第一話~覚醒~
?(…ここはどこ?どこなの?…暗い…怖い…)
ヒュン…
?(うん?なにか、いたような?白い…翼?)
ヒュー…
?(あ!行かないで!私を一人にしないで!)
?(…行っちゃった…一体何だったの?)
?『そろ…ろ目を覚…すはず…』
?(え?誰なの?)
?『早く目…し…くれ水銀燈』
水(すいぎんとう?それが私の名前なの?貴方は誰なの?)
?『早…わた…に、父に顔…見せ…くれ』
水(え?父…お、お父様なの!?)
?『水銀燈…』
水(お父様…お父様!!) グワッ!
?『おぉ!!遂に目を覚ましたぞ!!』
水(お父様!!) ガシャーン!
水銀燈は遂に自力でガラスを割り外に出た。
ロ「おぉ!!素晴らしい!!目覚めたばかりなのにもうこんなに動けるのか!?」
水「貴方が、貴方が私のお父様なのですか!?」
ロ「そうだ!!私がアリスの遺伝子からお前を創ったのだ!!」
水「え?アリス…何なのですかそれは?」
ロ「見たまえ!!あの壁画を!!」
そこには、例の教会の壁画の写しが飾ってあった。水銀燈とは違い、純白の翼と、
青く澄んだ瞳を持っていた…
水「あれが…アリス…私の…オリジナル…でも、全然違う…」
助1「やりましたね教授!!」 助2「おめでとうございます!!」
助3「研究の成果が実証されましたね!!」 助4「遂に我々の努力が報われた…」
周りの人間達は実験の成功に浮かれ、水銀燈のことはそっちのけで喜んでいた。
水「それに…私は…一体何なの?私は…アリスの何なの?
私は…私は…なぜ創られたの?」
水銀燈は自分の容姿を見ながら、一人そう呟いた…アリスとして創られたのに、
アリスとは全く異なる自分…なぜこの人達はこんな私を創ったのか?
何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で
水「うぅ…うわあああああああああああああああ!!」 ボアッ!
突如、背中の翼が炎を纏った。水銀燈はそれを研究員達に向けて飛ばし始めた。
助1「ぐわあああああ!!」助2「ぎゃあああああ!!」
次々と倒れていく研究員達。施設の安全装置が水銀燈を抑え込もうとするが、水銀燈は
それを翼で軽くあしらい、破壊した。
ロ「な?なぜだ、水銀燈?」
水「どうして私を創ったの!?」
ロ「私は、只アリスを自分の手で創り出そうとしていたのに…」
水「アリスですって!?私の何処がアリスなのよ!?あの壁画とは全然違うじゃない!!
あっちは天使で私は悪魔じゃない!?なんで私なんか創ったのよ!?」
ロ「水銀燈…私の愛しい娘…」
水「答えてよ!!何で創ったの!?」
ロ「…水銀燈…」
水「うぅ…うわあああああああああああああ!!」
水銀燈は翼でローゼンを貫いた…
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それから水銀燈は施設を彷徨い、一着のドレスを見つけた。黒い生地に逆十字を
標されたそれは、正に悪魔を連想させるものだった…
水「ふん…やっぱり私は悪魔って訳?」
水銀燈用に作られたのだろう。サイズは水銀燈にピッタリだった。
水「私は…私はこれから…どうすれば…」
水銀燈は一人悩んでいた。自分は何なのか?自分が生きる意味はあるのか?
水「…誰か…教えてよ…誰か…」
周りには誰もおらず、問い掛けに答える者はいない。
水「誰か…私を一人にしないで…誰か…うぅ、ひっく…」
水銀燈は一人、泣いていた…
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