで、回転寿司にイチゴケーキと柏餅があるんだ」
126:GWな保守を致すなの「えへへー、遊園地、楽しいの♪」「ま、遊園地って言っても、近所の小さい所だけどな」「いいじゃない、雛苺が楽しんでいるんだから」「巴様に同意ですわ。それに、ワタクシも、初めてですので………」「へ?雪華綺晶、お前、遊園地来た事なかったのか?」「あ、いえ、そう言う訳でもないのですが………」「うとね、雪華綺晶は外国の遊園地にはたくさん行ってるのよ」「ひ、雛姉様、恥ずかしいですわ………」「羨ましいの。今度は、ヒナも連れて行ってほしいわ」「………近い方のなら、まぁ、そのうち」「――ふふ、その時はワタクシも巴様も連れて行って下さいな」「ホラーハウス、あまり怖いものでもありませんでしたわね」「暗がりに浮かぶ、西洋人形然とした少女二人………僕でも、怖いかもしれない」「さ、流石にこの年でメリーゴーランドはちょっと恥ずかしかったかも………」「お、お前が『雛苺が乗るんだから以下略』って乗り込んでいったんだろ!」「――おーぃ、そこの少年少女たちっ!」「………ん?聞き覚えのある声が――って、みっちゃん先生と槐先生。こんにちは」「あぁ、こんにちは。今日は四人で――?」「ええ、ワタクシと雛姉様、巴様と………」「僕も………付き添いみたいな感じですけど」「ふーん、ついでみたいな感じで言うね。でも、周りにはそー思われてないんじゃないかなぁ」「………?どういう事ですか、先生?」「巴君と雪華綺晶君――二人の少女とデートしていると思われているようだ。雛苺君を緩衝材にして」「へ………?ぁ………言われてみれば。じゃ、じゃなくて!僕にそう言うつもりは――!」「というか、ヒナもレディなの!少女なの!むぅぅぅぅっ」
127:GWな保守を致すわぁ「ひのふの………うーん、そこそこ絞り込めた感じねぇ」「そこそこ………って、お前、もう何時間色んな服屋回ってると思ってるんだ………」「あらぁ、たった五店舗じゃないのぉ」「のべ回数で言ってみろ」「………30回位かしらぁ?」「数字を聞いて、眩暈がしてきた………」「――だらしないわね。………と、水銀燈。悪いけれど、もう何着か似合いそうなのを持ってきたのだわ」「休日を!思いっきり寝て過ごすはずだったGWを!丸一日潰させといて――!」「煩い。家でゴロゴロしている位なら、私達の荷物持ちをしていた方が有意義でしょう」「せめて疑問形で聞いてくれ………」「――ま、手加減はしているみたいよ。普段はもっと周るし」「めぐ先生………。適当に気にいったのを買う僕には、それだけ時間をかけるのがわかりません」「私もどちらかというと、貴方よりだけどね。 趣味に『ウィンドウショッピング』が罷り通るんだから、時間をかけるのもしょうがないんじゃない?」「――あらぁ………是もいいわねぇ。あ、そうだ、真紅ぅ、こっちは貴女の方が似合いそうよぉ?」「――どれかしら?………ちょっと、大胆すぎない?」「――偶にはいいじゃないのよぉ。私だって、珍しくロングスカート探してるんだしぃ」「――………そうね、試着してみる位ならいいのだわ」「………おぉぉぉ、また時間がかかりそうな遣り取りをorz」「崩れ落ちなくても。――しょうがないわね、じゃあ、ちょっとばかりこの時間を有意義にしてあげる」「………へ?」(――シャッ、シャッ)「………って、めぐ、何カーテン開けてるのよぉぉぉぉ!?」「………あ、貴方も活目してないで――!」「し、真紅ぅ、それよりも締めた方がぁ………」「ぁ、や、あ、あとで覚えておくのだわ!」「………………くろと、しろ………………」「有意義でしょ?」「はい、頑張れそうです!」「「なにを――よぉ!? ――だわ!?」」
128:理不尽な保守を致すわぁ「水銀燈、今日、ちょっと付き合ってくれない?本屋さんに行きたいんだけど」「じゃあ、駅前にでも行きましょうか?大型スーパーとそこそこ大きめの本屋さんもあるしぃ」「了解よ。………ま、それほど欲しいって訳でもないんだけどね」「そうなのぉ?めぐが自発的に動くのって珍しいと思うんだけどぉ」「そうなの。内容は知ってるしね。――とりあえず、行きましょうか」「………ないわね」「新書なら入り口前に平積みされてるけどぉ?」「あぁ、小説じゃなくて漫画なの。うーん、本屋さんの方に向かいましょう」「それにしても、毎月毎月ほんとにたくさん発行されてr」「ないわ。………家の近所にも本屋はあるから、そっちに行きましょ」「早っ!?ちょ、ちょっと、ほとんど見てないじゃないのよぉ」「――『私』がその表紙を見間違えるわけないもの」「ない………此処にもない………」「まぁ、大型書店になかったんだから、しょうがないわよねぇ」「く………っ、仕方ない………できれば避けたかったけど、学園(職場)近くに回るわ」「って、雨、降ってきそうなんだけどぉ?」「恒例ね。――ほら、急ぐわよ」「????」「――あったのぉ?………表情から察するに、駄目だったみたいねぇ」「ふ、ふふ………たった十日見逃してただけで………GW唯一の休みが徒労に………フフ」「(ほんとは欲しかったのねぇ………)――いい加減帰りましょうよぉ。洗濯物も出しっ放しだしぃ」「………水銀燈。そうね、帰りましょう………帰ったらお説教してあげる………フフフ、アハハハハハ」「な、なんで怒ってるのよぉ!?というか、私に説教!?理不尽にもほどがあるわぁ!」(七店巡ってもみつからなかったよ、新装版。ゥワァンorz)
129:サイカイの保守を致すわぁ(NGワード:yuriyuri ―理不尽な保守を致すわぁ―表話)「………どこまで、ほっつき歩いてるのよ」「――めぐ………。別に、私が何処をどう行こうが、私の勝手でしょぅ?」「それは………っ、………そうだけど」「ったくぅ、こんな天気の悪い日にそんな薄着でぇ。考えなしもいい所だわぁ」「………家を出た時は、晴れていたのよ」「はん、体弱いんだから、常時折り畳み傘ぐらい持っておきなさいな」「………病院にいた頃よりは、マシになってるわよ」「なぁに言ってるんだか。マシになってても、人並み以下でしょぅ?」「それはそうだけど………今日は、殊更険があるわね」「ふん………――と、十日も放っておいたんだから、当然の――」「………寂しかったの?」「だ、誰がぁ!そんな事一言も言ってないわぁ!」「………そっか。ふふ、帰りましょう、水銀燈」「何勝手に和んでるのよぉ、私は帰るなんて言って――!」「乳酸菌飲料あるんだけどなぁ、私だけで飲み切れるかなぁ」「………し、しょうがないわねぇ、手伝ってあげるわぁ」「あら、そう?ありがとう、水銀燈」「感謝しなさぁい。………けして、物に釣られて貴女の家に招かれる訳じゃないわよぉ?」「はいはい」「な、なによ、そのおざなりな返事はぁ!」「だって、私にとって大事なのは、『貴女が私と一緒に来ること』だもの。 目的が私だろうが、物だろうが、どうでもいいわ」「………おばかさぁん」「そうかもね。――それと………おかえりなさい、水銀燈」「ふ、ん………――ただいまぁ、めぐぅ」(128投下前に乳酸菌飲料買って帰ったら、外食の後に新装版を見つけました。
130:GWな保守を致すですぅ「お、おばば、えとですね、ちょいとちょちょいと五月のお菓子を教えてほしいのですが」「五月のお菓子??………どういうのがあったかしらね」「ぅ………そ、そーですね、こぉ、白くて甘くて――」「うにゅー?」「苺大福じゃないですよ、柏餅ですぅ!――ぁ………っ」「ふふ、誰にあげるのかしらね」「ぇ、ぁ、その、お、おじじですぅ!」「じゃあ教えません」「えぇ!?ち、違、ほんとは、その………っ」「同年代の子達にならともかく、私にまで隠す必要はありませんよ、翠ちゃん」「あぅぅ………別に隠すとかそういうつもりは………ただ、チビ餓鬼はGWも暇だろうから――」「――『チビ餓鬼』君に食べてもらうのね」「………あぁ!?ひ、卑怯ですよ、おばば、誘導尋問ですぅ!」「はいはい、じゃあ、材料を揃えないといけませんね」「ふわぁー………さすが、おばばは手慣れてますねぇ。美味しそうですぅ………」「ありがとう。さ、次は翠ちゃんの番ですよ。私達は出掛けますからね」「えぇ!?す、翠星石、横で見てただけですよっ?それに材料もおばばが作った分でなくな――!」「翠ちゃんなら『見てた』だけで作れるでしょう?材料の方も――」「――あぁ、そろそろ来るんじゃないかの。ばぁさんが作りだした頃に連絡入れたし」「………へ?おじじ、連絡って………」(ピンポーン「――こんにちは、柴崎先生。言われたとおり、上新粉と白玉粉、粒あん買ってきましたけど」「ち、ちちちちちちび餓鬼!?な、なんでお前ぇがいるですか!?」「いや、なんでって………先生に半ば強制的に来るよう言われたんだけど」「――ふふ、後は若い二人に任せて………元治さん」「うむ、ワシらも出かけようかの、まつ」「いや、どー考えてもお二人の方が………行っちゃったよ。どうしようか、これ」「し、仕方ねぇです、翠星石がそれを有効利用してやるですよ(――ありがとですぅ、おじじ、おばば)」
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