十一章「闘技場」
十一章「闘技場」 ジ「へっ?」唐突な翠星石の言葉にジュンは間の抜けた声をだす。翠「あ~つまり実戦が一番ということですぅ。」ジ「でも怪我とかしたらどうするんだ?」蒼「それは大丈夫だよ。危なくなったら僕が止めるから。」ジュンは蒼星石の言葉に仕方なく了解する。そして街の中心の建物の前にジュン達は来た。ジ「なんだここは?」蒼「う~ん簡単に言えば訓練所かな。外だとモンスターが出るからね。」建物は丸いドーム上の形をしていて中には平原が広がっている。ジ「これ建物の中か?」翠「まあ第一印象はそうでしょうね。ここは完全な模擬戦闘用にできているのですぅ。」他にも何人か人がいるがそこにいくまでには何か壁のようなものがある。これにより他のプレイヤーと当たることはない。蒼「じゃあ始めるよ。レンピカが光ったら始めてね。」翠「わかったですぅ。」翠星石は双剣を抜きヤル気満々で返事をする。ジ「あのさぁ真剣でやらなくてもいいんじゃないか?」翠「ぐだぐだいうなですぅ。さっさと剣を抜くですよジュン」ジ「あ~もうわかったよ。」渋々ジュンは剣を抜く。それと同時に蒼星石がレンピカを二人の頭上に送る。 レンピカのは青い閃光をだし戦闘開始の合図をだす。翠「行くですよ~~。」先に動いたのは翠星石。翠星石はすぐにジュンとの間合いをつめると右手の剣を振り下ろす。ジ「いきなりかよ!?」ジュンはそれをすぐに防ぐ。防がれると同時に翠星石は左手の剣をジュンのお腹辺りに突く。ジュンはそれに気付き後ろに飛び退く。ジ「(あれ?僕こんなに動けたかな?)」ジュンは着地すると同時に剣を戻している翠星石に斬り掛かる。翠「(スライムにてこずってたくせに以外とやるですぅ。)」翠星石はジュンの剣を両方の剣で防ぐ。その後右手の剣を防御から外しジュンを斬りにいく。しかしジュンは両手、翠星石は片手。ただでさえ筋力に差がある翠星石は左手の剣を弾かれそのまま斬り掛かられる。翠「やるですねぇジュン。しかしスィドリーム」翠星石は素早くスィドリームをだし植物によってジュンの剣を止める。ジ「あっこら卑怯だぞ。スィドリーム使うなんて!?」翠「使わないなんて一言もいってないですよ。勝手に解釈するのが悪いのですぅ。」そういいながら翠星石は弾かれた剣を拾う。蒼「(たしかにいってないけど…それはないよ翠星石…)」 翠「つべこべ言わずに再開するですぅ。」翠星石は植物を消し再度ジュンに向かっていく。ジュンはそれを右に避け剣を突き出す。翠星石は突き出された剣を右の剣で防ぎ後ろに飛ぶ。真「やっているわね。」二人を見ていた蒼星石に来たばかりの真紅が話し掛ける。蒼「真紅…二人とも頑張ってるよ。」真「そう。でもまだまだ甘いわね。」金「真紅からみたら仕方の無いことかしら~。」後から金糸雀と水銀燈もやってくる。水「まあ真紅は仮にも私と互角位なんだからぁそれ位じゃないとねぇ。」真「あら昨日はあきらかに私が勝っていたわよ?」水「なんですってぇ?いまここで決着つけましょうかぁ?」水銀燈はヤル気満々でそういうが金糸雀に止められる。蒼星石は苦笑しながらジュン達に視線を戻す。ジ「(う~ん。翠星石のスィドリームは厄介だな)」間合いをあけながらジュンは考えていた。翠「さてさて剣にもなれてきたですし。そろそろ本気でやりますよ~。」ジ「えっ?」ジュンが驚いている間に翠星石はさっきより格段に早くジュンに斬り掛かる。ジ「ってこらちょっと待て…」辛うじて剣の軌道が見えたジュンはそれを防ぐ。 水「ふ~ん少しはやるようねぇ。」翠星石の動きを見て水銀燈は感心したようにうなずく。真「ジュンも案外やるわね。一応ついていけてるわ。」真紅も同じようにうなずく。金「(まあ一番早いのはスイッチ入った蒼星石かしら~。あれは怖すぎるかしら。)」金糸雀は別のことにうなずく。ジ「(なんだろう?早くなったけど見えないわけじゃないな。)」ジュンは翠星石の連撃をすべて防ぎきる。翠「(おかしいですぅ。ちび人間がこんなに強いはずは…えぇいこうなったら卑怯とか言ってられないですぅ。)」翠星石はいったんジュンから距離を取る。翠「食らうですぅ。スィドリーム」ジ「ってまたかよ!?」植物はジュンのすぐ前にあらわれジュンの剣を弾き飛ばす。翠「さぁちび人間負けを認めるですぅ。」ジ「おいこら剣の勝負だろ!!なんでこんなので勝ちなんだよ。」ジュンの当然の意見に翠星石は翠「勝負に卑怯も糞もないですぅ。」水「まぁ間違っては無いわねぇ。卑怯だけどぉ」蒼「翠星石…はぁ」金「(翠星石らしいけどやっぱり卑怯かしら…)」三人は半分呆れて翠星石達を見ていた。 真「卑怯だというならあなたも使えばいんじゃない?自分の力を」真紅はジュンに向かって唐突にそういう。翠「そうですぅ。悔しかったら使ってみやがれですぅ。」翠星石はそれに食い付くように反応する。ジ「いやまずどうやって使うんだよ。」真「簡単に言えば集中すればいいのよ。そこから自分の思うような形にすればいいの。」真紅は簡単にジュンに力の使い方を説明する。ジ「(簡単にって何をどう集中するんだよ…)」心の中で文句をいいながらもジュンは手に意識を集中する。翠「(まあちび人間ごときにできるわけもないですぅ。)」翠星石は勝負は終わったとばかりに剣をしまう。ジ「(集中…集中…)」ジュンは手に意識を集中し剣をイメージする。時間が立つごとにそれは形となり光の剣がジュンの手にあらわれる。翠「まっまっまさかちび人間ごときにできたのですか!?」ジ「ちびちびうるさいぞ!!」ジュンが叫ぶと同時に光の剣は形を失い消える。真「はぁ。まだまだね。」蒼「集中力が無くなったから消えちゃったね。でもあれはなんの属性かな?」金「光じゃないのかしら~?」金糸雀の意見に真紅も蒼星石もうなずく。しかし水銀燈だけは首を振る。 水「違うねぇ。あれは光ではないわぁ。」真「どうしてそんなことがわかるの?水銀燈」水銀燈は真紅を見ると真剣な顔で返事を返す。水「闇の私から見てあれは光にはみえなかったのよ。それに近いものではあったけど…」真「近いもの?」金「つまりどういうことかしら?」真紅達は水銀燈に詰め寄る。水「それ以上は私にもわからないわ。それよりぃ近いは離れなさぁい。」真「結局わからずじまいね。」真紅達は水銀燈から離れる。蒼星石はというと勝負そっちのけで言い合いを始めたジュン達を止めに入る。蒼「(こういう意味で止めるつもりじゃなかったのに…)」結局宿に帰るまでジュンと翠星石の言い合いは続いた。真「まったく先が思いやられるわね。それじゃあ明日は次の街に行くからちゃんと休んでおくのよ。」ジ「次の街はどんなところだ?」ジュン達は夕食ついでに明日の話をする。蒼「情報によれば土の属性が強い場所らしいよ。」ジ「土か?見たことないよなどんな能力なんだ?」水「土は私の闇と同じく精霊を体に取り込み強さを増すタイプよぉ。モンスターは…ただ堅いだけねぇ。」 ジュンはゲームなどでよくあるゴーレム等を思い浮かべた。真「堅いだけに厄介なのよ。剣の類はあまり効かないわ。」ジ「じゃあどうするんだよ?」真「大丈夫よ。金糸雀や翠星石がその手の相手には強いわ。それに私達は剣だけではないしね。」翠「そうですぅ。大体翠星石のスィドリームと金糸雀のピチカートは広い場所で使って初めて最大限の力を出せるのですぅ。」真紅の言葉に翠星石は胸を張りながら力説する。真「まあそういうことよ。それより食事が終わったらしっかりと休むのよジュン。どうせあんなに動いたの初めてでしょう?」翠「その通りです。ヒキコモリメガネちびにあんな運動激しすぎたですぅ。」翠星石の悪態にまたも言い合いが始まる。蒼星石と金糸雀が止めに入りすぐにおさまるが二人ともすぐに部屋に戻り就寝する。真「はぁ紅茶を頼む前にあってしまったわね。」水「じゃあ私がいれてあげましょうかぁ?真紅ぅ」ヤクルト片手に水銀燈は真紅に近づいていく。真「あなた入れられたかしら?」水「心外ねぇ。あなたが教えたんじゃなぁい?」真「そうだったわね。じゃあお願いするわ。それと早めにしてね。もう寝る時間だわ。」時計をみながら水銀燈に紅茶を頼む。 水「注文が多いわねぇ。少し待ってなさぁい。」水銀燈はヒラヒラと手を振り返事をする。真「それで?どういう風のふき回し?あなたが紅茶を入れてくれるなんて…」水「いえねぇ。今回は私が悪かったわぁ。だからお詫びの印よぉ。」水銀燈は紅茶を真紅に渡しす。真「あらあなたからそんな言葉が出てくるなんて明日は雨ね。」真紅は冗談を言いながらもとても嬉しそうな顔をする。水「ただし今回だけよぉ。」真「わかっているわ。それにしても貴女の紅茶はおいしいわね。」真紅は紅茶をゆっくりと口に運ぶ。水「私が入れたんだからおいしいに決まっているじゃなぁいおばかさぁん。」真「そうね。(おいしいのはそれだけじゃないわ。まあ言っても否定するだけだからいわないけどね。)」水「あらぁ素直ねぇ真紅ぅ」真「私も今回だけよ。ありがとう水銀燈」紅茶を飲んだ真紅は水銀燈にお礼をいう。その後二人とも明日のために早めに就寝する。
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