「新説JUN王伝説~序章~」第24話
「新説JUN王伝説~序章~」第24話現在時刻は18時。入浴を終えたジュン達は部屋で各々の時間を過ごしていた銀「Qのスリーカードよぉ。」翠「ひょえ~!まーた水銀燈ですかぁ!?」薔「私はAのワンペア…ビリはブタの翠星石……」翠「くっ、まだです!まだ勝負はこれからです!」銀「約束の5敗まであと一回よぉ?負けたらちゃぁ~んと罰ゲームするのよぉ。」翠「うっせぇです!わかってるからさっさとカードを配るです!!」翠星石、水銀燈、薔薇水晶の3人はポーカーを…紅「ちょっと!静かにして頂戴!お茶が不味くなるのだわ!」蒼「まあまあ、そんなに怒鳴らなくてもいいじゃないか。」紅「まったく…ジュン!新しい紅茶を淹れなさい、今度はセイロンよ。」ジ「僕にのんびりする時間はないのかよ…」真紅、蒼星石はお茶を…勿論淹れているのはジュンであるTV『♪そっおっだ!悲しいんだ生ーっきるっ苦っしっみ♪』雛「あ~、こんな時間に闇パンマンの再放送やってるの~♪」金「わ~い、黒いかしら!観るかしら~♪」ジ(お前ら…無邪気な顔して何てモンを…)金糸雀と雛苺はテレビにかじりついている。そんな中、ソワソワと落ち着かない少女が1人雪「うぅ…」ソワソワジ「雪華綺晶…?どうかしたのか?」その少女…雪華綺晶の様子を見たジュンが問いかける雪「ジ、ジュン様。いえ、実は…」次の瞬間…『ぐきゅるるぅ~…』突如部屋中に奇妙な音が鳴り響く。一同その音に振り返りしばしその時間を止めた。そう、それは雪華綺晶のお腹の虫であった雪「はうぅ…実は先程から空腹が限界レベルで…フロントからの夕食の電話を今か今かと待ちわびていたのです…。」ジ「…」雪「あぁ…だんだんと雛苺さんが苺大福に、金糸雀さんが玉子焼きに見えてきましたわ…」ジュルッジ「OK、ストップ。わかったからまず涎を拭け。今のお前が言うと洒落になんないから。」雪華綺晶の持つ人知を超えた胃袋を知るジュンには雛苺と金糸雀を頭から貪る彼女の姿がリアルに想像できたジュンは雪華綺晶の目に雛苺たちが写らないように必死にその視界を遮る雪「あら…?よく見ればジュン様もなかなか…」ジ「な…何だよ?」雪「オ イ シ ソ ウ…」ジ「!?」雪華綺晶の小さな口の端が白い歯を見せながらにたりと歪む。外気に晒された金色の左目は獲物を間近に控えた肉食獣のように爛々と不気味な光を宿していた←(原作・42話参照。)ジ「ちょっ…!雪華綺晶さん!?うっ!」ジュンの両腕を雪華綺晶の白い手が掴む雪「だァれが食したジュン様を…」雪華綺晶の顔がジュンに近づく…雪「そオれはわたし…わたしなの…」ニタァ…ジ「うっ…うわぁああああああああ!!」迫りくるその狂気には悲鳴を上げるジュン。だが、そこに間髪を入れず2つの影が駆け付けた紅「雪華綺晶!気持ちはわかるけど自重しなさい!」蒼「ジュン君を食べても美味しくなんてないよ!?」雪「そんなこと食べてみなければわかりませんわ!せめて…せめて一口だけでもッ!!」蒼「一口でも駄目!」ジタバタと暴れる雪華綺晶を後ろから羽交い締めにする真紅と蒼星石。だが空腹が限界を迎えた雪華綺晶の力は凄まじく徐々に2人を押しのけつつあった蒼「くっ…何て力なんだ!」紅「これがフルパワーの雪華綺晶なの!?ちょっと!貴女たち!ボサッとしてないで手伝いなさい!」真紅は部屋にいる他の友人に助けを求めるが…翠「ちょっと待つです!今どのカードを捨てるか悩んでるとこで…」金「アッー!雑菌マンが~!!」紅「…心底使えないのだわ。」5人とも目の前のことに夢中で雪華綺晶のご乱心などアウトオブ眼中であった。雪「ふぬぬぬぬ!!」蒼「くっ…このままじゃ…押さえきれない!」今の彼女にはジュンは牛肉にでも見えるのだろうか?空腹の雪華綺晶の力は凄まじく、最早真紅と蒼星石でも彼女を静止させることは限界に近い。だがその時、救いの福音が部屋に鳴り響いた『プルルルル…』雛「あ、電話なの。はい、もしもし…はい、はい、わかりましたなの~。みんな~、ご飯できたって~。」雪「!!?」雛苺の一言に雪華綺晶の左目がキュピーンと音を立てて光る。ふいに雪華綺晶は力を抜くとムクリと立ち上がり口を開いた雪「皆さん!何をしているのですか!?お夕食の時間ですわよ!!」目を輝かせながら叫ぶ雪華綺晶。だが他のメンバーの多くはトランプとアニメに夢中である金「え~、今いいとこかしら~!」翠「ちょいと待つです!今ーー」『ドゴォッ!』翠星石が言葉を言い終わらぬ間に部屋に響く轟音。それは雪華綺晶が壁に向けて放った拳によるものであった雪「口答えは許しません…さっさと支度なさい。さもなくば……」翠「は…はいですぅ…」銀「わ…わかったわぁ…」金「あの瞳は本気かしら…」薔「食べ物がらみのお姉ちゃんには逆らわないほうがいいね……」きっと今の彼女はドモンより強い…当然その雪華綺晶に逆らおうとする勇者はここにはいない雪「よろしい、では、れっつごーですわ!」そして一行は雪華綺晶を先頭に部屋を後にし、夕食へと向かったジ(助かった…マジで食われるかと思った。)その中でジュンはあと少しフロントからの電話が遅かったらと思うと生きた心地がしないでいた…そして一行は長い廊下を抜け夕食が用意された広間へとやってきた広間の襖を開いた瞬間ふわりと鼻腔をくすぐる香り…続いて眼前には机上に並べられた豪華絢爛な夕食が広がった雪「……ッッ♪」よほど待ちわびたのか、雪華綺晶はその光景に感無量といった様子で拳を握るジ「これは凄いな…」金「こ…こんなの…みっちゃんのお給料何ヶ月分かしら?」蒼「船盛りに和牛に松葉蟹…フグまであるよ…」その背後ではジュンたちはテレビの中でもなかなかお目にかかれないほどのご馳走に目を丸くしている雪「では皆様!早くいただきましょう!今いただきましょう!すぐいただきましょう!」ジ「OK落ち着け、夕食は逃げないから。」もはや雪華綺晶は我慢の限界のようだ。その彼女をなだめつつ各々用意された座布団についた一行は皆手を合わせて一斉に合図をする一同『では、いただきます!』その言葉を言い終えたまさにその時、一陣の風が唸りを上げたジ「!!」その風の正体…それは雪華綺晶の高速の箸使いが巻き起こす衝撃によるものであった雪「ひあわへでふわぁ~♪」食べ物で頬を膨らませた雪華綺晶が心底幸せそうに呟く。その凄まじい箸速に彼女の前からはみるみる料理が消えていっている。だが…女将「失礼します。お嬢様、お料理の追加をお持ちしました。」そこに満を持したように襖を開けて入ってきた女将と数人の従業員。彼女たちは凄い量の追加料理を皿に乗せて雪華綺晶の前へと運んだ雪「ありがとう御座います。お待ちしておりましたわ♪」女将「いえいえ、雪華綺晶お嬢様のためにまだまだ追加を用意しておりますので、どうぞお好きなだけお楽しみください。」雪「えぇ、勿論そのつもりですわ♪」一同『……』そこにいた薔薇水晶を覗く皆は雪華綺晶の無限とも思える食欲に言葉を無くす…薔「お姉ちゃん…ここに来るといつもこう…」ジ「そ…そうなのか…?」蒼「でも…改めてだけど、雪華綺晶の体内ってどうなってるんだろ?」金「あの細い体のどこにあれだけの量が入ってるのかしら?」銀「人体の神秘ねぇ…」その後、若干雪華綺晶の勢いに気圧されながらも豪華な晩餐を終えたジュンたちは再び自室へと向かっていた雪「あぁ、美味でしたわ~♪」銀「貴女、結局何人前食べたのよぉ…」翠「きらきーがその気になれば本当にチビ苺かチビカナくらいは食べれそうですねぇ…」雪「そうですねぇ、そのくらいでしたら……ジュルッ。」雛・金「「ひぃいッ!!」」ジ「お前が言うとそういう冗談も洒落になんないからやめてくれよな…」雪「あら、ジュン様。私は本気ですわよ?」ジ「なおさら悪いわ…。」そうこうしているうちに元いた部屋の前にたどり着いた一行は襖を開く紅「あら、もう布団が引いてあるのだわ。」そこにはジュンたちが夕食を食べている間に一面に布団が引かれていたジ「…ん?ちょっと待てよ。ひぃ、ふぅ、みぃ………なぁ、雪華綺晶?」あることに気付いたジュンは嫌な予感を感じながらも雪華綺晶に問い掛ける雪「はい、何でしょうか?」ジ「布団の数…9つあるように見えるんだが…」雪「えぇ、そうですが…何か?」ジ「いや、何か?じゃなくて…」雪「もぅ、嫌ですわ。本当はわかってらっしゃるくせに♪」薔「ジュンの寝る部屋は……ここ。」ジ「やっぱりかぁああああああああッ!!」嫌な予感はズバリ的中した。雪華綺晶と薔薇水晶はジュンを自分たちと同じ部屋で寝させるように仕組んでいたのであるジ「ンな真似できるか!僕は別の部屋で寝る!」雪「残念ですが他の部屋はみな施錠済みです♪」薔「勿論…廊下も却下だよ…?」ジ「お前ら…僕だって男なんだぞ!わかってんのか!?」薔・雪「「むしろバチコーイ(…)(ですわ。)」」ジ「………お前ら…」チラッジュンは一縷の望みを込め他の皆を見るが…雛「ジュ~ン、ヒナと一緒に寝るの~♪」金「カナも大歓迎かしら~♪」蒼「ジ、ジュン君…よかったら…その…僕と…(///)」翠「し…しゃーねぇですね…特別に翠星石と一緒の部屋で寝させてやるですから感謝しやがれですぅ!(///)」銀「うふふっ、ジュン…私が添い寝してあげるぅ。」紅「不本意だけど家来に体を壊されては主人の顔が立たないのだわ。」 ジ(四面楚歌ってことか…orz)この部屋…いや、この旅館に今やジュンの味方はいない。その現実をありありと痛感したジュンはがっくりとうなだれた雪「お諦めくださいまし。」銀「こぉ~んな可愛い女の子と同じ部屋で寝れるなんてどっかのM字だったら泣いて喜ぶところよぉ?」ジ「あぁ…本当に泣きそうだよコンチクショウ…」紅「ウジウジと情けない家来ね…まったく。」雛「ジュン、泣いちゃメーッなの。えいっ!」『ボフッ!』ジ「うわっ!」突然雛苺に何かを顔に当てられたジュンはそのまま後ろに倒れ込むジ「いてて…ん?これは…」ジュンは顔に当てられたそれを手にとって眺める。それは適度な硬さをもつ旅館の枕であった雛「命中なの~♪ヒナ、一度枕投げってやってみたかったの~!」ジ「ほぅ…そうかそうか……ふんっ!」若干頭にきたジュンは雛苺の投げた枕を右手で持つとブンッと雛苺に投げ返した雛「わ…わわっ!ひゃあっ!!」しかし、体格が小さい雛苺はそのスピードを駆使してジュンの豪速球(枕)をすんででかわす。だがそれがいけなかった…翠「んぎゃっ!」ジ・雛「「…あ。」」なんとジュンの投げた枕は雛苺のすぐ後ろにいた翠星石の顔面にヒットしたのだ。前回と同様ボフッと小気味よい音を立てた枕は勢いを失いズルズルと床にずり落ちたジ「す…すまん、翠星石…えと、大丈夫か?」部屋を包む重苦しい沈黙。だが次の瞬間…翠「ふ…ふふっ…ふふふふふ…」ジ「あの…翠星石さん?」不気味に笑い出す翠星石。当たりどころが悪かったのかと心配したジュンが問い掛けたその時…翠「よぉ~っくもやってくれやがったですねぇ!このチビ人間!!翠星石の美しい顔に手を掛けたからには生きて帰れると思うなですぅううううううッ!!」ジ「ちょっ…待て!落ち着け!」翠「聞く耳持たねぇです!てぇええい!」ジ「うわっ!」翠星石は近くにあった枕を手当たり次第に掴むとそれを全てジュンへと投げつけてゆく。だが…銀「ぶっ!」雪「きゃっ!」金「へぶぅっ!」闇雲に投げられた枕はジュンに当たる代わりにジュンの近くにいた水銀燈、雪華綺晶、金糸雀の顔面にぶつかった翠「あ、悪ぃです…」銀「ふ…ふふっ…やってくれるじゃなぁい…」雪「あらあら…命知らずですわねぇ。」金「酷いかしら!カナはなんにもしてないかしら~!!」翠「だ…だから謝って…」銀・雪・金「「「問答無用!!」」」今度は3つの枕が一斉に翠星石の体に飛んだ翠「ひぎゃぎゃっ!お…おのれぇ~、こうなりゃ徹底抗戦ですぅ!蒼星石ッ!」蒼「えっ…えぇ!僕も!?」ブチ切れモードの翠星石に突然話を降られた蒼星石は狼狽えた。だが翠星石はそんなことなどお構いなしである翠「当然ですぅ!それでも私の妹ですかぁ!さぁ、一緒に戦うですよ!?」蒼「わ…わかったよ…まったく…」翠「口でクソ垂れる前にサーと言うですぅ!!」蒼「さ…サーッ!(な、何で僕が…)」銀「へぇ…やる気ぃ?いいわぁ、受けて立とうじゃなぁい。」金「やるからには楽してズルして必勝かしらー!」雪「くすっ…血が騒ぎますわね。」翠星石の挑戦に3人はいたくやる気だ。だが真紅はそんな友人たちを冷ややかな目で見つめていた紅「まったく…皆幼稚ね…」銀「へぇ…なら大人な真紅はこんなことされても起こらないわねッ!」ブンッ!紅「ふぎゅっ!」どうやらその澄ました様が殺気立った水銀燈の神経に触れたのか、真紅もまた放たれた凶球に顔面を撃たれた蒼「し…真紅、大丈夫かい?」翠「不意打ちとはきったねーです!これだからヤク中は!」銀「あ~ら、ごめんなさぁい。でもこんなことじゃ真紅は怒んな……」紅「……潰す。」蒼「真紅…君まで……」どんなに澄ましていようがやはり真紅は真紅であった。全身から怒りのオーラをほとばしらせ枕を破れんばかりに握り締める様はまさに赤い戦鬼である紅「翠星石、蒼星石!やるわよ!?」翠「合点ですぅ!チビ苺!おめーもこっちに加わるです!」雛「ほ…ほぇっ!?」紅「あら…嫌だとでも?」ゴゴゴゴ…雛「か、かしこまりましたなのーッ!!」真紅の放つ凄まじい怒気…雛苺にはその誘いを断ることなど到底出来なかった雪「ばらしーちゃん、貴女はこちらのチームにいらっしゃい。」薔「もう…しょうがないなぁ…」薔薇水晶は雪華綺晶に誘われ、かくして地獄の枕投げは真紅、翠星石、蒼星石、雛苺チームVS水銀燈、雪華綺晶、薔薇水晶、金糸雀チームという構図に別れた銀「真紅ぅ…ひとつ提案があるわぁ。」試合開始直前、ふいに水銀燈が不気味に笑いながら真紅に切り出す紅「何かしら?」銀「この勝負…勝ったほうが今夜ジュンを好きにできるっていうのはどぅ?」一同『!!?』ジ「はぁっ!?」いつの間にか1人蚊帳の外になっていたジュンは水銀燈の無茶苦茶な発言に驚愕したジ「おま…何言ってんだ!そんなの…」一同『乗った!』ジ「ちょwwwお前らwww」当然のことながら、そこにジュンの意志は関係なしであった…銀「ふふっ…交渉成立ねぇ。」薔「そういうことなら…絶対に…勝つ!」金「絶対に負けられない戦いがあるかしら!」雪「さて…今のうちに遺言はありませんか?」紅「雪華綺晶…その言葉、鏡に向かって言うのだわ。」翠「おめぇら、お嫁に行けねぇ顔になっても恨むんじゃねぇですよ…?」雛「ヒナも頑張るのー!」蒼「久しぶりだね、本気を出すのは…」ジ「お前ら!ちょっとは人の話をーー」銀「じゃあ、始めましょうか…私たちのアリスゲーム(ジュン争奪・枕投げ大戦)を!!」ジ「こらぁーッ!!」次の瞬間、ジュンの涙混じりの絶叫などどこ吹く風のまま部屋中に一斉に無数の流星(枕)が舞う。今ここに、再び乙女たちの熱き戦いが幕を開けたのであった…。続く…
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