決意
―某月某日薔薇駅。
雛「水銀燈ならぜったいぜったい出来るの!がんばってなの!」姉妹の中でも1番幼く甘えたがりで、いつも無邪気で可愛かった雛苺。
金「姉さまなら心配ないかしら!絶対立派になって帰ってくるかしら!」自称1番の頭脳派で、雛苺と二人でいつも姉妹を盛り上げてくれた金糸雀。
蒼「頑張って水銀燈。僕達姉妹はどこにいても一緒だよ?辛かったら何時でも帰って来てね。」個性的な姉妹の中での纏め役で、いつも私を助けてくれた蒼星石。
ドアの前に立ち私は姉妹達と向き合う。銀「皆今までありがとぉ。私の我が儘でお家を空ける事になってゴメンなさい。でも…私はあの子の力になりたいのよぉ。許してね…。」
蒼「これ僕と翠星石で作ったんだ。電車の中で食べてね。」かわいらしいお弁当箱を渡してくれる蒼星石。心なしか目が赤い。そして照れ臭いのか顔を背けてしまう翠星石。この子なりの愛情表現な事を姉妹は皆解っている。
銀「ふふ、有難う。楽しみにしてるわぁ。」
―ルルル。電車のベルがなる。
銀「そろそろだわぁ…」紅「水銀燈。」銀「なぁに?真紅。」紅「頑張って。貴女なら絶対に大丈夫だわ。」銀「貴女がそういってくれるなんて嬉しいわぁ。ふふ、ありがとっ。」紅「遠く離れていても私達はいつも強い絆で結ばれているわ。私達は姉さんの帰りをいつまでも待っています。いってらっしゃい!」姉妹の中にあって1番大人びていたけれど、いつも私の側を離れず寂しがり屋の妹だった真紅。
―そして
薔「……銀ちゃん。」そっと抱きしめてくれる薔薇水晶。感情を素直に表現する事が苦手な子だったが、いつも私を暖かく包んでくれた。この暖かさがもう感じられない事がとても寂しい。
―間もなく東京行の電車が発車します。意を決して電車に乗り込もうとした私に、蒼星石に促されて恥ずかしそうに声をかける翠星石。
翠「え、えっと…。」銀「なぁに?翠星石。」翠「ち、ちゃんとご飯は食べるですよ?それから部屋の掃除はしっかりやるです。水銀燈はめんどくざかりやのへっぽこですから翠星石は心配でしょーがねーです!それから…えっと…えっと…ぐすっ…淋しいですぅ……いかないで……。」銀「必ず戻ってくるから心配しないのぉ。ちゃんと毎日連絡もするし夏休みには帰るわぁ。皆をよろしくね?翠星石。」翠「うぅ…戻ってこなかったら絶対に許さないですよ…?」
電車のドアが閉まる。泣きながら手をふってくれる姉妹達。
「「「水銀燈!!!頑張ってね!!!」」」
電車が動きだした。18年間過ごした街が少しずつ遠ざかっていく。
―めぐを救い出すまでこの街には帰らない。私はそう決意して旅立った。
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