『メイメイ飼育日記』第6回
『メイメイ飼育日記』第6回め「そう…あなたメイメイって名前だったんだ。改めてよろしくね、メイメイ♪」メ「ゼット~ン…」メイメイはめぐの言葉にどこか嬉しそうに体を揺らす。銀「めぐ…ちょっといいかしら?」め「なに?」銀「何でそんなに平然としてられるのよぅ!?」水銀燈は親友の理解不明な行動についに我慢出来ず声を上げた。め「もう…何でそんなに怒鳴るの?メイメイはいい子じゃない。」銀「だからって貴女も見たでしょ!?そいつが何をしたのかを!!」め「この子は私が怒られないように助けてくれたのよ。それに…こんな可愛い子に怒らなくてもいいでしょ?」銀「か…可愛い?メイメイが…?」めぐの衝撃発言に水銀燈の両目が点になる…。め「えぇ…真っ黒で、小さくて…まるで黒い妖精さんみたいじゃない。」ナデナデメ「ゼット~ン…」銀「……」以前からめぐはどこかズレているとは思っていたが…まさか美的センスもここまでズレていたとは…そう思うと水銀燈はこの日一番の頭痛に襲われた。 だが、そのときであった。め「うっ…!」突然めぐが苦しそうに胸を押さえてうずくまったのだ。銀「めぐ!大丈夫!?しっかりしなさい!」め「だ…大…丈夫…いつもの…ことだから…うぐっ!」しかしその台詞とは裏腹にめぐの顔色はみるみる悪くなっていく。銀「めぐ!待ってて、今ナースコールを…」メ「ゼット~ン!」ポチッ銀「って、えぇっ!?」なんと水銀燈がするより早くメイメイがナースコールを押したのだ。そしてしばらくの後、知らせを受けた医師と数人の看護士たちがめぐの病室に入ってきた。看護士「先生!脈拍が弱まっています!」医師「すぐに処置をする!面会の方は部屋の外に!!」慌ただしい雰囲気が周囲を包む。そして水銀燈は医師に言われるがまま病室から追い出された。銀「めぐ……大丈夫よね?」病室の外から閉ざされた扉を見つめ水銀燈は心配そうに呟く。メ「ゼット~ン…」銀「…メイメイ?」そんな主人を見てか、メイメイもどこか心配そうに水銀燈を見上げていた。銀「あんたに心配されちゃ世話ないわね…そうね、きっとめぐは大丈夫。今までのように…」 メ「ゼット~ン?」銀「めぐはね…生まれつき心臓を患っててね、いつ死んでもおかしくないって言われてきたのよぉ…」水銀燈は病室の前の長椅子に腰掛けるとメイメイに向けて静かに語り始めた。銀「でも、あの娘は必死に病気と戦ってきた…今まで何度も命を落としそうになりながらも…そのたびにめぐは死神に打ち勝ってきたわぁ。きっと今回だって……」メ「ゼット~ン…」銀「って…あんたに話してもどうしようもないことだけどねぇ。」水銀燈が自嘲めいた小さな笑いを浮かべたそのとき、病室から医師たちが出てきた。水銀燈はたまらずめぐの様子を聞きに駆け寄る。銀「先生!めぐは!?」医師「なんとか落ち着いたよ…今は薬が効いて眠っている。」銀「そうですか、よかったぁ…」医師の言葉に水銀燈は安堵のため息を吐く。医師「でもしばらくは目が覚めないだろうから、君は今日は帰りなさい。」銀「そう…ですか。」医師たちが去り、水銀燈はめぐの病室に入った。そこには安らかに寝息を立てる親友の姿があった。め「んぅ…水…銀燈……くぅ…」銀「めぐ…」それから水銀燈はめぐの枕元の椅子に座りしばらくの間彼女の眠りを見守っていた。 帰宅後…銀「はぁ、今日は色々疲れたわぁ…」メ「ゼット~ン…」ゴキュゴキュ…銀「…ん?あんた、何飲ん……きゃああああああああああ!!」メ「ゼット~ン…♪」メイメイが手にしていたのはパックに入った赤い液体…その正体は病院に保管されているはずの輸血用の血液であった。それも1つや2つではない…銀「何盗ってきてんのよアンタはぁあああああああ!今すぐ返してきなさぁい!!」メイメイの凶行に水銀燈が怒号を上げたそのときであった…『プルルルルル…』銀「あ…あらぁ?」突然リビングから電話の音が響く…銀「私は電話に出てくるから、アンタは早くソレを返してきなさいよぉ!?」メ「ゼット~ン…」水銀燈はそうメイメイに言い聞かせると1人階段を下り受話器を上げる。銀「はいもしもし…はい、私ですけどぉ…えっ!めぐが!?…はい…はい、わかりました!今すぐ行きます!!」水銀燈は受話器を置くと一目散に玄関へと走った。メ「ゼット~ン…」すると背後から何事かという感じでメイメイが付いてきた。 メ「ゼット~ン…?」銀「私は病院に行ってくるからアンタは留守番してなさい!」メ「ゼッ…?」銀「今病院から電話があって…めぐが危険な状態なの!さっきから私を呼んでるって…だから私が行かなくちゃ!」そう言うなり水銀燈はドアに手を掛ける。だが、その足をメイメイが掴んだ。銀「何よ!?離しなさい!」振り向いた水銀燈が怒りに叫んだその瞬間…メ「ゼッ…ト~ン!」銀「!?」刹那、水銀燈の視界がぐにゃりと歪んだかと思うと眩い閃光が走った。銀「ーーー!?」驚いた水銀燈はとっさに目を閉じる。そして次に目を開いたとき…銀「……ん…何が……って、えぇっ!?」そこは家の玄関ではなく昼間来た病院の門の前であった。水銀燈は慌てて時計を確かめたが時間は先程から1分も経過していない。銀「メイメイ…あなた…」メ「ゼット~ン…」そう、一刻を争う状況の中メイメイは自らのテレポート能力で水銀燈を自分もろとも一瞬で病院まで運んだのである。 銀「メイメイ…ありがとう!」恐らく初めてのことだろうか?水銀燈はメイメイに向けて礼を言うと病院の中へと駆けていく。銀「はぁ、はぁ…!めぐ…今行くからね…頑張るのよぉ!」水銀燈は病室へ向かう廊下でも必死にめぐを励ましながら一直線に親友のもとへと走るのであった…。続く…
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