巴メイデン331~340
~恋をしようよ~331巴「5月、か…」雛「もうぽっかぽかなのよー」巴「…暑いくらいかも…」雛「うゅ…着すぎると暑いし、でも半袖じゃ寒いの……」巴「難しい季節だね」雛「…で、すぐに夏になっちゃうわけだけど、トモエはいいの?」巴「え?」雛「二年目の春も、なーんにもおこんないで、このままでいいの?」巴「…よくない…!」雛「…トモエ…?」巴「雛苺、よく聞いて、私…今度こそ、やるから」雛「それって、もしかして…!」巴「うん…勇気、出さないと。…女の私からっていうのもちょっと情けないけど、 こうでもしないと、いつまでも進展しなさそうだし……」雛「トモエぇ!ヒナ応援するのよ!」巴「クス、ありがと…」雛「…でも、どうして急に?」巴「ふふ…なんでかというとね…」雛「うぃ?」巴「春、それは…恋の季節だから!」雛「恋の季節(笑)」
332雛「ごめんねトモエー、機嫌なおしてほしいのよー」巴「……別に……機嫌悪くなんて……」雛「だって、トモエの口から”恋の季節”だなんてあんまりにもらしくなかったんだもん… それはひょっとしてギャグで言ってるのかっていう感じだったのー」巴「雛苺…口悪くなったよね……」雛「うゅ?」巴「…小首かしげて目きらきらさせて…その天使のような笑顔で、いったいどれだけの人を欺いて…」雛「……ヒナ、そんなつもりないの」巴「え?」雛「時々…言われるの、そういうこと。でもね、トモエにだけはわかってほしいの」巴「雛苺…」雛「ヒナは…ヒナは…」巴「ああ…ごめんね雛苺、いいの、もういいのよ…!」雛「ヒナは人一倍純粋で素直なだけなの!!」巴「たち悪い」
333巴「……とにかく、世の中には思っても言っちゃいけないこともあるの、わかった?雛苺」雛「うぃ、気をつけるの!でもヒナ素直だから…」巴「…それとね、素直とかは、あまり自分で言わない言葉だから…」雛「了解なのー」ジ「よぅ、柏葉に雛苺。こんなところで何はなしてるんだ?」巴「あ…桜田くん…!」雛「ワクワク」巴「その……元気?」ジ「ん?まぁ、元気だけど」巴「そ、そう……」ジ「うん」巴「……」ジ「……」雛「……トモエ……」巴「…!だ、だって…急に出てくるから……」ジ「柏葉?なんの話?」巴「な、なんでもない!……やっぱりだめ、雛苺、私、心の準備してくるから…ここはお願い!!」ダッ雛「と、トモエーっ!?」ジ「どこへいく!?」雛「……行っちゃったの」ジ「どうしたんだろう?」雛「えっとねー、トモエは告白する心のじゅんb…ハッ」――世の中には思っても言っちゃいけないこともあるの、わかった?雛苺。ジ「なんだって?」雛「……」ジ「?」雛「きっと生○なの」ジ「○理か」
334巴「人形に老廃物はないのっ!」ジ「うわぁっ!いきなり変なこといいながら出てくるな…って、どうしたのそのカッコ…」巴「これは…言うなれば戦闘服ね」雛「トモエ……何言ってるの……」ジ「どう見てもスクール水着なんだけど」巴「つまり、戦闘服」雛「まさかそれがトモエの勝負服…」巴「ご、誤解しないで…。これは対桜田くん専用スーツなんだからね?」雛「うゅ…そうだったの…」ジ「いや納得するなよ!なんで僕スク水フェチみたいになってるのさ!」巴「違うの?」ジ「違うよ!勝手に僕をそっちの人間にしないでくれ!」巴「桜田くんが好きだと思ったのに…」ジ「冗談じゃない!!迷惑な勘違いだよ!」巴「そんな……なにもそこまで……」ジ「僕が好きなのは旧タイプなんだ!!!」
335巴「私としたことが…リサーチ不足だったなんて…」雛「トモエ…落ち込まなくていいの…むしろジュンのリクエストになんて答えられないほうがいいのよ…」巴「いいえ…そういうわけにはいかない…! でも…旧タイプのスクール水着なんてもってないし…どうしたら…」み「呼ばれて飛び出てジャジャジャジャーン!みっちゃん登場!」巴「呼んでないです」雛「登場の仕方が昭和なの」み「ええ!?なんか歓迎されてない感じ!?……ふっ、けどそんなことでめげるみっちゃんじゃなくてよ! 私の秘蔵コレクションをいまこそ解き放つとき!」巴「えっ…もしかして草笛さん…もってるんですか!?」み「もちのろん!このドールコレクターみっちゃんにもってないものなどないわー!」雛「トモエ気をつけるの。みっちゃんのお古なんて旧旧タイプかもしれないの」み「旧旧スク水って私のこと何歳だと思ってるの!?っていうかお古じゃないから!!」巴「だいじょうぶよ雛苺。こういうことにかけては、この人ほど信頼できる人はいないもの」み「ふっふーん、巴ちゃんたらうれしいこと言ってくれるじゃないの~」雛「果たしてそれが褒め言葉かどうかは疑問なの」み「さぁ巴ちゃん、この旧タイプのスクール水着で、ジュンジュンのハートをロックオン!」巴「でも…どうしてそんなに協力してくれるんですか?大切なコレクションまで貸してくれて…」み「そりゃあ…巴ちゃんがかわいいからっていうのが一つ、 いい加減あなたたちの関係がもどかしいっていうのが一つ」巴「草笛さん…」み「若いっていいわねぇ」巴「ありがとうございます」み「いいのいいの!だって……春、それは恋の季節だから!!」巴「恋の季節(笑)」
336雛「恋の季節(大笑)」翠「恋の季節(爆笑)」蒼「恋の季節(苦笑)」薔「恋の季節(冷笑)」紅「恋の季節(失笑)」銀「恋の季節(憫笑)」雪「恋の季節(嘲笑)」の「もうやめて!みっちゃんのライフはとっくにゼロよぅ!」み「あんたらねぇ……」
337巴「っていうか、みんないつの間に…」紅「巴がジュンにちょっかい出してるときいて見に来たんだけど、どうやら無駄足だったようね」巴「情報早いのね…」翠「ふ、ふん!翠星石はどーでもよかったのですが、真紅が行くといってきかないものですから、 仕方なくついてきてやったのですぅ!」銀「あらぁ、私の記憶では、誰よりも真っ先に飛び出したのは翠星石だったと思うけどぉ?」翠「ななななな!なに言って…!」巴「ちょっとみんな自重して…あなたたちにしゃべられると、私の立場が……」み「それよりも!!なんで巴ちゃんが言ったときにはせいぜいヒナちゃんだけだったのに、 私が言ったら全員でつっかかるのよ!不公平じゃない!!」蒼「それは……ねぇ」薔「……年の差(ボソッ」み「!!う、うわぁぁぁん!!!みんながいじめるぅ! あ…でも、カナ!カナだけは私を笑っていなかったわ! やっぱりカナは私の味方ね、カナ、カナはどこにいるの!?」雪「そこに倒れているようですが」み「倒れて!?私のカナが!?いやぁぁぁカナぁぁぁ死なないでぇーー!!なにがあったというのー!?」金「ヒィ…ヒィ…カシラー」み「……あれ?」巴「文字通りの抱腹絶倒…笑いすぎてピクピクいってるみたい」み「カーーーーーーナアアァァぁぁぁぁ!!!??」
338巴「打ちひしがれてる草笛さんはともかく、この旧タイプスクール水着さえあれば、恐れるものはないわ」雛「まだなにかするの……」巴「これで今度こそ、桜田くんを……!」雛「もう勝手にしたらいいの」ジ「柏葉まだいたの……か……!?」巴「あ……桜田くん……」ジ「お前、それは旧タイプの……」巴「ど、どうかな……」ジ「ごくり……うん……に、似合ってるんじゃないかな……」巴「桜田くん…!実は、私……」ジ「う、うん……」巴「……」ジ「……」巴「……」ジ「……」巴「何故か告白する気になれなくって…」雛「あれは別に告白するムードじゃあないの」
339巴「冷静に考えてみれば、スクール水着着たからって別に勇気がでるわけじゃないのよね」雛「ここまできてようやく得た結論がそれなの」巴「なにか、根本的に間違えていた気がする…」雛「それは間違いないのよ」巴「いったいなにを間違えて…」雛「あえていえば全部なの」巴「春なのになぁ…」雛「…うー…春っていっても、もう5月だし、どっちかっていうと、初夏って感じなのよ…」巴「…そっか、つまり…春じゃなかった、つまり、恋の季節は終わってたってことかな…」雛「そういう問題じゃないと思うけど…」巴「でも、夏にはロマンスがあるわ」雛「トモエー懲りてないのねー…」巴「夏といえば海…海といえば水着…桜田くんの好きな水着は…スクール水着!」雛「無限ループ怖いの」
340ジ「柏葉、なにか勘違いしてるようだけどさ、たしかに僕は水着の中では旧タイプのスクール水着が好きだけど、 総合的にはそれほど好きなわけじゃないんだ」巴「そうなの?」ジ「うん、肌は露出すればいいってもんじゃないしね」巴「そういえば、桜田くんにつくってもらったドレスは露出度低かったっけ…」ジ「でも露出が嫌いってわけじゃないよ?けどさ、水着はなんかもう、それで完成じゃないか」巴「それはつまり…」ジ「一言で言うと、チラリズム的なものがさ」巴「水着だってあると思うけど…」ジ「……水銀燈みたいに胸が大きかったりすれb……や、なんでもないです、はい」巴「うーん、とにかく、スカートのほうがいいってこと?」ジ「そうだな。特にプリーツが細かく入った、丈は短くて素材も薄めなやつだといいかも」巴「細かい指摘が気持ち悪いけど、それなら心当たりがあるわ」ジ「そんな服もってたっけ?」巴「うん。ちょっと待っててね……ガサゴソ」∴巴「結局、制服が一番だったのよ。灯台下暗しってこのことかな」雛「……それで、当初の目的はどうしたなの?」
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