二十三章「巨人と龍」
二十三章「巨人と龍」 水が周りにこびり付き滑りやすい洞窟を翠星石達は走って進んでいた。翠「いまさらですがなぜ雪華綺晶が味方だとわかったんですか?」蒼「えっとね。一番始めに倒れていた敵がいたのを覚えてる?」翠星石は首を縦に振る。蒼「僕が翠星石を狙ってると思って防いだ鎌。あの鎌はあの敵を狙ってたんだ。」翠「つまり…雪華綺晶は翠星石を守ってくれたのですか?」そうだよ。っと蒼星石が言うと翠星石は後でお礼を言わなきゃいけねぇですね。と言いながらゆっくりと前を見る。敵も出ずそれほど長くない洞窟を抜けるとそこは大きな空洞翠星石達はその中央に水に捕われたジュンとその前に黒いコートを纏った人物を見つける。翠「ジュン!…おめぇがジュンをさらった張本人ですか!?」翠星石は双剣、蒼星石は鋏を手にその人物に質問をする。しかしコートを取ることなく首に掛けたメダルを地面に落とす。そして何も言うことなく洞窟の奥へと歩きだした。翠「逃げるのですか?」蒼「……少し待って翠星石…」その人物は少し歩いてから止まり振り向く。 振り向いたその人物は水を床に垂らしだしす。少しするとメダルを中心に大きな人型の水が現れる。ジ「(…僕をさっさと放せよ…)」メダルを胸の中央に右手にジュンを取り込んだその水の巨人は翠星石と蒼星石を見つけると左手を振り水の玉を飛ばしていく。それを見て黒コートの人物は再び洞窟の奥に歩きだしその姿を忽然と消失させる。翠「やばいですねぇ。」一言呟き翠星石はその水の玉を避ける。蒼星石はレンピカを使い自分の周りに水の壁を作り防ぐ。すべて避けきると翠星石は双剣の一つを巨人の右手に投げジュンを助けようとする。ジ「(って危ないよ!)」しかし投げられた剣はジュンにピンポイントで飛んでいき、顔の前ぎりぎりで止まった。ジュンは翠星石に殺す気かっと目で訴える。翠「結構元気そうですねぇ。どうしますか蒼星石?」蒼「たぶんあのメダルがあの巨人の核になってるはず…だからなんとかしてあれを取り除こうよ。」翠星石は了解ですぅ。と返事をして双剣の片方を両手で強く握り構える。蒼星石も鋏を強く握り巨人へと走る。蒼「翠星石…危ないけどスィドリームで攻撃を…援護は任せて。」翠「わかったですぅ。スィドリーム」 再び水弾を飛ばす巨人に向かってスィドリームが足元に蒼星石はその横に張り付きレンピカで水の壁を作りながら突進する。スィドリームが巨人の足元で植物を生やし巨人の水分を奪っていく。その間に蒼星石が高く飛び頭を切り裂いた。しかしすべてが水でできている巨人はゆっくりと再生していってしまう。蒼「翠星石!!」翠「わかってるですぅ。こんどは外さねぇですよ。」翠星石は双剣の残りの一本をメダルに向けて投げる。蒼星石の援護もありさっきと違い狙いは逸れることなくメダルへと向かいメダルを射ぬいて反対側へと抜ける。蒼星石はそのメダルと双剣の一本をキャッチし、スィドリームの植物の上に着地する。ジ「(やっぱり僕って何もしてない…)」メダルを失った水の巨人は形を失い、地面へと振り注ぐ。ジュンは双剣の一本を持ちながら一緒に地面へと落下する。地面は堅い岩盤。しかしスィドリームによって生えた植物がジュンを受けとめる。ジ「ゴホッゴホッ…死ぬかと思った。(んっ?僕捕まってから何分ぐらい水のなかに居たんだ?)」考えるているジュンにすかさず翠星石の蹴がジュンの顔面にヒットする。ジ「痛ぁ~。なにするんだ翠星石!!」 翠「ふん。余計なことしなくても翠星石は大丈夫でしたのにちび人間は余計なことして…」ジュンは強引に双剣の一本を奪い取る翠星石をまじまじと見る。ジ「なっ人が助けてやったって言うのに…」翠「だから助けたのは貸しを返しただけなんですからね。自惚れるな!ですよ。」それを聞いてジュンは言っていた言葉を止めて唖然とする。蒼「置いてきぼりだよ僕。…んっ?」二人を嬉しいやら悔しいやら複雑な気持ちで眺めていた蒼星石はあることに気がつく。蒼「翠星石、ジュン君早く出るよ。雪華綺晶のこともあるし。それに…」そう言いながら翠星石に双剣の残りを返す蒼星石。そして洞窟の奥を見つめる。翠星石とジュンも蒼星石と同じように洞窟の奥を向く。そこには水の体のドラゴンがこちらを見ながら歩いてくる。蒼「それに…わかるでしょ?」二人は蒼星石に了解と言うと出口に向かって走りだす。水のドラゴンは咆哮とともに口から大量の水を吐き出し三人に放った。翠「スィドリーム!」翠星石は向かってくる水流を植物で防ぐ。しかしそのせいで空洞の岩にひびが入っていく。 ひびが全体に広がって空洞は少しずつ崩れていく。空洞の出口についた三人は崩れる空洞を振り向くことなく洞窟の出口に走る。翠「これでやつもペチャンコですぅ。」ジ「まあ足止めにはなったろ。」蒼「それよりジュン君なんで水のなかにいたのに平気だったの?」雪華綺晶のこともあるので三人は走りながら話す。ジ「そうだよな。服がびちゃびちゃだよ。」翠「それは翠星石も同じ事です。そうじゃなくてなんで息をしなくても大丈夫だったのかを聞いてるですぅ。」そう言われてジュンは困った顔をする。自分でもどうしてか分からないのだからどう返答していいかわからない。しかし分からないなんて返事で納得する翠星石でも無いしっと。ジ「う~んと…僕が息を数分止められることができる…じゃだめか?」翠「ありえねぇですぅ。断じてありえねぇですぅ。」そんなことは本人であるジュン自身が一番よくわかっている。がここまで全否定されるとさすがに腹が立つらしく。ジ「それでいいんだ。それで…」翠「嘘つけですぅ。そんなはずは断じてないはずですぅ。」蒼「まあまあもう出口だしこの話はまた後でね。(笹塚君かベジータ君に聞けば分かることだしね。)」 洞窟を出て陸地にあがった三人は湖に背を向けてたたずむ雪華綺晶を見つけた。翠「雪華綺晶?」よくわからないが近づきがたい雰囲気を出す雪華綺晶に恐る恐る話し掛ける翠星石。それに気付いたのか雪華綺晶はゆっくりと右手を上げる。するとそれまで回っていた鎌が雪華綺晶の手に戻り湖は再び元の形に戻った。雪「終わったのですね。こちらも今片付いたところですわ。」そう言いながら雪華綺晶は振り向く。その姿にかわったところはなく三人は何を心配していたのかとため息を吐く。雪「これからどうします?」翠「とりあえず土の街に戻るですぅ。」蒼「水の街じゃなくて?」蒼星石がそう言うと翠星石は集合は知っている街の方が楽だからっと答える。雪「なら私はそれをを伝えてきますので先に行かせてもらいますわ。」雪華綺晶はそう言うと湖の中にゆっくりと入っていく。しかし波紋もたたず全身が水のなかに入ると雪華綺晶は忽然と姿を消した。翠「不思議な奴ですね。(あっお礼言うの忘れてたですぅ。)」蒼「それについてもまたあった時聞けばいいよ。」雪華綺晶を見送ってすぐ三人は再び太陽が照りつける砂漠へと足を進めていった。
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