雪華綺晶短編11
雪「はぁ…」ジ「どうした?ため息なんかついて…」雪「ジュン様…どんなに想っても叶わぬ想いとは辛いものですわね…。」ジ「ど…どうした?急に…まさか誰か好きな人でもできたのか?」雪「はい……私はこんなにも恋い焦がれていますのに…あぁ、何故!…何故食べれないんですの!?ニホンカモシカ!!」ジ「当たり前だ!」雪「あうぅ…ならばせめてオオサンショウウオを…」ジ「それも天然記念物だっての!」
雪「ジュン様の家の前で待機して、ジュン様が出てきたら捕獲して、 屋敷に監禁してばらしーちゃんと一緒にあんなことやこんなことを… 完璧ですわ!明日が楽しみです。フフフ……」 次の日の「あら、雪華綺晶ちゃん。どうしたの?今日はジュンくんいないわよ?」雪「(´・ω・)」
殺人的な料理の業前を持つ女はその料理を完食させる事が出来るのか?宇宙的な胃袋を持つ女は殺人的な料理を完食する事が出来るのか?「出来るのだわ」「出来ますわ」見よ!異形と化すまでに練り込まれたハンバーグ見よ!万力の如くフォークを締めつける空腹の指先「読めぬ…勝負の行方が全く…」「真紅の料理に手ぇつけるなんざ正気の沙汰じゃあねぇです…」「でも、あのきらきーならあるいは…!」屹立した真紅のハンバーグはある種の威厳を備えていた「げに…げに恐るべき料理。くんくんが科人を追い詰めるが如き威容」「(さっきからジュンがノリノリですぅ)」「きらきーをよく見てジュン…あれが科人の貌かな?」「透き通っておる…」「参りなさい暴力女。貴女の作った料理とやら今日この私が一口に飲み込んでやりますわ!」「不器用な人ね貴女は。私がいなければ今頃…」私が食うのではない。私が食われるというのだ。雪華綺晶は微笑むそんなことを食に飢えた私のこの無敵の牙が許すと思うか?残酷無惨試食対決、開幕す!つづけない
今日は雪華綺晶宅で食事会です。雪「遠慮なさらずたくさん食べていってくださいね♪」J「ありがとう、雪華綺晶。」銀「ところで、今日はどんなメニューなのぉ?」雪「ふふっ、秘密です。ただ、私もまだ味わったことのないものとだけ言っておきますわ。」紅「貴女にも食べたことのないものがあったのね。なんだか楽しみなのだわ。」雛「そんなことよりヒナもうお腹ペコペコなの~!」金「今日はきらきらのご招待だからご飯を抜いてきたかしら~!」雪「ふふっ、そうですか。では…ラプラス、早速運んでくださいまし。」ラ「かしこまりました、お嬢様。」まず運ばれてきたのは前菜のカルパッチョであった。薔「美味しそう…。」蒼「綺麗なピンク色だね。鮭か何かかな?」雪「ふふ、とにかく、召し上がりましょうか。では皆様…」一同『いただきます。』皆ナイフとフォークを持ち、一斉に料理を口に運ぶ。J「ふむ…なかなかイけるな。」翠「うぅむ、独特な感じですねぇ…でも悪くねぇです。」皆空腹だったのか、差し出された前菜はあっと言う間に腹に収まってしまった。雪「では、次を…」ラ「はい。」次に差し出されたのは魚料理である。蒼「これは…形は鮎に似てるけど何か違うような。」紅「鮎のような香りはしないわね。でもこれも美味なのだわ。」J「ヒレからして川魚みたいだけど…外国の魚なのかな?」雪「いえ、今回のお料理の食材は全て国産のものにこだわってますの。」J「へぇ、まだまだ知らない食べ物があるんだな。」そしてスープ、鶏肉などの料理が続いたのち…ラ「本日のメインディッシュでございます。」メインディッシュとして運ばれてきたのは厚く切られて香ばしく焼かれた肉料理であった。雛「わぁ♪美味しそうなの~!」翠「くぅ~、こいつを待ってたんですこいつを♪」雪「ふふっ、私もですわ…では。」ーーパクッ。J「…美味い!」紅「えぇ、牛肉に近いけど、より締まった肉質ね。」蒼「脂肪が少ない分、本来の味がよくわかるね。美味しいや。」雪「本当ですわ。わざわざ苦労してお取り寄せした甲斐がありました。」そしてその肉料理を食べ終わる頃、おもむろに雪華綺晶が口を開いた。雪「皆さん…私思ったんですの。」J「ん?何をだ?」雪「世界には絶滅の危機に瀕し、保護されている動物が多くいますわよね?」蒼「うん、それがどうかしたのかい?」雪「ですが…その数を実際に誰がいつどうやって正確に数えているのでしょう?もしやそれは国家ぐるみの謀なのではないかと私は考えましたの。」銀「謀って…誰が何のためによぉ?」雪「もしかして、それらは国の重要人物たちが自分たちだけが舌鼓を打てるようにとありもしない規制をかけているだけなのではないでしょうか…?」薔「そんな…まさか……」雪「いえ…きっとそうですわ!こんなに美味しかったんですもの!」………………一同『…へっ?』雪華綺晶の言葉を受けた一同は一斉に目を点にした。銀「ど…どういう意味なのぉ?」水銀燈は冷や汗を垂らしながら恐る恐る雪華綺晶に尋ねる。雪「ですから…今食べたディナーのことですわ。言いませんでしたか?『私も食べたことのない食材』と…」一同『…あ。』その言葉に全員が冷たい汗を全身にかく。紅「き…雪華綺晶、まさか…さっきの料理は…」雪「はい♪前菜のカルパッチョはオオサンショウウオのお肉、魚料理はアユモドキ、スープはウミガメ、サラダにはカブトガニ、鶏肉にはツル…そしてメインはニホンカモシカですわ♪ いやぁ、入手するのには流石の私も苦労しました。」一同『やっぱりかぁああああああああ!!』雪華綺晶を覗く全員は顔面蒼白のまま絶叫した。それもそのはず…今挙げられた生物は全て捕るのも飼うのも、ましては食べることなど言語道断の天然記念物ばかだからである。金「なっ…なんてものを食べさせるのかしらー!?」雪「別に毒や人肉を食べさせたわけではありませんわ。そう怒らないでくださいまし。」翠「だ…だからってこんなこと知られちゃ全員ブタ箱行きは確定ですぅ!」雪「そうですわねぇ。」薔「そ…そうですわねぇって…お姉ちゃん…。」蒼「まさか…君は最初から僕らを共犯にするために?」雪「ふふっ…旅は道連れ、一蓮托生というでしょう?それに、このことを口外にすれば自分たちもタダではすみませんわよ?」ニヤリ一同『ぐぬっ…(こ…この外道が!)』雪「皆さん、もう後戻りはできませんことよ?うふふっ…♪」自らの食欲のためなら友人すら罪に巻き込む食欲魔人雪華綺晶。彼女が日本のみならず世界中の希少生物をその胃袋に納める日はそう遠くないのかもしれない…。完
ジ「声マネ?」雪「そうです。私、結構声マネ上手いんですよ」ジ「意外だなぁ。あ、あんなところにオディールが」雪「実に都合がいいです。では、ちょっと声マネして呼んでみましょうか」ジ「オラ、なんだかワクワクしてきたぞ」雪「おーい。オディールぅー。こっちよー」オ「この声は、雛苺?」キョロキョロジ「う、うめぇ…」雪「こっちこっち、なのー。はやくくるのー!」オ「…うーん、確かにこっちから雛苺の声が聞こえた気がしたんだけど…」ジ「よう、オディール」オ「あら、桜田さん。…ねぇねぇ、この辺りで雛苺、見なかった?」ジ「どうして?」ニヤニヤオ「雛苺が私のこと呼んでたのよ。確かに」雪「それは私です、オディール」オ「そんなわけないじゃない。あれは確かに雛苺だったわ」雪「そんなに似てた? うまくいってとってもうれしいのよー」オ「!?」雪「こういうことですよ」ニコニコ オ「やだ、凄いそっくりじゃない、雪華綺晶」ジ「ところで、他の奴の声マネはできないの?」雪「あとは蒼星石の声マネもできますわ。今はそのくらいしかできませんね」ジ「なんかまた全然声の質違うな」雪「原作の方でまたリタイアする子が出てきたら、レパートリーも増えるかもしれません。うふふ」ジ「その笑顔がものっそい怖いんだけど」雪「うふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふ」終
雪「世界の食材は食べ飽きましたわ。」J「新しい味を求めるのか?世界はここだけなのに?」雪「うちのラプラス……おかしいと思いませんこと?」J「見た目は兎だが……もしかして……」雪「違いますわ!でも直立二足歩行する兎……変だと思いませんか?」J「う……確かに……あいつは」雪「未確認生物ですわ♪電波入ってる云々ではなく、ラプラスは未確認生物、だから他にも未確認生物が居ると思いますの。」J「捕まえる気なんだな?」雪「私は欲望に関しては貪欲にいきる主義ですの、まずはケツァルクァトルですわ♪早く行きますわよ、JUM様♪」J「皆…バイバイ…食われてくるよ。」
運命……不変で有変、全ての世界の矛盾。予測はできないが予想はできる。「んん……。」「やっと起きたか、おはよ。」……あ、授業中寝てしまったのか……迂濶……「どした?」「えっと、あの……おはようございましゅ……。」呂律が回らない。寝起きだからか………。彼はなぜここに居るのだろうか?「起きるの待ってたんだぜ?雪華綺晶。」「………………。」顔が赤く染まる。寝顔を見られたようだ。正直恥ずかしい……。「早く帰ろうぜ?」「あ、……はい。」恐らくうまく笑えたはず。「あの……、待っててくれて……ありがとうございます……。」蚊の鳴く声よりは大きい声だっただろうか?あまりに恥ずかしくて……嬉しくて声が出せない。でも感じるのは……『シアワセ』……多分そんな感じ。終
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