『五月のおわり』
2007年5月8日 あめ みっちゃんが放課後にパソコンを使って調べてくれたことをまとめておくかしら。 フランスの新聞の記事とかを、翻訳しながら色々読んだけれど、むこうでは巴はお手柄侍女子中学生、ということになってるみたい。 雛苺が危ないところだったのを、巴が助け出したんだって。 ひどい犯人は雛苺ののどを切った後、白薔薇の中に放置していたかしら。 警察は犯人が儀式をしようとしていたっていう見方をしているって。
でも蒼星石は「血抜きじゃないかな」って言ってた。雛苺と蒼星石はあったことがないらしいけれど、蒼星石は一生けんめい情報を集めていたかしら。
今、おねえちゃんに「泣くにはまだ早いでしょう?」って言われたかしら。
酔い止め忘れたかしら… …‥:
巴はカナがこっちにくるとは思ってなかったらしくて、びっくりしてたかしら。昨日雛苺のおみまいに行ったことを話したら、雛苺の容態についてたくさん質問された。あんまり警察の人は詳しくそういうことを教えてくれないみたい。 巴は雛苺のことをずっと聞きたがっていたけれど、カナは事件のことを聞かせてもらったかしら。
巴はまず雛苺の寄宿舎をたずねて、そこでいなくなった雛苺を探していたオディールさんに会ったんだって。 オディールさんは雛苺から巴のことを聞いていたし日本語がちょびっと話せるから、巴に雛苺がいないことをすぐつたえられた。 嫌な予感がしていた巴はあわてて雛苺を探して、そしてぎりぎりの所でまにあった。
雛苺が倒れていた場所は寄宿舎の誰も使ってない棟で、おねえちゃんとカナの家にちょっと似てる所。そこの広間の中央にたくさんの白薔薇がしかれていて、その上に雛苺は寝かされてた。
事件の話はそれで全部だと思っていたけれど、巴はもう一つ事件のことを話してくれたわ。 「雛苺にかけよって、助けようとした時、女の子の笑い声が聞こえたのよ。 オディールさんとは別れて探していたし、雛苺がひどい状態だったから、その笑い声の主が犯人だと思って…私は背後の声を切りつけたの」 ここで一回、巴は言葉を切って、カナはどうしたのって聞いたかしら。 巴の声は少し震えてた。 「でも背後には誰もいなかったわ。確かに声を聞いたと思ったんだけれどな…」 あの時だけ巴の声はたくさんの迷いのある声だったから、きっと自分でも信じられない気持ちだったのね。
巴との話をおねえちゃんにしたら 「柏葉さんは本気で刀を使ったんでしょう? それほどの覚悟をして渡航するなんて、たいした子ね」 って言ってた。 フランスのテレビは「消えた犯人!」っていうタイトルで事件を大きく扱っていたかしら。目撃者が一人もいないんだって。犯人は早くつかまればいいのに。 それにしても、どういうことなのかしら、いない友達、いない犯人…
服のそでに白い花びらがついてた。このタイミングだとちょっと怖いかしら。
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